2025年02月13日
炎上対策
企業アカウントのSNS炎上はどう防ぐ?具体的な対策を解説
起業・経営に役立つ知識
無料で自社の製品やサービスの宣伝、広報等に使用できるSNSは、自社のブランディング・顧客との関係構築に役立てられる、非常に便利なツールの一つです。
その一方で、使い方を誤れば“炎上”を引き起こし、自社の企業イメージを大きく損なってしまうおそれがあります。
この記事では、企業アカウントのSNS炎上を防ぐにあたり、具体的な炎上防止対策について解説します。
そもそもSNSの炎上はなぜ起こるのか
SNSで、度々特定のアカウントが炎上するのは、あえて一言で述べると「ユーザーに対する配慮が不十分であること」が原因です。
もちろん、一口に炎上の理由を説明するのは難しいですが、例えば次のような理由でSNSが炎上してしまうケースが目立ちます。
- 企業の従業員による不適切投稿、およびその拡散
- コンプライアンスに違反した情報の拡散
- 企業アカウントの発信した情報に対するクレーム(商品・サービス・キャンペーン情報など)
基本的に、誰か一人が批判しただけでは、炎上に至るケースは多くありません。
ある批判を一部の一般ユーザーが拡散し、そこから「インフルエンサー」と呼ばれる影響力のあるアカウントやネットニュースなどが取り上げ、最終的にマスメディア等の報道へと発展していった結果、深刻な炎上を招くものと考えられます。
このように、炎上は段階を経て炎の勢いを増していくため、早い段階で企業が対処できれば、SNS炎上の影響を最小限にとどめられる可能性が高いでしょう。
企業がSNS炎上を防ぐための具体的対策
企業がSNSアカウントを運用するにあたり、炎上を防ぐためには、次のような対策を講じることが重要です。
- 運用の基本ルールを決める
- 発信してもよい情報の種類を明確にする(炎上防止策を講じる)
- 炎上してしまった場合の対処フローを決める
以下、それぞれの対策について解説します。
運用の基本ルールを決める
SNSアカウントの運用につき担当者を決める場合は、企業としてどう運用すべきなのか、基本ルールを担当者と企業の間で共有しておく必要があります。
多くの企業では「ガイドライン」や「マニュアル」という形で、次のような項目を定めています。
運用の目的 |
どのような目的で運用するのか、その結果どのようなリスクが起こり得るのかをまとめる |
遵守事項 |
発信してはいけない内容・事項をまとめる |
トラブル対応 |
対処にあたっての方針、意思決定者を決める |
投稿削除に関すること |
投稿削除を行うケース、およびその対応方法等 ※ユーザーから寄せられたものも含む |
公式アカウント一覧 |
自社で管理している公式アカウント、および管理者の一覧 |
アカウントに関すること |
開設や閉鎖のルール、実際に開設する際の流れなど |
その他 |
ガイドライン・マニュアルの見直し、パスワード管理などについて触れる |
上記のような内容をまとめておき、例えば炎上した際、悪質な投稿につき法的手段を早期に検討できるよう準備しておけば、ユーザーの動きをある程度制限することにつながります。
発信してもよい情報の種類を明確にする(炎上防止策を講じる)
SNSで炎上を防止するためには、どのような種類の情報を発信すべきなのか、あらかじめ決めておくことが大切です。
差別や暴言、企業の守秘義務がある情報など、誰もが当然に発信してはいけないことは遵守事項に含めるべきですが、次のような内容が含まれる情報に関しては、100%NGではないものの発信にセンスが問われるため、やみくもに発信すると炎上するおそれがあります。
- 世間で炎上していること・関心を集めていること
- 医療・法律・科学などに関することで、事実が不確かな可能性があること
- 人によって評価・判断が分かれること(宗教やジェンダーに関することなど)
SNSアカウントでの発信で、炎上につながる発信を行わないようにするためには、次のような点に注力してアカウントを運営することが大切です。
- 企画・発言内容は複数人のスタッフで管理する
※社員全員で発言等をチェックし、担当者の独りよがりな投稿にならないよう注意する
- メッセージに対してユーモラスに返信するなど、ファンを増やす投稿を意識する
できるだけ投稿内容に配慮しつつ、万一の際にフォローしてくれるファンを増やすことが、炎上防止・炎上の被害軽減につながります。
炎上してしまった場合の対処フローを決める
SNSでの投稿に注意していても、炎上してしまうリスクは決して避けられません。
もし、炎上が起こっていると分かったら、次のようなイメージで対処フローを決めておくと、スピーディーに対処が可能です。
①SNS投稿の一時停止 |
いきなり投稿を削除するのではなく、いったんSNS活動を控える形で、今後の対処に備える |
②事実確認・原因の把握 |
炎上発生時期、炎上の程度、炎上した原因などを把握し、どういったユーザーが、どのような点に対して批判しているのかを分析する |
③方針を固める |
自社の対応がコロコロ変わらないよう、一貫性のある対処方針を固め、投稿削除・謝罪・事実公表といった方針を一通り固める |
④状況を共有する |
炎上発生状況、対処の方針、鎮火までのコミュニケーション等につき、取引先や株主・従業員などと情報を共有する |
⑤削除の判断→削除 ※必要に応じて |
顧客を含むSNSユーザーに対して、事態の説明、または必要に応じて謝罪するかどうかを検討するとともに、原因となった投稿の削除について判断し、必要であれば削除する |
⑥再発防止策の開示 |
必要に応じて、再発防止策を一定期間自社サイト等で開示し、対策を徹底する旨をアナウンスする |
最終的に、SNS炎上につき企業が謝罪するかどうかは判断が分かれます。
企業や従業員に非があるのが明らかな場合は、早期の謝罪と経過報告が望ましいですが、非がないものと考えられる場合は、事実や自社理念の説明にとどめた方がよい場合があります。誹謗中傷など、あまりに悪質な発言をするユーザーがいる場合は、法的措置も検討すべきでしょう。
最終的には、自社製品・サービスを利用してくれている顧客の目線に立って、間違っていることは「間違っている」と、正しいことは「正しい」と主張することが大切です。
まとめ
SNS運用による炎上は、様々な価値観で暮らす人間が集まる中で投稿する以上、100%防ぐのが難しいものと考えられます。
よって、未然に炎上を防ぐためには、まずは社内で「可能な限り多くの人がSNSアカウントの投稿内容をチェックする体制」を構築することが重要になるでしょう。
その上で、万一炎上してしまった際は、迅速に対応できるよう準備しておきましょう。
法的措置も含め事前に対処法を考えておけば、炎上時にも落ち着いた対応ができるはずです。