2025年06月13日

CSR

企業の地域貢献がもたらすもの|具体的な取り組み方についても解説

起業・経営に役立つ知識

 

インターネットの普及とともに、企業がビジネスを手掛けるフィールドも広がりを見せる状況の中、本社や営業所を構えている地域への貢献を重視する企業は、今なお一定数存在しています。

老舗企業や、地域を代表するような中小企業などは、総じて地域貢献活動に熱心な傾向にあります。

近年では、古くからその地域を基盤としてビジネスを展開していた企業だけでなく、SDGs・CSRの観点から地域貢献活動を行う企業も増えてきています。

この記事では、企業の地域貢献が地域・企業に何をもたらすのかについて、具体的な取り組み方にも触れつつ解説します。

 

 

企業の「地域貢献活動」とは

企業が特定の地域に対して貢献的な活動を行う場合、その活動は「地域貢献活動」と呼ばれます。また、特定の地域とは「活動する企業が所属する地域」のことをいいます。

例えば、佐世保市に本社を構える企業が、その他の地方が被災した際に経済的支援を実施するケースは、あくまでも被災地支援であって地域貢献活動ではありません。

この場合、佐世保市に対して何らかの貢献活動を実施することが、地域貢献活動に該当します。

 

中小企業と地域貢献の関係性

地域貢献活動に熱心に取り組む企業が見られる背景には、立地する地域が「中小企業の存立基盤(土台)である」ことがあげられます。

少子高齢化が進む日本においては、地方都市の多くが経済不振、人口減少、高齢化という問題を抱えており、それに伴い各地域の次のような課題が深刻化しています。

 

    • 地域企業の雇用能力低下
    • 商店街の衰退や中心街の空洞化
    • 地域コミュニティの希薄化 など

 

中小企業の事業継続を安定した形で実現するには、存立基盤となる地域の安定・強化が重要になります。

地域の労働人口が減少すれば、必然的に行政側の支援能力も小さくなるため、企業自ら地域の社会的課題の解決に取り組まなければ、自社の事業継続が難しくなることも十分考えられるのです。

 

 

企業が地域貢献活動に取り組む意義・メリット

存立基盤となる地域に対して、企業が貢献活動を行うことには、どのような意義やメリットがあるのでしょうか。

以下、それぞれについて解説します。

 

企業が地域貢献活動に取り組む意義

企業が地域貢献活動に取り組む意義としては、次のようなものがあげられます。

 

存立基盤地域の活性化
  • 地域のつながりを活かした商品・サービスの提案や、それに伴う雇用創出などが見込める
  • 活動が積極的になるほど、自社の地域における認知度も高まることが予想される
コミュニティの連帯感強化
  • 地域の住民・団体と接する機会を増やすことで、地域コミュニティの連帯感を強化できる
  • イベントに直接参加できない場合でも、協賛金を提供したり、設備投資を実施したりすることで、間接的に貢献する方法もある
災害対策
  • 防災活動に積極的に参加することで、自社社員の安全を守ることにつながるだけでなく、地域全体の防災意識を高められる
  • 災害に遭遇した際、サポートの輪を広げるのにも貢献する

 

 

企業が地域貢献活動に取り組むメリット

本来、地域貢献活動はリターンを期待して取り組むタイプの活動ではありませんが、真摯に取り組むことで次のようなメリットを享受できる可能性があります。

    • 評価向上にともなう売上増・安定採用
    • 自社で働く従業員の意識向上
    • 自社の更なる飛躍のきっかけ

 

企業が地域貢献活動を行う中で、地域内外の人や企業から自社が認知されると、そこから新しい顧客の確保、協業のチャンスが生まれます。

その結果、売上が増え認知度が高まれば、欲しい人材を存立基盤地域以外から採用できる機会を増やすことにつながります。

存立地域の地方自治体から地域貢献企業として認定されたり、各種メディアの取材により認知度が向上したりするなど、露出の面でもメリットが期待できます。

もちろん、自社の活動によって地域に貢献することが大前提ですから、その点は混同しないよう注意が必要です。

 

 

地域貢献活動の取り組み方

地域貢献活動に取り組む場合、従業員が取り組みやすい活動に絞るのも一手ですが、せっかくなら自社のリソースを活かした取り組み方を工夫するとよいでしょう。

そのためには、次のステップで活動内容を検討することが大切です。

 

    1. 存立地域の課題を把握する
    2. 課題解決に活かせる自社のリソースをあげる
    3. 長期的に持続できるかどうか検討する
    4. 地域住民の参加・地域への貢献度を意識して企画する

 

存立地域の課題について掘り下げて考える際は、メディアやWeb検索のほか、足を使っての情報収集が有効です。

その上で、自社が課題解決に活かせるリソースについて、事業内容・企業理念・ビジョンなど幅広い観点から列挙していきます。

案を具体化する際は、その活動が長期にわたり継続できるかどうかにも目を向け、費用や人員確保の観点からも無理はないかどうかチェックが必要です。

企画段階では、できるだけ多くの地域住民が参加できる、または地域への貢献度が高い企画を採用しましょう。

 

例えば、民営のスポーツジムが進出していない地域で、現在は使われていない施設に自社が販売している運動器具・マッサージ器具などを設置してスタッフを配置すると、多くの住民がマシンを使用するかもしれません。

清掃関連の事業を展開しているなら、ゴミの内容や量によって参加者を表彰するような、ゴミ拾いのイベントを開くのも面白いでしょう。

 

まとめ

地域貢献活動は、少子高齢化が進む現代の日本だからこそ、その重要性が高まっています。

自社の存立基盤となる地域を活性化することは、企業にも良い影響をもたらすことが期待されるため、可能であれば何らかの取り組みを検討したいところです。

ただし、無理をして地域貢献活動に取り組んでも、継続するのは難しくなります。

長期的な視点から、自社のリソースで無理なく取り組める試みを検討・企画することが大切です。