2026年01月29日
DX
【講座レポート】佐世保市デジタル人材育成講座
特集・イベント

佐世保市が主催する「デジタル人材育成講座」は、地域企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進と、それを担う人材の育成を目的とした事業です。
3年目を迎えた今年度は、プログラミングスキルの習得を目指す「PHP講座」と、業務効率化やアプリ開発を学ぶ「ノーコード・ローコード講座」の2コースが開講されました。
今年度は昨年の約3倍となる100名の応募があり、関心の高さがうかがえました。転職やスキルアップを目指す方から、業務改善に取り組む現職の方、産休・育休中の方まで、多様な市民が参加しています。
本記事では、本講座の運営・講師を務める株式会社みんなシステムズの野田祐機さんへのインタビューと、受講生2名の声を通して、本講座の取り組みと成果をご報告します。

PHP講座

PHP講座

PHP講座

PHP講座
実務直結のスキル、ロールモデルの存在、そして地域経済の循環へ │ 講師インタビュー
本講座の運営と講師を務める株式会社みんなシステムズの 野田さんに、今年度の講座の狙いや手応え、そして描いている将来像について詳しく伺いました。
――今年の講座の特徴は?
野田(敬称略):大きく分けて『実務直結のカリキュラム』と『相互扶助のコミュニティ』の2点です。
まずカリキュラム面では、現場で使えることを最優先しました。PHP講座では、エラーが出た際に生成AI(Geminiなど)に質問して解決する方法を指導しています。というのも、実務の現場ではAIを活用しながら開発するのが当たり前になっているからです。ノーコード講座でも、kintoneやGoogle Apps Script(GAS)など、多くの企業で導入しやすく業務に直結するツールを選定しました。
もう一点は、『1人じゃない』環境づくりです。プログラミングは独学だと挫折しやすいですが、本講座では受講生同士で教え合う文化が根付いています。仲間がいるからこそモチベーションが続き、結果としてみなさん最後まで意欲的に取り組めていると思います。
――受講生の熱量が非常に高いと伺いました
野田:そうですね。今年はキャリア面談の希望者が過去最多の10名に上り、休日を使ってでも相談したいという、本気度の高い方が多いです。
また、良い循環だと感じているのは、昨年の卒業生が講座に関わってくれている点です。実際に弊社では昨年受講してくださった方を社員として採用していて、今回アシスタントとして携わっています。また、昨年の修了生に登壇してもらい、最初はパソコンが苦手で『できない』と言っていた状態から、どのように成長したかを話してもらいました。
同じ佐世保の先輩のリアルな体験談は、現受講生に『自分にもできるかも』という強い共感と安心感を与えています。卒業生がロールモデルとなり、次の受講生を導く流れができてきています。
――サポート企業※も16社に増えました。企業側のメリットは何でしょうか
野田:最大のメリットは採用面です。佐世保で新しいことにチャレンジしたいという意欲的な人材に、直接アプローチできる場はなかなかありません。
また、本講座はお仕事情報プラザと連携しているため、サポート企業になると求人を出した際にスムーズな案内が可能になります。
これだけのメリットがありながら企業側も無料で参加できる仕組みですので、人手不足やDXに悩む企業の皆様には、ぜひもっと活用していただきたいですね。
※サポート企業
DX人材を求める地元企業が受講生と直接交流し、採用や業務連携の機会を持つことができるパートナー制度
――最後に、今後のビジョンをお願いします
野田:佐世保の若者がアプリを開発したり、交流が盛んになる動きをもっと加速させたいと思っています。
佐世保在住の方はもちろん、現在福岡や東京などに住んでいて『佐世保に戻りたい』と考えている方の受講も大歓迎です。ITのスキルと仕事があれば、場所に縛られずに働くことができます。地元の人が地元を支える、そんな強い経済基盤をこの講座から作っていきたいですね。

野田さん(左)とみんなシステムズの皆さん

ノーコード・ローコード講座

ノーコード・ローコード講座

ノーコード・ローコード講座

ノーコード・ローコード講座

ノーコード・ローコード講座
PHP講座受講生インタビュー
独学では得られなかったコミュニケーションと実務への自信
山下広士朗さん(農家)

