2023年11月01日

主婦からライターへ

ライター稼業で生きていく〜最初は誰でも未経験〜

起業・経営に役立つ知識

 

さまざまな働き方が広がるにつれ、在宅でできることや、パソコン一台で始められるライターという職業が人気を呼んでいます。かくいう私も無職の主婦からスタートし、独立して2年が経ちました。

 

この記事では、ライターとして独立したい方に向け、独立する上での注意点や活躍するためのポイントについてまとめました。私自身の経験も少し紹介していますので、ご参考になれば幸いです。
 
 


 
 

ライターとして独立するパターン

ライターとして独立するパターンは主に以下の3つがあります。

 

  1. 専属ライターから独立
  2. 転職して独立
  3. 未経験から独立

 

一つ目は、編集プロダクションや出版社で専属ライターとして働いてから、独立するパターンです。すでにキャリアを積んでいる状態からの独立なので、実績を元に仕事を獲得していきます。勤めていた編プロから委託業務として依頼されるケースもあります。

 

二つ目は転職してライターになるパターンです。働いていた業界のつながりや専門知識を武器にして、仕事を獲得していきます。

 

最後に、私のように未経験から独立するパターンがあります。この場合はつながりもキャリアもないため、未経験でもできる小さな仕事から始めるのが主流です。

 

私の場合、地域情報サイトで取材ライターを募集していたことがきっかけになりました。前職で体調を崩して離職した経験から、無理のない働き方を考えていた時でした。「未経験可」「出勤不要」「ノルマなし」という柔軟な働き方が私にあっていたので、体調を見ながら楽しくスタートを切れました。
その後、採用頂いたメディアで経験を重ねながら「さまざまなメディアでお仕事がしたい」と思うようになり、開業届を出しました。

今は地元の同業者や企業様、編集プロダクションなどからお声かけいただき、さまざまなメディアで書かせていただいています。
 
 

独立前に準備しておくべきことは?

貯金をしてから独立するのがおすすめです。
独立後は、会社員と比べ収入が変動的になるおそれがあります。収入が激減しても生活ができるよう、準備をしておくと良いでしょう。生活防衛資金として、生活費の6か月分は確保すると安心です。

 

独立のタイミングは人それぞれです。収入ゼロからスタートさせる人もいれば、安定して稼げるようになってから独立する人もいます。
私の場合、前述した通り、ひとつのメディアで2年経験を積み独立しました。収入は安定していませんでしたが、「フリーで頑張っていく」という覚悟の意味で開業届を出しました。
 

画像はイメージです

 

 

独立のために必要なこと

ここでは具体的にライターとして独立するために必要なことについてお伝えします。

 

文章スキルを身に付ける

ノウハウ本もいろいろ出ているので数冊手に取ると良いでしょう。
一番良いスキルアップの方法は人に添削してもらうことです。客観的な視点をもらうことで自分の文章のクセに気づけます。つまるところ、実践のみです。
文章スキルに付け加え、リテラシーを身に付けることも大切です。

 

最近ではAIの進化によって、ネットの情報を元に記事が自動で作成できるようになりました。今後、依頼された仕事内容によっては、AIの活用も必要になってくるかもしれません。

 

ただ、ネット上の情報をまとめただけの、いわゆる「こたつ記事」(※)は、時に誤った情報を載せ、人を傷つけることもあり得ます。
手間であっても、取材などして確かな1次情報を取っていくことが、文章を取り扱うプロとして大切な心構えです。結果、品質が高いオリジナリティのある記事を生むことになり、ライターとしての実績や信頼にもつながります。

※こたつ記事:ジャーナリスト、ライターが現地に赴いて調査を行ったり取材対象者に直接取材したりすることなく、インターネットのウェブサイト、ブログ、掲示板、SNS、テレビ番組などのメディアで知り得た情報のみを基に作成される記事である。(ウィキペディアより

 

マーケティングを学ぶ

コンテンツ作りにはマーケティングの視点が欠かせません。マーケティングの視点があることで、プロジェクト全体における記事の位置づけも理解できますし、どのようなターゲットにどういう目的で執筆すればよいかがわかります。
売上に貢献できればクライアントも喜びますし、「結果を出せるライター」として信頼も深まるでしょう。

 

マーケティングというと難しく考える人もいるかもしれませんが、記事を納品する前に次のようなことを確認するだけでも、「マーケティングの視点があるライター」と思われます。

 

  • メディアの目的
  • メディアのターゲット
  • メディアのテーマ
  • 記事のテーマ・ターゲット・メッセージ・求めるアクション

 

いちいち答えてくれるクライアントは少ないかもしれません。なので仮説として上のことをまとめ、「このような考えで間違いないですか?」と聞くと、スムーズに答えてくれると思います。ぜひ試してみてください。

 

ポートフォリオを準備する

自分の実績がわかるものを準備しましょう。

ブログやnoteなどを使って自分の実績をまとめたページを作成します。記事のURLを貼るだけでなく、具体的にどのような業務を行ったか、どういったところに注意を払って執筆したかなど、詳細も記載しましょう。

 

私の場合はnoteに自己紹介と実績を公開しています。個人ブログよりnoteのほうが多くの人に届きやすいのでおすすめです。私自身もnoteで「長崎 ライター」で検索をかけて連絡いただいたことがあります。

名刺も準備します。おしゃれさは必要なく、営業できる名刺を作ることがポイントです。
 

画像はイメージです

 

 

収入を安定させるために必要なことは?

