2025年02月25日

人材育成・採用

企業の変革に必要とされる「イノベーション人材」とは|確保・育成方法も解説

起業・経営に役立つ知識

 

イノベーションとは、日本語に訳すと「革新・刷新」といった意味合いになり、ビジネスにおいては「経済活動の中で生産手段・資源・労働力を新たな方法で結合すること」を意味します。

 

企業の成長において、イノベーションは不可欠なものと考えられていますが、日本企業はどちらかというとイノベーションが苦手な傾向にあり、個人の創造性を組織が活かせていないという意見も聞かれます。

逆に言えば、イノベーションを生み出せる人材を自社で確保・育成できれば、組織のスタンス次第で企業の更なる成長が見込める可能性も十分あります。
この記事では、企業の変革に必要とされる「イノベーション人材」について触れた上で、確保・育成の方法についても解説します。

 

 

イノベーション人材とは

企業における「イノベーション人材」とは、社内で革新的な試み・行動を起こせる人材のことを指します。
具体的には、サービスやビジネスモデル、組織といった経営活動全般において、イノベーションを起こせる人材が該当します。

大きく分けて、イノベーション人材は、以下の3つのタイプに分かれます。

 

アイデア出しが得意な人材
  • 主に「アイデア出し」と「企画化」が得意
  • 発想・考え方が人と異なる人材が多い傾向にある
  • 一概には言えないが協調性は低めな人材が多い
技術力が高い人材
  • 主にイノベーションに必要な技術を見定める役割を担う
  • 企画実現にあたり、どんな技術が必要かを把握し、実装までを担当する
事業を成長させる能力が高い人材
  • 主に「市場参入」と「事業成長」を担当
  • マネジメント能力、数字の強さを備えている人材が多い傾向にあり、PDCAサイクルを回すのに適している
  • ヒトを動かす点において、協調性の高さがある

 

企業風土によっても異なりますが、一般的に獲得しにくいイノベーション人材としては「アイデア出しが得意な人材」があげられます。
その理由として、基本的に組織に馴染まない性格をしている人が多いことが考えられます。

 

技術力が高い人材を確保・育成する場合も、どのレベルの人材を確保・育成するのかによって、難易度は変わってくるでしょう。

逆に、事業を成長させる能力が高い人材に関しては、組織が大きくなれば一定数が育つ・見つかる傾向にあり、転職市場でも比較的見つけやすいものと思われます。

とはいえ、アイデアマン・エンジニアだけでは組織が動かないため、企業の人材ラインナップによっては外部から獲得する必要があります。
重要なことは、上記3タイプの人材が噛み合い、自社でイノベーションを起こしてくれることなのです。

 

 

 

イノベーション人材を確保する方法

先述した3タイプの人材を外部から確保する場合、次のような方法が考えられます。

 

アイデア出しが得意な人材
  • アイデアソンやコンペティションの開催
  • クリエイティブ業界からのスカウト
  • 異業種からの採用
  • 特定分野のフリーランス・副業人材の活用 など
技術力が高い人材
  • 専門性の高い技術者コミュニティ等に参加し、優秀な人材に直接アプローチを実施
  • 競合他社・関連企業へのスカウト
  • 技術系求人サイトの活用による専門職確保
  • 大学・研究機関との連携 など
事業を成長させる能力が高い人材 幹部候補の積極採用
有資格者の採用(MBA・中小企業診断士など)
コンサル業界経験者の採用
ベンチャー企業経験者の採用 など

 

海外の優秀な人材を確保したい場合は、高度外国人材にフォーカスして、技術者やマネジメント人材を確保するのも一手です。
特に、日本の大学で学んでいる外国人留学生は、高度外国人材の“卵”ともいえる存在のため、早い段階からアプローチをかけるのも検討したいところです。

 

 

イノベーション人材を育成する方法

先述した3タイプの人材を内部から確保(自社で育成)する場合、次のような方法が考えられます。

 

アイデア出しが得意な人材
  • 社内でアイデアコンテスト等を実施し、優秀な人材を発掘する
  • 新規事業提案制度など、社員が自由に新規事業のアイデアを提案できる制度を設ける
  • 人事異動による配置転換により、社員の多様な視点や発想を育む
  • 発想力・想像力工場を目的とした研修を実施する など
技術力が高い人材
  • 社内コミュニティを立ち上げ、技術の共有や勉強会などを行う
  • 資格取得支援制度等の導入によって、社員の自発的なスキルアップを促す
  • ジョブローテーションによって、異なる部署やプロジェクトで幅広い経験を積んでもらう
  • 経験豊富な技術者をメンターにする など
事業を成長させる能力が高い人材
  • 幹部候補向け研修など、幹部の適性がある人材を育成する仕組みを設ける
  • 公募制で管理職・リーダー人材を募集し、モチベーションアップや人望のある人材の重用につなげる
  • マネジメント人材・リーダー人材をOJTで育成する
  • 経営戦略・マーケティングなど、経営層や経営企画室との交流を増やす など

 

社内でイノベーション人材を育成する場合、人材が「社外からの視点・考え方」に触れる機会を増やすことが重要になるでしょう。

 

 

まとめ

イノベーション人材は、アイデア・技術・事業成長の3分野において、企業に変革をもたらす人材を指します。
それぞれ求められる役割は異なりますが、うまく歯車が噛み合えば、自社のイノベーションが一気に加速する可能性があります。

社外から新たな人材を取り入れることで、現在働いている社員が気付けなかった視点で物事を捉えることが可能になるかもしれません。
しかし、社内にいる優秀な人材を発掘できれば、採用コストを抑えてのイノベーションが実現するでしょう。

いずれの場合も、多様な視点を取り入れ、継続的に人材確保・育成につとめることが大切です。