農家でアルバイトとして勤務する山下さんは、IT業界への転職を見据えてPHP講座を受講しました。過去7年ほど独学でプログラミングを学んでいましたが、ある程度の限界を感じていたと言います。講座での積極的な姿勢が評価され、山下さんは現在、(株)みんなシステムズのテスター(システム検証)業務に参加し、実務経験を積み始めています。
――受講の理由を教えてください
山下(敬称略):独学では、自分一人で学べる技術や知識に限りがあると感じていました。仕事としてやっていくためには、コードを書く力だけでなく、誰かと協力したりコミュニケーションを取ったりするスキルも必要だと思い、受講を決めました。
――受講してどのような変化がありましたか
山下:AIを使えば正解のコードは出せますが、人間相手にわかりやすく伝える力やチームでの連携は独学では学べないことでした。
講座では『自走力(自分で解決する力)』を意識しつつ、自分がつまずいたポイントをノートにまとめて受講生同士のLINEグループで共有するなど、周囲との関わり方を大切にしています。
――受講を悩まれている人へのメッセージをお願いします
山下:未経験の方も多い講座ですが、皆さんが諦めずに取り組む姿に刺激を受けています。サポート体制もしっかりしているので、安心して挑戦できる環境です。ぜひ飛び込んでください!

PHP講座

PHP講座
ノーコード・ローコード講座受講生インタビュー
福祉の現場課題を解決する、佐世保特化型AIチャットボットの構築へ
成冨努さん(佐世保市生活支援コーディネーター)

佐世保市で生活支援コーディネーターとして活動する成富さんは、現場で感じる地域課題を解決するためにデジタルツールの活用に着目しました。
――どのような課題解決を目指していますか
成富(敬称略):高齢者の中には、家で一人「携帯電話だけが友達」というような孤立しがちな方がいらっしゃいます。誰にも相談できずに困っているような方々が自分で解決策(セルフケア)を探せたり、必要な支援につながれたりする生活支援ツールが必要だと考え、独自のチャットボットを作りたいと考えています。
――講座での学びはいかがでしたか
成富:AIからの回答をただ受け取るのではなく、多角的な視点で分析し、自分の目的のために使いこなす重要性を学びました。Google Apps Script(GAS)などの技術を習得して、本当に支援が必要な人を佐世保の実在する機関へつなぐ『地域特化型』のシステム構築を目指しています。
――実際に受講してみて、講座の雰囲気や魅力はどう感じましたか
成富:何より驚いたのは、受講生の声を受けて講座自体が毎回レベルアップしていく点です。最初はテキストベースでしたが、私たちの反応を見てオリジナル教材に切り替えるなど、常に『受講生が学びやすいように』と進化しています。
また、スタッフの方が常に2〜3名いらっしゃるので、手を挙げればすぐに対応してくれますし、チャットなどでいつでも質問ができます。きめ細かなサポートを受けられるのが魅力ですね。

ノーコード・ローコード講座

ノーコード・ローコード講座
地域経済を回す「人材エコシステム」へ
講座が目指すのは、「地元の企業を地元のIT人材が支える」という好循環の創出です。運営を担当する野田さんは、今後の展望について次のように語ります。
「佐世保にいながら東京などの案件を受注する事例もあります。場所にとらわれずに活躍でき、給与水準も高められるのがITスキルです。これからも若者の地元定着やUターンにもつながるようサポートしていきたいです。」
佐世保市では今後も、こうした実践的な講座を通じて、地域産業の活性化と人材育成を推進してまいります。
各講座の概要
PHP講座
| 目的 | 本格的なプログラミングスキルの習得と、ITエンジニアとしての就職・転職支援 |
| 特徴 | 開発現場で必須となる生成AI(Gemini)を活用したコーディング手法を指導。実務に即した課題解決力を養います。全6回 |
| 対象 | プログラマーへの転職を目指す方、本格的なスキルアップを図りたい方 |
| 受講料 | 無料 ※教材費が別途必要 |
ノーコード・ローコード講座
| 目的 | プログラミング不要または少量のコードでシステムを構築するツールの習得。業務効率化やアプリ開発の内製化を目指します |
| ツール | kintone、Microsoft Power Automate、Google Apps Script (GAS) など |
| 特徴 | 多くの企業で導入実績があり、実務ですぐに使える無料・著名なツールを中心に学習します。全6回 |
| 受講料 | 無料 |
佐世保市産業支援センター「VSIDE」の支援について
佐世保市産業支援センター「VSIDE」では、地域企業の経営課題解決や、創業・新規事業の立ち上げを多角的にサポートしています。
本講座のような人材育成事業のほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入支援、販路開拓、資金調達など、経営に関するあらゆるご相談に専門のコーディネーターが対応いたします。
「社内のデジタル化を進めたい」「新しい事業に挑戦したい」とお考えの事業者様は、ぜひお気軽にVSIDEまでご相談ください。
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