2025年01月15日
事業資金
企業は金融機関とどう付き合うべき?具体的な行動やタブーも解説
起業・経営に役立つ知識
中小企業やベンチャー企業などは、事業展開や自社の発展にあたり資金が必要な場面などにおいて、金融機関を頼ることが少なくありません。
しかし、お金を借りたいときだけ顔を出すような付き合い方では、金融機関と信頼関係を醸成するのは難しいでしょう。
また、自社がスムーズに融資を受けるにあたっては「どんな銀行を選んでもOK」とはならず、企業規模や年商などを考慮して金融機関を選び分ける必要があります。
この記事では、企業の金融機関との付き合い方について、金融機関にとって好ましい具体的な行動や、逆に評価を下げてしまうタブーなどを解説します。
自社の規模に合った金融機関の選び方
金融機関を頼る前に、まずは「どの金融機関を選ぶべきか」について考えましょう。
年商が3億円未満の場合は、まず「信用金庫」・「信用組合」などの地域密着型の金融機関を選ぶことをおすすめします。
一概にはいえませんが、信用金庫や信用組合は、創業時の融資や中小企業への融資に協力的な傾向にあります。
経営面でのアドバイスが受けられることもあり、担当者ともコミュニケーションをとりやすいのが特徴です。
そこからさらに成長して、年商3億円~10億円ほどの規模にまで成長したら、おそらく高額の融資を受ける必要が生じるはずです。
その際は、地元の地方銀行を頼り、大口の融資を受けることも視野に入れましょう。
なお、融資だけを目的とするのであれば、比較的信用力が低い状況でも融資が受けられる「日本政策金融公庫」を頼る方法もあります。
金融機関との良い付き合い方
続いては、企業が金融機関と付き合うにあたり、将来プラスになるような付き合い方について解説します。
金融機関との接触の機会を増やす
金融機関に自社のことをよく知ってもらうためには、まず「金融機関との接触の機会を増やす」ことを意識しましょう。
融資取引の希望があれば理想ですが、当面は資金を借りる予定がない場合は、金融機関が開催するセミナー・イベントに参加してみることをおすすめします。
例えば、展示会・商談会に出展(出店)したり、プロフェッショナルが講演するようなイベントに参加したりすると、イベント後の懇親会などで、取引先になりそうな企業とのマッチングの機会が得られる可能性があります。
このようにして、まずは自社の存在を金融機関に知ってもらい、将来の融資の円滑化につなげることが大切です。
融資の依頼は「金融機関の都合」を考えて行う
金融機関にとって、融資取引は間違いなく嬉しい取引ですが、いったん融資を受けたら「金融機関の希望に沿う動き」を意識することが重要になります。
例えば、いったん融資を受けると、決算書・試算表等の資料を定期的に金融機関に提出しなければなりませんが、このような仕事をきちんとこなすことが大切です。
融資を受けてから返済するまでの期間が長いほど、金融機関としては融資先の状況が気になるものです。
そこで、逐一資料を提出したり、担当者とコミュニケーションをとったりしていると、金融機関側に「この融資先は信頼できる」という印象を与えられるはずです。
可能であれば、業績が良いタイミングでは、借入・返済の実績を作っておきましょう。
実績ができれば、その分だけ融資の条件が緩くなったり、融資額が増えたりすることも期待できます。
悪いときこそきちんと報告を
企業としては、悪い情報をできるだけ隠したいと考えるものですが、金融機関に対してはそのような態度をとるべきではありません。
むしろ、悪い状況だからこそ、実情をきちんと伝えましょう。
報告時は、当然ながらネガティブな評価につながるおそれがあるものの、将来的にどのような形で立て直すのかビジョンを持っていれば、金融機関側から何らかの支援・サポートが受けられる可能性があります。
厳しい状況を共有した上で、経営を立て直すことができれば、さらに金融機関との信頼関係が深まるはずです。
金融機関と付き合う上でやってはいけないタブー
金融機関と付き合っていく中で、決してやってはいけないのが、次のようなタブーを犯すことです。
- 経営が不調なときだけ相談する
- メインバンクに不義理を働く(融資の他行借り換えなど)
- 融資のためだけに取引する
大前提として、金融機関は「お金を返してくれる」であろう取引先に、お金を貸したいと考えています。
よって、経営に困っている企業に初対面でお金を貸す銀行は、ほとんどいないと思ってよいでしょう。
また、メインバンクで借りているお金を、他の銀行で借り換えるような行為は、メインバンクの受取利息を減らすことにつながるため、と自社との関係性を悪化させる一因になります。
その他、融資以外の取引がない状況が続く企業も、金融機関と長期的な信頼関係を築くのは難しいでしょう。
まとめ
金融機関とお付き合いを始める際は、自社に適した金融機関の規模が決まっているため、その点を踏まえて選ぶことが大切です。
また、ただお金を借りることだけを考えるのではなく、金融機関の都合を考えて資料を提出したり、金融機関が開催しているイベントに協力したりすると、自社の評価を高めることにつながるでしょう。
逆に、つらいときだけ頼りにするような使い方をしていると、いざというときに金融機関から協力を得られないおそれがあります。
お金の貸し借りだけでなく、人としての誠実な付き合いを意識することが、金融機関とのご縁を長くする秘訣です。