2023年02月07日
起業家と経営者の素養
あなたはどちらのタイプ?起業家と経営者に求められる素養の違い
起業・経営に役立つ知識
起業家と経営者は、それぞれ厳密には意味が違うものの、世間では似たような意味合いで理解されています。
しかし、求められる能力が異なるため、起業を志すなら「起業家」と「経営者」について、いったん分けて考えた方がよいでしょう。
今回は、起業家と経営者に求められる素養の違いについて、それぞれの役割や会社の規模感などに触れつつ解説します。
起業家とは
起業家は、自らのビジョンを持って、新しい形で何らかの事業を興す人のことを指します。
よって、もともと存在する企業、または事業の後継者ではありません。
起業家は、まったく何もないところからサービス・製品等を立ち上げる存在です。事業の構想をまとめ、同じ想いを抱く仲間を集めて、技術やアイデアをもとに新製品・サービスを世に送り出す張本人でもあります。
起業家は、やがて経営者へ進化を遂げる場面に遭遇する可能性があります。
ただ、起業家の時点で求められることは、あくまでも収益を継続的に生むビジネスを立ち上げることなので、この段階ではビジネスを軌道に乗せることが最大のミッションと言えます。
経営者とは
経営者とは、企業の経営方針・経営計画を立てて、経営に関するすべての責任を持つ人のことです。
企業家も、経営者としての性質を持っていますが、経営者はあくまでも「経営」に携わる立場のため、働く会社によっては、必ずしも新製品・サービスを自分で考え出す必要はありません。
例えば、プロ経営者という存在がいるように、創業家(オーナー)の命を受けて経営を任される経営者もいます。これまで会社が育ててきた事業を、どのように運営していくかが、経営者の主なミッションです。
既存事業の規模感を、単純に大きくする計画を実行するだけでなく、例えば新規事業の展開や不採算事業からの撤退を決断することもあります。
経営者として働く段階では、会社は起業時に比べて組織が成熟しているケースが多く、資産面で余裕があることも珍しくありません。
起業家に求められる素養
起業家は、新しいビジネスを立ち上げる気があれば誰でも名乗れるものの、事業を大きくするにはセンスや努力が求められます。
以下、起業家に求められる素養についてご紹介します。
仕事に対する熱量があること
世の中にたくさんの仕事がある中で、あえて起業を選ぶ人の多くは、何らかのビジョンを持っています。
これまでの人生において大切にしてきたことや、強烈な体験などをベースに、社会において自分が何を成したいのか明確にすることが、起業家として躍進するためには必要不可欠です。
特に、起業を検討する場合、周囲の人から反対されることも予想されます。
反対意見を持つ人を説得するためには、何のために事業を進めるのかをハッキリさせ、モチベーションを維持することが重要です。
考える力・動く力のバランスが良いこと
頭の中で起業について考えるだけでは、いつまでたってもアイデアは実行に移されません。
逆に、考えなしに行動するだけでは、多くの人に迷惑をかけてしまうことでしょう。
行動の裏に明確な根拠があれば、失敗した後で次の一手を考えるための材料ができます。
考える力・動く力のバランスを考えて行動できる人材は、失敗を財産として活用できるでしょう。
100%の責任感があること
起業後に仲間を見つけて、事業を発展させようとした際、責任の所在があいまいになることもあります。
しかし、最終的に起業家は、事業運営で起こることすべてに対して責任を負います。
前向きな挑戦であれば、仮に失敗したとしても、仲間を責めず次の対策を練るメンタルが必要です。
その一方で、自分の至らなさは100%受け入れ、自分が事業の中心になる覚悟が求められます。
経営者に求められる素養
事業を育て上げ、多くの事業を同時進行で進める立場になると、起業家とは違う素養が求められるようになります。
以下、具体的な素養についてご紹介します。
強い信念があること
事業が大きくなり、多くの人を雇用するうちに、周囲の人に配慮する機会が増えていきます。
しかし、社員や取引先のことばかり考えたり、他の企業と似たようなアプローチをとったりしていると、自社のオリジナリティは次第に失われていきます。
パワハラ・モラハラなどは論外ですが、自分が一度決めたことは絶対に成功させようとする強い信念がなければ、経営者として部下を率いることは難しいでしょう。
周囲を説得するためには、ビジネスによって何を成したいのか、信念を貫く強さが必要です。
自分たちにとって厳しい決断ができること
経営は常に順風満帆というわけにはいかず、例えばリーマンショックや新型コロナウイルスのように、すべての企業が抗えない問題に直面することもあります。
その際、自分たちにとって厳しい決断をすることも、経営者の大切な仕事の一つです。
リストラ・違う職場への異動など、社員に対して何らかの負担を強いることもあります。
それでも、状況を素早く見極め、事業を継続させる上で最善の選択肢を選ぶことが、経営者には求められます。
新しい情報や人脈に敏感なこと
市場は常に動いているので、たとえ業種が異なる場合であっても、経営者は世の中の動きにアンテナを張らなければなりません。
自社の事業に取り入れられるものがあれば、それを貪欲に吸収して、事業の展開や業務効率化に活かすことを考えるのが経営者です。
また、取引先や社員・友人等のつながりから、新たなビジネスチャンスが生まれることもあります。
よって、これまで培ってきた人脈を活かしつつ、新たな人脈を構築できるコミュニケーション能力も問われます。
まとめ
以上、起業家と経営者に求められる、素養の違いについてお伝えしてきました。
起業家が0から1を生む存在だとすれば、経営者は1を10に、10を100にする存在と言えるかもしれません。
起業家が事業を発展させるためには、将来的に経営者へのステップアップが必要になりますから、経営者との素養の違いを踏まえつつ、不足している部分を補う努力が必要です。
起業に対する情熱が薄いと思ったら、企業の中で仕事を覚えて、最終的に経営者を目指す道もあります。
いずれの選択肢を選ぶにせよ、自分の素養を確認した上で判断しましょう。