2026年07月13日
販路拡大
ジェグテックを活用しよう!〜登録から取引成立まで中小企業担当者が知るべき全手順
起業・経営に役立つ知識、支援情報

「新しい取引先を開拓したいけれど、営業リソースが足りない」「海外市場に出たいが、どこに相談すればいいかわからない」——中小企業の営業担当者なら、こうした悩みを抱えた経験があるのではないでしょうか。
そんなときに役立つのが、経済産業省所管の独立行政法人「中小企業基盤整備機構(中小機構)」が運営する公的ビジネスマッチングサイト「ジェグテック(J-GoodTech)」です。
本記事では、ジェグテックの基本から登録方法、そして登録後に取引拡大へつなげるための実践アクションまでを体系的に解説します。
ジェグテック(J-GoodTech)とは?無料で使えるビジネスマッチングの基本
ジェグテックは、日本の中小企業と国内大手企業・海外企業をつなぐBtoBビジネスマッチングサイトです。民間サービスとの最大の違いは、公的機関が運営しているという点で、登録から利用まですべて無料で使えます。
運営元は経産省所管の独立行政法人だから無料で安心
ジェグテックを運営しているのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)です。経済産業省が所管するこの機関は、中小企業の経営支援を目的とした公的な組織であり、営利目的ではありません。そのため、登録費用・月額費用・成功報酬、いずれも一切かかりません。安心して利用を始められます。
登録企業数・規模感(数字で見る信頼性)
2026年2月末時点でジェグテックには、国内外合わせて約4万社が登録しています。国内中小企業を中心に、国内大手パートナー企業、そして海外の政府機関等から推薦を受けた海外企業も参加しており、業種は製造業・サービス業・卸売業と幅広くカバーされています。
「自社の技術や製品を必要としている企業が本当にいるのか?」という不安は、この規模感が払拭してくれるはずです。

出典:ジェグテック公式サイト(https://jgoodtech.smrj.go.jp)
ジェグテックに登録できる企業・できない企業
ジェグテックはすべての企業が登録できるわけではありません。まず自社が対象かどうかを確認しましょう。登録申請をしても、対象外の業種では審査を通過できません。
登録OKの業種・業態
以下の業種・条件に該当する企業が登録対象です。
- 製造業、建設業、情報サービス業(ソフトウェア関連を含む)など、固有の技術を持つ企業
- 貨物輸送、倉庫・保管、据付・修理・保全など、主に「モノ」を対象とする対事業所向けサービス業
- 情報処理、販売促進・広告など、「情報」を対象とする対事業所向けサービス業
- 卸売業
共通する条件は「BtoB(企業間取引)であること」「事業拡大に意欲があること」の2点です。
登録できない業種(BtoC・金融・コンサルなど)
以下の業種は登録対象外です。
- 一般消費者向け取引(BtoC)を主体とする事業
- 金融業・保険業・不動産賃貸業
- 人材派遣業
- コンサルティング業
「BtoBもBtoCも両方手がけている」という企業の場合は、BtoB部門の技術・サービスを切り出して申請するのが現実的です。判断に迷う場合は、中小機構に直接問い合わせて確認しましょう。
ジェグテックでできること
ジェグテックには取引拡大に役立つ機能が3つあります。それぞれを理解したうえで、自社の状況に合った使い方を選びましょう。
- 自社ページで技術・製品をPR(Google検索にも表示)
登録するとMYページ(自社専用ページ)が作成され、技術・製品・サービスの情報、写真、PDF資料などを掲載できます。特筆すべきは、このページがジェグテック内の検索だけでなく、GoogleやYahoo!などの一般的な検索エンジンにも表示されることです。営業コストをほぼかけずに、自社の情報を国内外の企業に向けて24時間365日発信し続けられます。
また、初回登録時に限り、中小機構が無料で英訳ページを作成するサービスもあります。海外企業へのアピールを検討している企業にとって、これは大きなアドバンテージです。 - ニーズ機能で大手・海外企業の案件に提案する
「ニーズ機能」とは、大手パートナー企業や登録企業が発信する発注・取引案件の情報です。研究・開発の依頼、加工・業務の発注、調達ニーズ、事業連携の相談など、さまざまな案件が日々更新されます。
登録企業はこのニーズを閲覧し、「対応できる」と判断したものに提案を送ることができます。大手企業から中小企業に直接コンタクトが来ることもあり、新規取引のきっかけになるケースが多いです。
あるユーザーによると「毎週2回、ニーズのメールが届く。対応できそうと思ったらページを確認して提案を送っている」とのこと。受け身ではなく、積極的に動ける仕組みが整っています。 - コーディネーターの無料サポートを活用する
ジェグテックには、国内外の取引に精通した中小機構のコーディネーター(アドバイザー)が在籍しています。マッチングの相談から海外展開のアドバイスまで、専門家のサポートを無料で受けられます。
「海外企業とのやり取りが不安」「商談をどう進めればいいかわからない」といった悩みも、コーディネーターに相談すれば的確なアドバイスをもらえます。成功報酬も不要なため、気軽に相談できる点が大きなメリットです。
ジェグテックの費用はいくら?
