2023年02月24日

メニュー開発

佐世保の名物料理に学ぶ、オリジナリティあふれるメニューの作り方【起業アイデア】

起業・経営に役立つ知識

 

新型コロナ禍で新たなニーズが生まれたことにより、キッチンカーによる商品提供など、店舗経営とは異なる形での飲食店経営を考えている人は増えてきています。
佐世保でも、キューバサンドやドーナツ・たこ焼きなどのキッチンカーを見かけることがあるでしょう。

しかし、いざ開業することを考えた場合、例えば「佐世保バーガー」のような人気メニューを作り出すには、オリジナリティが求められます。
今回は、佐世保の数々の名物料理から、オリジナリティあふれるメニューの作り方について紐解いていきましょう。

 


 

 
 

佐世保バーガー

佐世保だけでなく全国でその名を知られている「佐世保バーガー」は、アメリカ海軍関係者の直伝レシピをベースに佐世保流のアレンジが加わり、佐世保の味として育ってきた経緯があります。
ただ、ルールは厳密に定められているわけではなく、『手作りでこだわりのあるメイドイン佐世保のハンバーガー』と定義されているにとどまるため、各店の工夫次第で味が変わってきます。

佐世保には「佐世保バーガー認定制度」もあり、認定委員が以下の5項目を基準に審査を行い認定しています。

 

  • コンセプト
  • 独自性・主体性
  • 信頼性
  • 地産地消
  • 将来性

 

佐世保バーガーは、バンズの種類に関しても自由度が高く、ワッフルで具材をサンドしたものもあります。
その一方、具材にはある程度の統一感が見られ、肉・卵・ベーコン・チーズ・野菜・自家製マヨネーズがはさんであるハンバーガーを多く見かけます。

このことから、佐世保バーガーから学べるメニュー作りのヒントは、次のようにまとめられます。

 

  • 手作り・できたての料理を提供する
  • 味のコンセプトを崩さない範囲で、斬新な材料を採用する

 

 
 


 
 

レモンステーキ

薄切りの肉をアツアツの鉄板で焼いて、レモンの風味豊かな和風ソースでいただく「レモンステーキ」も、佐世保で愛されてきたメニューの一つ。薄くスライスされた肉に、レモンの酸味がサポートを加え、重さを感じずに食べられるステーキです。

佐世保では1955年ころから親しまれている名物料理ですが、アメリカンステーキを日本人の口に合うようにアレンジしたのが始まりと言われています。

登場した当初は、レモンステーキを考案した兄弟が働いているレストランの人気料理にとどまりましたが、兄弟が独立して店を持ち、さらに兄弟の弟子たちが独立したことで、レモンステーキは広がっていったのです。

もちろん、その人気は佐世保市内にとどまらず、長崎県内外においてレモンステーキを提供している店舗はたくさんあります。
北海道の調味料メーカーが、自社製品を使用したレモンステーキのレシピを紹介している例もあり、レモンステーキは海を越えて愛されているメニューの一つと言えるでしょう。

以上の点から、レモンステーキから学べるメニュー作りのヒントは、以下のようにまとめられます。

 

  • 手海外のメニューを、日本人の口に合うようアレンジする(コッテリ味からサッパリ味にするなど)
  • メニューをシェアして、メニューそのものの人気度を高める(SNSで広範囲に宣伝するなど)

 

 

 

佐世保海軍ソフトクリーム

 

道の駅させぼっくす99で販売されている商品の一つ「佐世保海軍ソフトクリーム」は、「佐世保海軍珈琲」・「入港ぜんざい」を組み合わせた商品で、コーヒーの苦みとぜんざいの甘みという、2種類の味が絶妙にマッチしていることから人気を集めています。
佐世保産牛乳に佐世保海軍珈琲を練り込んで作った、ミルクコーヒー味のオリジナルソフトクリームと、長期の航海から母港に帰る際、入港日前日に乗員に振舞われたというぜんざいを組み合わせた商品です。

 

入港ぜんざいが振舞われていた旧海軍時代、当時は砂糖が高級品だったことから、貴重な食べ物だったと推察されます。

現在は、佐世保市内の飲食店で「海軍さんの入港ぜんざい」という名前で提供されており、小豆と餅の組み合わせだけでなく、白玉入り・たい焼き入り・冷製タイプなど、各店で個性的なメニューが提供されています。

また、佐世保海軍珈琲は、かつて佐世保海軍鎮守府で愛飲されていたコーヒーで、佐世保開港120周年を記念して発売されたものです。

佐世保海軍ソフトクリームの特徴は、古い歴史を持つ2種類の味を組み合わせ、新しい味を創造した点にあります。
このことから、佐世保海軍ソフトクリームから学べるメニュー作りのヒントは、以下のようにまとめられます。

 

  • ご当地で親しまれてきたメニューにスポットを当てて、それを組み合わせて新しいものを作る
  • 甘み+苦みなど、対極にあるものを同時に味わえる組み合わせを考えてみる

 

 

まとめ

佐世保の名物料理は、単純にルーツだけを紐解くのではなく、どのようにして発展していったのかに焦点を当ててみると、面白い発見がたくさんあります。
古くから親しまれているという理由だけでなく、お客さんの舌に合うようアレンジすることも、息の長いブランディングにつながっています。

佐世保の名物料理が発展した理由を学ぶことで、新しいオリジナルメニューができれば、やがてそれが新しい名物料理になるかもしれません。
この記事が、メニューのオリジナリティを構成する際のヒントになれば幸いです。