2023年10月25日

M&A/事業承継

個人M&Aという新しい選択|事業を買っていきなり社長!?

起業・経営に役立つ知識

 

人生100年時代を迎える日本において、いわゆる「老後2,000万円問題」など、将来に不安を感じている人は少なくありません。
特に、収入に上限が生まれがちなサラリーマンは、老後不安から副業・投資などの資産を増やす選択肢を模索しています。

そのような中、個人で事業を購入して社長になる、個人M&Aという選択肢が注目されています。
この記事では、個人M&Aとは何か、メリット・デメリットも含め解説します。

 

 

個人M&Aとは

M&Aとは一般的に、ある企業が別の企業を買収して新たな会社を立ち上げる・または吸収合併することをいいます。
そして、個人M&Aとは、個人が購入できるレベルの小さな企業を買収することです。

 

企業同士の合併は、億単位のお金が動くイメージですが、個人M&Aでは数百万~数千万という単位の金額で手続きが完了するケースが多く見られます。
複数の店舗・事業所を持つなど、手広く経営を進めている企業は高額になりやすく、店舗数が少なかったり、手掛ける事業が1つだったりする企業は少額になりやすい傾向にあります。

 

個人M&Aが広がった背景

個人M&Aが増えた背景には、個人事業主の後継者不在があげられます。
これまで、個人事業の継承者の多くは経営者の子ども・親族などでしたが、価値観の多様化・少子化にともない引継ぎを拒否する例が増えてきているのです。

そのような中、事業拡大を考える法人・独立起業を目指すサラリーマンが、個人事業のM&Aに注目するようになりました。

 

特定の事業分野の経験が豊富なサラリーマンの場合、ゼロから起業するよりも個人事業を購入した方が、労力節約・リスク軽減につながるからです。

その他、現在手掛けている仕事との相性が良いことを理由に、個人M&Aを前提に起業を考えている人もいます。

 

個人M&Aで使用する「マッチングサイト」

インターネット環境が進化したことにより、個人と企業との距離は、年々近づいています。M&Aにおいても「マッチングサイト」が登場しており、個人でも利用することが可能です。

 

M&Aは、仲介会社を利用してマッチングを成立させる選択肢もありますが、マッチングサイトを利用すれば、それよりも安価にマッチングを成立させることができます。
企業側としては、Web上で自社の目的・ニーズに沿った相手を探しやすく、交渉したい相手とのやり取りを直接行いやすいメリットがあります。

基本的に、売り手よりも買い手の方が多い環境のマッチングサイトが多いため、決まる時はすぐに話がまとまりやすいのもポイントです。

 

その一方で、不特定多数に企業情報が知られないよう掲載内容を限定しているケースでは、個人の買い手は敬遠せざるを得ない場合があります。

また、M&Aマッチングサイトに事業情報を掲載していると、その企業の取引先や自社の従業員が、事業譲渡の計画を知ってしまうリスクがあります。

 

そういった事情もあり、個人M&Aでマッチングサイトを利用する場合は、サポート体制や業種の傾向などを事前に確認することが大切です。

 

 

M&Aマッチングサイト「M&Aナビ」 https://ma-navigator.com/

 

 

国内最大級のM&Aマッチングサイトの一つ、TRANBI https://www.tranbi.com/

 

 

サイト売買に特化したラッコM&A https://rakkoma.com/

 

 

個人M&Aに取り組むメリット

起業の選択肢の一つとして、個人M&Aにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下、主なものをご紹介します。

 

事業立ち上げのコスト軽減

どのような業種であっても、一から事業を立ち上げるためには、相応の労力を必要とします。
しかし、個人M&Aで事業を引き継げば、スタートアップ時に苦労する部分を省いて起業できるため、大幅に事業立ち上げ時のコストを削減できます。

 

成長のスピードが早い

M&Aによって企業を買収しても、すぐに収入が増えるとは限りませんが、軌道に乗ると成長スピードが早くなる傾向にあります。
一つのビジネスの成功が新たなビジネスにつながっていくため、起業というよりも「企業経営」に取り組みたい人には、チャレンジする価値のある選択肢の一つです。

 

お金には代えがたい「やりがい」を見出せる

会社勤めを続けていると、収入増を目指しての努力には限界があり、所定の年齢における働き方・生き方の未来もある程度決まってきてしまいます。
そのような人生を見つめ直し、長く働く中でゴールが見える未来よりも、お金には代えがたい「やりがい」を求めて個人M&Aを選択する人も少なくないようです。

 

個人M&Aのデメリット

いくら小規模な事業であったとしても、経営者が変わるというのは、従業員・取引先などの関係者にとって大きな事件です。
個人M&Aを決断する前に、以下のデメリットについても理解を深めておきましょう。

 

不安・反感を招くリスクがある

M&Aでは、事業だけでなく人的資源も引き継ぐことになるため、顧客・取引先が新しい経営者に対して不安を覚える可能性があります。
従業員が前経営者を慕っていた場合、反感の情がわくことも考えられますから、買収前に信頼関係を醸成する努力を惜しまないことが大切です。

 

債務・利益に注意

M&Aで注意したいのが、帳簿に載っていない債務(簿外債務)のリスクです。
簿外債務のある企業を買収してしまうと、その債務も弁済しなければならないため、想定していた以上のコストが生じる可能性があります。

また、買収金額が低い場合、買収時点で利益が出ておらず業績が悪いかもしれません。
業績が悪い企業の収益を上げるには、相応の努力が必要ですから、その点も踏まえ事前調査の上で検討しましょう。

 

 

まとめ

個人M&Aは、すでに出来上がっている企業を手に入れられるメリットがある反面、企業で働く人々や関係者のことまで考えて判断する必要があります。
買収後に問題が発覚することも珍しくないため、必要に応じてM&Aの専門家に相談しつつ、自分の力量で経営・事業の発展が可能かどうか、見通しを立ててから決断しましょう。