「無料とは書いてあるけど、どこかで費用がかかるのでは?」と思っているかもしれません。以下に費用の全体像を整理します。
| 項目 | 費用 |
| 登録費用 | 無料 |
| 月額利用料 | 無料 |
| 機能利用料(ニーズへの提案・企業検索など) | 無料 |
| コーディネーターへの相談料 | 無料 |
| マッチング成約時の成功報酬 | 不要 |
| 英訳ページ作成(初回のみ) | 無料 |
すべて無料です。公的機関が運営しているため、民間のマッチングサービスのようなコスト構造にはなっていません。ただし、商談への参加にともなう移動費など、自社の営業活動にかかる費用は自社負担となります。
新規登録の手順
ジェグテックへの登録は、申請から掲載開始まで1〜2週間程度かかります。あらかじめ流れを把握しておくと、スムーズに準備できます。
STEP1|申請フォームから登録申請する
ジェグテックの公式サイト(jgoodtech.smrj.go.jp)にある登録申請フォームから申請します。企業名・業種・技術・サービスの概要などを入力する形式で、特別な書類の準備は不要です。
申請前に「オンデマンド説明動画」を視聴しておくと、サービスの全体像を把握でき、申請をスムーズに進められます。
STEP2|審査通過のための申請書作成のコツ
申請内容は中小機構による審査を受けます。審査基準は「対象業種であるか」「技術・製品・サービスの特長が明確か」「大手・中堅・海外企業との取引実績・体制があるか」「販路開拓への意欲があるか」の4点です。
審査通過のポイントは「自社の強みを具体的に書くこと」です。保有機械・検査機器・得意な材質や形状、大学や研究機関との共同研究の有無、市場占有率やコスト面の強みなど、できる限り具体的な情報を盛り込みましょう。「なんとなく良い会社」ではなく「何が得意な会社か」が審査担当者に伝わる内容にすることが重要です。
STEP3|採択通知→アカウント登録→掲載スタート
審査を通過すると「採択通知」が届きます。通知を受け取ったらアカウントを登録し、自社情報を入力すれば掲載スタートです。
掲載開始直後から問い合わせが来るわけではありません。次のセクションで解説する「登録後のアクション」を実践することで、取引拡大の確率が高まります。
登録後に取引を拡大するためのアクション
ジェグテックで成果を出せる企業と出せない企業の差は、登録後のアクションにあります。登録しただけでページを放置してしまうことが最もよくある失敗パターンです。以下の4つのアクションを実践しましょう。
①企業ページを充実させる(動画・写真・PDFを活用)
企業ページに掲載できる情報は、テキストだけではありません。製品・技術の写真、会社紹介のPDF資料、動画も掲載できます。
実際にジェグテックを活用している企業の担当者からは「中小機構の担当者から『動画を載せた方が効果的』とアドバイスをもらい、自社で動画を撮影して掲載したところ反響が増えた」という声があります。ページの情報量が多いほど、相手企業が「この会社に連絡してみよう」と判断しやすくなります。
また、検索用キーワードを適切に設定することで、ジェグテック内の検索で見つかりやすくなります。自社の技術や製品を探している企業が使いそうなキーワードを意識して入力しましょう。
②ニーズへの提案を積極的に送る
登録すると、大手企業や海外企業のニーズ情報がメールで定期的に届きます。「対応できそう」と思ったら、すぐにジェグテックのページで内容を確認し、提案を送る習慣をつけましょう。
提案文では「なぜ自社がこのニーズに応えられるのか」を具体的に記載することが重要です。「対応できます」だけでは選ばれません。自社の技術・実績・強みを具体的に盛り込みましょう。なお、企業によっては自社を指名してコンタクトが来るケースもあります。ページの充実とニーズへの積極的な提案を両輪で進めることが効果的です。
③マッチングイベント・商談会に参加する
ジェグテックではWeb上のマッチングだけでなく、リアルの商談会やイベントも開催されています。海外企業との展示・商談会や、地域の中小機構が企画する商談イベントなど、直接顔を合わせてビジネスにつなげる機会が豊富です。
