2023年11月28日

DXとIT

DXとITの違い|中小企業や個人事業主が導入する際のポイントも解説

起業・経営に役立つ知識

 

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)やITという単語は知っていても、具体的にどういったことを指すのか、よく分からないまま過ごしてきた人も多いのではないでしょうか。
実際、意味の幅が非常に広い単語であることから、個別具体的に事例を想像するのが難しい点は否めません。

厳密には、ITとDXの意味はそれぞれ異なりますが、ITがDXに必要な要素の一つであることは疑いありません。
この記事では、DXとITの違いについて、それぞれの意味を紹介しつつ、中小企業・個人事業主がDXを進める際のポイントについても解説します。

 

 

ITとDXの意味

まずは、IT・DXそれぞれの単語の意味について再確認しましょう。
便宜上、ITの意味から先に説明した方が分かりやすいため、この記事ではIT→DXの順に説明します。

 

ITとは

ITとは「インフォメーションテクノロジー」の略で、日本語に訳すと「情報技術」となります。
インターネット等の通信とコンピュータを駆使するのが特徴で、現代ビジネスにおいては様々な分野で活用されています。

IT化の例としては、これまで電卓を使って計算・手書きで帳簿付けをやっていた企業が、表計算ソフト・会計ソフトを導入したケースが分かりやすいでしょう。
既存の業務内容は変わっていないものの、業務効率・生産性がITによって向上したイメージです。

 

DXとは

DXは、日本語で「デジタルによる変革」と直訳できます。
つまり、デジタル化によってビジネスや生活を大幅に変えていくことを、DXといいます。

デジタル化とは、現実世界で連続して起こっていることを数値化し、コンピュータで処理できるよう変換することをいいます。
これまで数値として表示されなかった情報を、デジタル技術によって数字に変換・記録することにより、最終的には業務内容や組織そのものまで見直すことがDXに含まれます。

デジタル技術はITに不可欠なものであり、ITはDXにおいても重要です。

例えば、新型コロナ禍で脚光を浴びたビデオ会議は、これまでの出張や外回りといった営業アプローチの概念さえ変えてしまいました。
クラウドシステムを導入すれば、複数の拠点でもルールを統一して在庫管理がしやすくなるでしょう。

こういった新しいスタイルの働き方は、最先端のITによって支えられています。
DXには、企業・組織全体を変革するインパクトがあるため、取り組みが成功すれば企業として大きく飛躍する可能性があります。

 

 

 

 

個人事業主・中小企業でDXを進めるには?

ここまでお伝えしてきた通り、DXを進めようとすると、これまでの仕事のやり方が大幅に変わってきます。
一方で、DX化を検討せずこれまでのやり方を続けようとすると、DX化を進めた他社に差をつけられてしまうおそれがあります。

小規模事業者であっても、DXを契機にこれまでの仕事の仕方を見直す時期が近づいています。
以下、個人事業主・中小企業がDXを進める際のポイントについて解説します。

 

自社がDXで取り組むべき点を見極める

やみくもにDXを進めようとしても、無駄にコストがかかってしまうため、まずは自社でDXに取り組まなければならない点を見極めましょう。
社内の状況やビジネスモデルを考慮して、業務効率化を狙うのか、それとも売上増を狙うのかなど、DXの目的を決めていきます。

個人事業主の場合、営業も経理も自力で行う必要があるため、どちらが自分にとって苦手なのかを明確にするとよいでしょう。
例えば、営業力に乏しい・営業の経験が薄いと自覚している場合は、拡散力・宣伝力の強いECサイトに登録するなどして、自分の商品・サービス露出を狙うようなイメージです。

中小企業であれば、現在の人的リソースを確認した上で、自社に不足している要素・改善した方がよい要素を洗い出します。
また、各種DXツールを使いこなせるよう、DXに精通した人材を雇用することも視野に入れます。

 

小さなことから変えていく

DXでいきなり社内全体を変えようとしても、従業員や取引先の負担が大きくなってしまうため、まずは小さなことから変えていく意識が大切です。
比較的取り組みやすいジャンルとしては、紙ベースでのやり取りのデジタル化があげられます。

例えば、紙でやり取りしていた帳簿を会計ソフトに切り換えると、月々のデータを試算表にして確認するのも楽になります。
請求書発行に対応するソフトウェア等を導入すれば、自作のExcelに頼らずとも請求書の作成・発行ができ、電子請求書という形でペーパーレス化も実現できます。

 

得られたデータの活用を考える

DXを進めていくと、業務効率化だけではなく、自社だけのデータがたくさん手に入ります。
例えば、店舗販売に加えて自社のECサイトを運営した場合、以下のようなECサイトに関連する具体的なデータが集まってきます。

 

  • ECサイトを見てくれたユーザーの数
  • 実際に商品購入等のアクションを起こしたユーザーの数
  • 1回の購入でユーザーが使う金額(顧客単価)

 

これらの情報を、期間や目標、条件によって比較しながら紐解いていくと、問題点の仮説や改善に向けた行動をとりやすくなります。

 

 

まとめ

DXは、一見するとITと似たような意味合いだと勘違いしやすい単語ですが、実はIT化よりも広くて深い意味を持っています。
正しいプロセスで取り組めば、ある分野において大企業をしのぐ売上を実現できる可能性もあります。

自社が何を目的としてDXを進めるべきか、具体的にイメージするためには、まず社内の課題や改善点に目を向ける必要があります。
その上で、小さなことから改善を試み、成果を見ながら少しずつDXを進めていきましょう。