切れ目なくお仕事を続けるためには、「スキル」と「つながり」が大切だと考えています。詳しく説明します。

 

スキル

●ライターとしての専門性

専門性をもつことで「○○のことなら△△さん」とご指名をいただけます。
専門性としては次のようなものがあります。

  • 前職の知識や経験
  • 資格:薬機法・ファイナンシャルプランナーなど
  • 取材・インタビュー
  • SEOライティング
  • セールスライティング・コピーライティング

 

●プラスのスキル

ライティングスキルだけでなく、次のようなスキルを掛け合わせることで仕事を獲得しやすくなったり、仕事の幅が広がります。

  • デザイン
  • マーケティング
  • 動画編集
  • 撮影
  • メンター・コーチングなど

 

●自分のコンテンツ

自分のコンテンツを持つことでクライアントワークが不安定になっても収入を助けてくれます。次のようなものがあります。
SNS運営
ブログ運営
コンテンツ販売 電子書籍出版など

 

SNSでお声かけしてもらうこともあるので、SNSは営業ツールとしておすすめです。私自身も、これまでX(旧Twitter)やnoteなどでお声かけしていただいたことがあります。

 

つながりについて

●編プロや出版社と契約する

編集プロダクションに外部ライターとして登録するのがおすすめです。

仲介が入るので報酬は若干目減りしますが、さまざまな企業案件を斡旋してくれます。内容も多岐にわたるのでスキルアップもできます。

 

●異業種交流会などで営業する
足を使って営業するのも有効です。同業者だけのつながりでは、正直仕事は広がりにくいでしょう。

ちょっとした文章作成でも喜ばれるケースもあり、そこから大きな仕事につながることもあります。

 

●クラウドソーシングサービスなどに登録する
クラウドソーシングサービスやマッチングサービスの登録も忘れずにしておきましょう。

クラウドワークスやWantedly、ほかにもライターに特化したマッチングサービスもあります。低単価の案件もありますが「地域のライター」としてご指名いただいたこともありました。登録サイトとしてはライターマガジンの『ライター名鑑』がおすすめです。

 

●同業者から紹介してもらう

忙しい同業者と親しくなって、仕事を回してもらうという手もあります。とくに地方の取材ライターは少ないため重宝されます。

私自身も何度もライターの先輩からお仕事を回していただきました。

 

●取引したクライアントに再度声をかける

一度取引したクライアントと連絡をとることも大事です。ある程度信頼関係ができているので、新規で営業するよりスムーズに進みます。

SNS発信をしているクライアントなら「いいね」やコメントを残したり、定期的に連絡をとると良いでしょう。

 

 

仕事で大切にしていること

 

仕事をする上で最も大切なことは、クライアントに価値提供をすることだと考えています。価値提供というと漠然としていますが、具体的には次のようなことを念頭にいれながらコンテンツ作りをしています。

 

  • クライアントの負担を軽減できているか
  • 売上利益に貢献できているか
  • プラスアルファの提案をしているか
  • 締め切りや言われたことを守っているか
  • 約束できるサービスを提供しているか(できないことをできると言わない)

 

ライターを始めた頃は、自分を表現できる喜びが一番でした。そして独立直後は文字を埋めるので精一杯になっていました。

今は、経験と失敗を重ねることで少しずつわかってきたことが増え、広い視野で考えられるようになりました。

まだまだ十分にミッションを果たせているとはいえませんが、少しでも理想に近付けるよう努力を続けています。

 

独立すれば自由である反面、信頼第一という面もあります。責任を持った言動が必要ですし、常に誠実でありたいものです。

 

 

ライターとして独立を考えている人へ

ライターとして独立する方法や注意点などについて紹介しました。

私は取材記事をメインに活動しています。未知のジャンル、プロフェッショナルとの出会いは本当に毎回刺激的です。お金以上の財産をいただいていると感じています。

 

私の性格として「人の人生にやたら興味を持つ」「好奇心旺盛」「勉強が好き」という特性があり、周りの人に「変わっているね」と言われ続けてきました。世間の感覚とずれている自分に自己嫌悪したことさえありました。

けれど今は、ライターとしてこれらの特性が活かされていると感じています。
ライターという仕事の魅力を知って、自分らしく働ける人が増えたら何よりです。

 

 


 

出口やえの
佐世保市在住のフリーライター
大学時代「社会調査法」という授業を受けたことをきっかけに取材の楽しさを知り、大学院時代には台湾と沖縄の離島で長期滞在し、食文化について研究。卒業後は3人の子育てをしながら10年主婦として過ごす。

学生時代の取材の楽しさが忘れられず、2019年ライターとして活動開始。飲食店の紹介から企業インタビューまで、幅広く取材を行い、紙・Web問わず執筆。これまで200件以上の取材を実施。今後はSNS運用支援や写真撮影もできる取材ライターとして地元企業のサポートをしていくこと計画中。

VSIDEではセミナーレポートなどを担当