2023年06月03日
アイデア発想法
締め切りに迫られたあなたへ贈る「アイデアの発想法」
起業・経営に役立つ知識
新商品アイデア、新規ビジネス、企画コンペ、営業マンのクライアントへの提案…など、アイデアが求められる状況は様々だと思いますが、「期日のあるアイデア出し」と言うものは誰にとってもプレッシャーのかかる作業だと思います。
そこで、「何も思い浮かばない」という状況がちょっとでも打開できそうな、なるべく汎用性の高いアイデア出し、発想法をご提案したいと思います。
まずはアイデア出しで必須となる
1. キーワード出し 2. リサーチ作業 3. 企画の形づくり・選定 |
という3つのポイントに着目し、今回は「キーワード出し」に焦点を当てたいと思います。
例えば、テーマ「佐世保の新しいお祭り」という新規アイデアの募集があったとします。初動のキーワード出しではこんなやり方をおすすめします。
1.“あえて手描き”でキーワードを降らせる。
与えられたお題に対し、思いついた事をひたすらメモするキーワード出し。
ここでのポイントは、「あえて紙に手描き」でやる事です。
アイデアは頭の柔らかさや自由な発想が求められるように、普段のきちっとした仕事(例・領収書の精算、Excelの表計算、大事な取引先へのメール返信や企画書作成…など)とは全く違う脳を使います。
極力堅苦しさを取り払い、場所を選ばずひとりで出来る脳の切り替え方として、あながちバカにできないのが手描きのアウトプットで、最近は手描きでものを描く機会も少ないのでこれが結構いい刺激になるのです。
手描きのアウトプットは
- フードフェス
- 自転車
- 釣り
- いろんなお面
- 変わった屋台
- 子供の絵
- キャンプ
- コンテス
- VR
- 市長のサプライズ
などアイデアの種になりそうなキーワードだけでなく、
- お金をかけすぎず、だけどメディアに取り上げられそうな案
- 市内だけじゃなく、市外、県外からも人が来るような案
など、自分の考えやただの願望などでもOKです。この時点ではまとまりなど気にせず、自由に走り書きをしてみましょう。イラストでイメージ図を描いてもいいと思います。そこでまた遊び心が湧いてノッてくるかもしれません。
「これはパソコンでも同じように出来るのでは?」と思った方もいらっしゃるとは思いますが、アイデア出しの初動からパソコンでアウトプットしてしまうと、半分無意識のうちに「(まとめなきゃ)」「(文章の形にしなきゃ)」と“きちっとした仕事モード”が働いてしまう方が多いと思います。
せっかくなら「自由な発想の脳」に全振りできた方がいいのではないでしょうか。
まずは「手描き/PC・スマホの二刀流」でやってみてはいかがでしょう。
やっているうちに5:5でやるか、7:3でやるか、自分にとっていいバランスが見つかると思います。
2.3段階に分けてバリエーションを作る
企画は掛け算、なんて言われるように「お題×キーワード」で企画の形になる事もあります。
キーワード出しの時、私はバリエーションを作るために3段階に分けて考える事が多いです。
その1【ド直球ゾーン】
「×(かける)フードフェス」
「×(かける)」スポーツ」
「×(かける)海外」
「×(かける)コンテスト」
「×(かける)リアル脱出ゲーム」
「×(かける)B-1グランプリ」…など
いわゆる超王道系。成立しやすく、世間の関心が高いもの・時代のど真ん中のもの。
ウィークポイントは無難であるため斬新な企画とは言い難く、「佐世保が生んだムーブメント!」と全国区の話題にはなりにくいでしょう。
ただ、王道は凝った企画案が思ったより受けなかった時の大切な保険となりますし、
場合によってはクライアントがこういうわかりやすい路線を求めている可能性もあるので念のため少し残します。ド直球ばかりだと「誰にでも思いつく企画」と言われてしまうのでバランスには注意です。
その2【ちょいトレンド・ちょいひねりゾーン】
「×(かける)キャンプ」
「×(かける)筋肉」
「×(かける)香り」
「×(かける)農家」」
「×(かける)ネオンサイン」
「×(かける)古民家」
「×(かける)アート」
「×(かける)ドローン」…など
ド直球より少しひねった、100人中50人~70人くらいは興味があるだろうというラインを狙います。割とバランス感覚が問われます。若い方は「これ、今キテるんです!」と言うと上の年代の人たちに重宝される事もあるでしょう。
その3【チャレンジゾーン】
「×(かける)ストレス発散」
「×(かける)修行」
「×(かける)水風呂」
「×(かける)猫パンチ」
「×(かける)イメチェン」
「×(かける)釣り」
「×(かける)腕相撲」
「×(かける)食レポ」…など
テーマ「×(かける)〇〇〇」ですぐ企画が成立しないタイプのキーワードです。ですが、このチャレンジゾーンこそが意外なヒット企画に化ける可能性を秘めている貴重なゾーンだったりします。
ちなみにこの3段階、「ド直球とちょいひねりの線引き」などは曖昧です。この段階では誰かに見せるわけではないので、勢いを大切にアウトプットすればいいと思います。
キーワードが出ない!そんな時は?
キーワード出しで出尽くしたかな?と思った時はこんな方法もあります。
マインドマップで「見える化」
中央にテーマを描き、そこからキーワードを連想していく思考の表現方法「マインドマップ」はいつも重宝しています。連想ゲームのような図で「見える化」させた事で、箇条書きでは思いつかなかったキーワードが出てきたりします。
言葉の滝「Word Cascade」
私も最近知ったのですが「Word Cascade」という、システム内の単語ガチャに収納されている言葉が滝のようにランダムに降ってくるサイトがあります。
試しにぼーっと眺めてみたら、
「ホットコーヒー」「聖火ランナー」「おばあちゃん子」などのワードが降ってきました。
「佐世保の新しいお祭り」×「ホットコーヒー」=「佐世保ホットコーヒー祭り」ではピンときませんが、「ホットコーヒー」→「喫茶店」と連想してみました。
佐世保の喫茶店にスポットライトを当てるイベントがあってもいいかもしれない。 ナポリタンとか昔ながらの固いプリンとか、お店の名物がひとつの会場で食べられて… マスコットキャラは赤いタコさんウインナーのキャラにしたいな。あ、シブいマスターNo.1を決めるコンテストやってみてもいいかも。レトロな店だけじゃなくて今時のカフェにも参加して欲しいから『“昭和な喫茶店”VS“おしゃれカフェ”』って対決企画にするのもありかも! |
思考を巡らせると、「ホットコーヒー」もあながち捨てたものじゃないと思います。
ちなみに、アイデア出しを仕事にしている人たちは日頃から面白いと思った事、気になるトレンド、なんとなく頭をよぎった言葉などのキーワードをメモしている方が多いです。
すぐには役に立たないかもしれませんが、後から見返すとハッとさせられ、一気にインスピレーションが湧く事もあります。
人間なので何も思いつかない時があって当たり前です!ですが色んなやり方で足掻く事を繰り返す事で、ギリギリなんとかなったりします。締め切りはプレッシャーでもありますが、アイデア出しをする上で大事なエネルギー源になるとも感じています。
ものは試しでいろんな方法で自分に合った足掻き方を探してみてはいかがでしょうか。
著者紹介 |
きなの。(アイデアと文章)
テレビ業界で構成作家として活動を開始し、広告・Webなどのメディアで企画立案などのアイデア出しおよびライティングを仕事としています。業界は大体20年になります。 |