2026年05月28日

マーケティング

佐世保のビジネスを加速させる「トキ消費」の作り方 | “その瞬間”の熱狂が、最強のファンを生む

起業・経営に役立つ知識

佐世保のビジネスを加速させる「トキ消費」の作り方

 

消費者の消費行動は、商品を買って自分のものにする「モノ消費」から、特定の場所に出かけて体験する商品・サービスを楽しむ「コト消費」へと変化していきました。

 

近年では、その時間・その場所でしか体験できない価値に対してお金を払う「トキ消費」が、博報堂生活総合研究所によって提唱されています。

長崎県・佐世保市の企業もまた、様々な素晴らしい商品・サービスがあるため、これをトキ消費と結び付けて新たな消費活動を刺激できるかどうかが、将来の事業の発展を左右することになるでしょう。
この記事では、トキ消費の作り方について、佐世保の事例を紐解きつつ解説します。

 

なぜ今、「コト」ではなく「トキ」なのか?

日本全国を見渡すと、車や家電といったモノを得ることの難易度は下がり、多くの地域で「コト消費」のニーズが高まりました。
佐世保においても例外ではなく、例えば佐世保バーガーの手作り体験であったり、九十九島シーカヤックであったりと、魅力的なコト消費が定着しています。

しかし、スマホがあればいつでも誰かと繋がれる現代において、いつでもできる体験は「また今度でいいや」と後回しにされがちです。
そこで重要になるのが、この日・この時・この場所でしか味わえない「トキ消費」です。

トキ消費を提唱している博報堂生活総合研究所によると、トキ消費には以下の3つの必須条件があります。

 

非再現性 時と場所が限定されており、同じ体験は二度とできないこと
参加性 単なる観客ではなく、自分もその場を作る“当事者”として参加すること
貢献性 自分の行動が、その場の盛り上がりに貢献していると実感できること

 

具体例をあげると、佐世保で行われている『YOSAKOIさせぼ祭り』は、トキ消費の成功例といえます。

観客がただ踊りを見るだけでなく、市民審査員として順位決定に関わることもでき、一度順位が決まればそれは覆されることはありません。

 

このように、イベントへの積極的関与によって、観客には非再現性や参加性、貢献性が求められます。

こういった「自分が祭りを支えている」という熱量が、毎年のリピーターを生んでいるものと考えられます。

 

 

佐世保の事例から紐解く「トキ消費」への変換術

それでは、一般的なビジネスをどうやって「トキ消費」に変えるべきなのでしょうか。

以下、佐世保の具体的な事例をあげつつ紐解きます。

 

「いつもの風景」を「二度とない瞬間」へ(非再現性)

<事例>『SASEBO軍港クルーズ 夕暮れ 特別便』

 

通常の遊覧船は楽しい「コト消費」であり、上客は「いつでも乗れる」と思いがちです。

しかし、「日没に合わせて自衛艦旗が降ろされる瞬間」や「日によって異なる夕景」にフォーカスすることで、「この景色はこの運航日・この日没時間しか見られない」という非再現性が生まれます。

もし、この視点を飲食店に応用した場合、次のような案が検討できます。

 

  • その日の仕入れで決まる裏メニュー
  • 雨天時“だけ”提供するスペシャルメニュー

 

このように、商品・サービス提供のチャンスをあえて限定することで、観光客の中に「今日でなければならない」理由が生まれやすくなります。

 

 

佐世保ランチ

 

 

「お客様」を「仲間」に変える(参加性・貢献性)

 

<事例>『艦これ 佐世保鎮守府コラボ(2023)』

 

人気ゲーム『艦これ』とのコラボイベントでは、全国からファン(提督)が集結しました。

彼らは単に観光に来たのではなく、それぞれが「佐世保を盛り上げたい」「公式イベントを成功させたい」という貢献性を持って参加しています。

例えば、スタンプラリーで街を歩くことは、それ自体がイベントの一部となっています。

自社ビジネスにおいても、顧客を「お客様」として扱うだけでなく、「一緒に店を作る仲間」として巻き込む視点を持つことが大切です。

 

 

自社ビジネスを「トキ消費」化する3つのステップ

多額の予算をかけなくても、工夫次第で「トキ消費」を作る方法はあります。

以下、自社のビジネスをトキ消費化する3つのステップをご紹介します。

 

ステップ1:限定性(レア感)を演出する

最初に、自社商品・サービスの提供が「いつでも」できる状態を、あえて封印してみましょう。

「○月○日限定」「18時~19時限定」「佐世保市民限定」など、時間や対象を絞ることで、顧客に行動する理由を与えるイメージです。

 

ステップ2:顧客に「役割」を与える

顧客を単なる購入者として見るのではなく、購入者自身が何らかの形でイベントに参加できるよう、役割を与えることも重要です。

例えば、新商品のネーミングを募集したり、2種類の商品のうち「どちらを本商品化すべきか」アンケートを実施したりすると、顧客に「新商品開発に参画した」という意識を植え付けることができます。

SNSを運用している場合は、特定のハッシュタグを指定し、その投稿数に応じてサービス内容を変えるのもよいでしょう。

顧客に「自分の一票が結果をかえる」と意識させることは、強い貢献性を生みます。

 

ステップ3:オンラインとリアルを循環させる

次回以降のイベント参加者増に向けて、イベント当日の熱狂(リアル)を、SNS(オンライン)で実況中継することも大切です。

その場にいない人に「うわ、楽しそう!次は絶対に行きたい」と思わせることができます。

オンラインでの拡散が上手くいけば、次のリアルの集客に繋がるサイクルができ、継続的な「トキ消費」の基盤固めにつながります。

 

 

まとめ

佐世保には、九十九島の絶景や独自の食文化といった、素晴らしい「コト」の種がすでに数多く存在しています。

そこに「今だけ」「みんなで」「あなたと共に」という、「トキ」の水をかけることで、ビジネスはもっと強く根を張り、やがて愛される花を咲かせることでしょう。

まずは小さな「限定イベント」から、顧客を巻き込む仕掛けを始めてみることをおすすめします。

佐世保の街全体が、熱狂的な「トキ」で溢れる未来は、そう遠くないことなのかもしれません。