ある中小企業は、ジェグテックと中小機構が主催する商談会を組み合わせて活用することで、ベトナム商社との販売提携に向けたNDAの締結にまで至っています。Webと対面を組み合わせることで、成約率は格段に上がります。イベント情報はジェグテックのトピックス機能やメールマガジンで確認できます。
④コーディネーターに相談してマッチング精度を上げる
ジェグテックのコーディネーターは、単なるシステムの操作サポートにとどまりません。「どんなニーズにどう提案すれば響くか」「自社のページのどこを改善すべきか」といった実務レベルの相談にも応じてくれます。
海外展開を検討している場合は、ジェトロ(日本貿易振興機構)などの外部機関と連携した支援も受けられます。商談の進め方やNDA(秘密保持契約)の締結に関するアドバイスなど、取引成立まで伴走してくれる存在です。積極的に活用しましょう。
マッチング成功事例3選
「本当に成果が出るの?」という疑問に答えるために、実際に取引拡大につながった事例を3つ紹介します。
事例①:営業部門を持たない板金・加工業が県外大手から受注
板金やステンレスの加工において優れた技術を持ちながらも、営業部門を持たないために長年新規開拓に課題を抱えていた中小企業。ジェグテックに登録して自社の加工技術を発信したところ、遠方の県外企業から受注に成功しました。
この事例のポイントは「営業担当者がいなくても、技術をきちんと発信すれば相手から来てくれる」という点です。営業リソースが限られた中小企業にとって、ジェグテックは強力な補完ツールになります。
事例②:商談会をきっかけに海外企業との販売提携へ
ジェグテックと中小機構が主催する商談会を活用した中小企業が、ベトナム商社との出会いを経て、販売提携に向けたNDA(秘密保持契約)を締結しました。現在はアライアンス体制の構築を進めています。
Webサイト上の登録だけでなく、コーディネーターが仲介するリアルの商談会を組み合わせることで、海外展開という大きな目標に一歩近づいた好例です。
事例③:ナノテクノロジー系企業が継続的な商談機会を獲得
ナノテクノロジー分野の生産技術を持つ中小企業が、ジェグテックへの登録と同時に自社の動画を撮影・掲載しました。コーディネーターのアドバイスを実践した結果、週2回届くニーズメールを活用した継続的な提案活動が定着し、国内外から複数の商談機会を獲得しました。
この企業にとってジェグテックが初めてのマッチングサービスだったにもかかわらず、「動画を載せるだけで見られ方が変わった」という声が印象的です。
ジェグテックを使う前に知っておきたい注意点
ジェグテックは優れた公的サービスですが、登録すれば自動的に取引が増える訳ではありません。あらかじめ知っておきたい注意点をお伝えします。
【注意点①】成果が出るまでに時間がかかるケースが多い
研究・開発案件の場合、取引が具体化するまでに数か月〜数年かかることもあります。短期的な成果を期待するよりも、中長期の営業インフラを整えるという位置づけで取り組むことが現実的です。
【注意点②】ページを放置すると効果はほぼ出ない
登録しただけで放置している企業は、成果がほぼ出ません。ページの更新、ニーズへの積極的な提案、コーディネーターへの相談——これら継続的な行動が成果を左右します。
【注意点③】コンサルティング業・BtoCは対象外
前述のとおり、一部の業種は登録対象外です。「うちは使えるのかな?」と気になったら、まず対象業種を確認してください。
これらの点を理解したうえで活用すれば、ジェグテックは中小企業にとって非常に費用対効果の高いツールになります。
ジェグテックは登録後のアクションで成果が変わります
ジェグテックについて、基本から実践アクションまで解説しました。最後にポイントを整理します。
- ジェグテックは経産省所管の公的機関が運営する完全無料のBtoBマッチングサイト
- 登録できるのはBtoB系の中小企業(BtoC・金融・コンサルは対象外)
- 主な機能は「自社ページのPR」「ニーズへの提案」「コーディネーターの活用」の3つ
- 登録から掲載開始までは約2週間。審査では「自社の強みを具体的に書く」ことが重要
- 成果を出せる企業と出せない企業の差は「登録後の動き方」にある
ジェグテックは、営業リソースが限られた中小企業でも質の高い企業との取引機会を得られる、貴重なプラットフォームです。販路開拓でお悩みなら、ぜひ活用してみましょう。ジェグテック公式サイト



