2022年11月16日

VSIDEイベント

自分が熱狂できるビジネスに家業の経営資源を引き寄せていく〜アトツギアップデートSASEBO〜

特集・イベント

 

「家業を引き継ぐけどもっと事業を伸ばすためにはどうすればいいだろう」
「自分が跡を継がないといけないけど、もっと面白いことやりたいな」
そのようなことを思っている若手後継者を対象として、日頃の悩みやアイデアをシェア、ブラッシュアップしていくためのコミュニティプログラム「アトツギアップデートSASEBO」(2022年11月9日)を開催しました。

 


 

「アトツギアップデートSASEBO」に参加したメンバーは、来年3月に開催される中小企業庁主催の「アトツギ甲子園」や「スタートアップ99」(https://startup99.net)の出場を目指します。

今回は2022年7月20日に続き、2回目となるセミナー。講義形式の1回目と打って変わり、ワークショップを中心に行いました。前回にひき続き、一般社団法人ベンチャー型事業承継の山岸さんと、Code for Kitakyushu代表の糸川さんが講師です。
(前回のセミナーの様子はこちらから)

 

(左)山岸さん(右)糸川さん

 

セミナーには若手後継者だけでなく、自身で事業を行っている方も参加。ワークショップに取り掛かる前に山岸さんからご自身の活動の案内とともに「アトツギ」の可能性について話がありました。

 

山岸さんによると、これからの後継ぎには「ベンチャー型事業承継」が大事になってくる、とのこと。
「ベンチャー型事業承継」とは、先代から受け継ぐ経営資源をベースに新たな領域に挑戦する跡継ぎの在り方を言います。ベンチャー的な事業への取り組みを行うことで永続的な経営を目指し、社会に新たな価値を生み出せるとしています。この新しい跡継ぎの在り方を「アトツギ」と呼び、現在、中小企業庁など国が「アトツギ」の支援を押し進めているということです。

 

家業が持つブランド力と技術に、アトツギ自身の経験を掛け合わせた成功事例を紹介しながら「自分が熱狂できるビジネスに家業の経営資源を引き寄せていく感覚を今日のワークで得ていただけたら」とお話しされました。

 

次に糸川さんから参加者に質問が投げかけられました。

 

「どうして新規事業が失敗に終わるのか?」

 

参加者から回答を受けた後、糸川さんは有名な投資家の言葉を引き合いに出しつつ、事業の成功には「本当に愛されるものを作ること」「誰かの課題を解決するビジネス」が重要だということを説明。
とくにアトツギの場合は「ラブが強い」に市場があり、「刺さる人が少なくてもしっかり刺さるものを目指す」ことが大切だということです。

 

 

そしていよいよワークショップがスタート。

「課題解決のためのビジネス」「しっかり刺さるものを目指す」これらを体験的に学び、新しい事業を形づくるためのプロセスの習得を目的にしています。

 

まず、付箋を渡され「自分が抱える課題」の洗い出しから始まりました。個人的な悩みから事業の悩みまで書き出します。
その中から特に解決したい課題を選出し、A4用紙に貼り付けていきます。さらに解決策を考えていきました。始めは自分だけで考え、その次にグループで課題を共有しアイデアを出し合いました。

 

 

 

そこから最も解決したい課題を一つ選び出し、それを解決するためのアイデアを自由に出し合います。

相手の課題に対して自分のアイデアを出す場面では、活発な意見が出て「なるほど!」「へー」「めっちゃ面白い!」など笑い声もあがり、大変盛り上がりました。

 

 

 

 

休憩をはさんで後半戦。「アトツギの経営資源の活用」のワークに取り組みます。

 

設定された課題とアイデアをもとに、後継ぎの経営資源の活用を具体的に考えます。経営資源は販路、顧客、自身の経験などさまざまなものが資源になりうるとのこと。つまり、そのまま活用するのは難しく「応用」「転用」などバリエーションを考えることが大切だということです。

 

 

 

その話を受けて、アトツギキャンバスと呼ばれるビジネスの全体像を描くシートに経営資源、優位性、価値などを埋めていきます。

20分ほどかけてじっくり個人ワークを行い、その成果をピッチ(1分間のアピールタイム)します。

 

1分間という短い間でアピールするのは慣れないと非常に難しいものです。糸川さんから「名前を言っていない」「相手にしてほしいアクションを伝えていない」など指摘を受けピリッとした雰囲気となりつつも、参加者は笑顔で精一杯ピッチを披露しました。

 

 

 

最後に山岸さんからアトツギ甲子園についての案内と、オブザーバー参加の経済産業省九州局の職員さんから設備投資や事業承継で活用できる支援制度についての説明があり幕を閉じました。

 

 

セミナー参加者の感想

  • 解決策にはアナログとデジタルの両面あるというのが新しい発見でした
  • 具体的な成功事例を知れてよかったです。自分の経営資源を使って課題解決に向けて考えることは、リアリティがあって“強み”について考えるいい機会になりました。コミュニティもできて刺激をもらいました
  • 初めて参加して非常によかったです。意識の高い人が多く、学ぶことが多かったですね。自分の将来設計の見直しができたし、単に“野望”を抱くだけでなく、夢を形にしていきたいと思いました。次回も参加したいです

 
 

講師

山岸勇太氏

一般社団法人ベンチャー型事業承継事業戦略統括兼九州エリア責任者

1982年石川県小松市生まれ。実家は建築業を営んでおり、一族全員が大工家系。2005年法政大学工学部を卒業後、NTT西日本を経て2013年福岡県庁民間中途採用枠で入庁。2022年4月より一般社団法人ベンチャー型事業承継。

糸川郁己氏

I.I.(個人事業)代表、Code for kitakyusyu事務局長、(公財)北九州産業学術推進機構(FAIS)ロボット・DX推進センターDX推進担当課長

1980年北海道生まれ。仙台でSEとして就職し、2007年、異動を機に福岡県へ移住。現在は北九州市外郭団体の職員として事業連携および新ビジネス創出を支援。「北九州テイクアウトマップ」の開発や、「北九州市コロナ感染症情報サイト」の立ち上げなどを実践。