2024年02月19日
ゲストハウス開業
ポストコロナ時代のゲストハウス開業|成功のカギは『ワーケーション』
起業・経営に役立つ知識
新型コロナ禍によって働き方が多様化したことにより、宿泊施設に求められる機能も変化しています。
ゲストハウスも同様で、ワーケーションなど多様な働き方をする宿泊客を受け入れるため、新しいコンセプトでの運営が求められています。
また、新型コロナウイルスの脅威は未だ健在であり、高齢者など重症化リスクが高い人の中には「感染予防」のためゲストハウスを利用する人もいます。
この記事では、そんな“ポストコロナ時代”において知っておきたい、ゲストハウス開業に役立つ知識をご紹介します。
ポストコロナ時代のゲストハウスは『ワーケーション』に注目
新型コロナ禍を迎える前、よく聞かれていたゲストハウスのニーズとしては、次のようなものがあげられます。
- できるだけ安く泊まりたい
- (外国人を含む)宿泊者との交流を楽しみたい
- 旅先での情報収集に利用したい
これらのニーズは、ポストコロナにおいても引き続き存在していますが、新型コロナ禍を経て新たなニーズも生まれています。
そのニーズとは「普段暮らしている場所とは違うところで働きたい」または「働きながら旅行したい」というものです。
このような働き方・過ごし方は『ワーケーション』と呼ばれ、単純に企業等が休暇取得促進のために行うだけでなく、移住・定住促進といった意味合いで理解されることもあります。
ポストコロナ時代のゲストハウスには、ゲストハウスとしての特徴・長所は維持しつつも、仕事をすることも含めた長期滞在が可能な設備の導入が求められているのです。
なぜワーケーションへの対応が重要なのか
ゲストハウスにワーケーション対応の要素が求められる理由としては、次のようなものが考えられます。
- ノマドワーカーなど「場所にとらわれない働き方」を選ぶ人の増加
- 空港等の既存路線再開・新路線スタートの動き
- 旅行客の長期滞在がもたらすメリットの大きさ
ゲストハウスとして差別化を図るためには、小手先の改善ではなく「ターゲットのユーザビリティを徹底して向上させる」ことが重要です。
例えば、ノマドワーカーに“対応している”ことと、ノマドワーカーが“ずっと過ごしたくなる”こととの間には、非常に大きな差があります。
働きやすいワーキングスペース・Wi-Fi環境を用意するのはもちろんのこと、打ち合わせが可能な会議室を完備するなど、機密保持にも配慮した設備を用意できれば、多くのノマドワーカーが魅力を感じて長期滞在を検討するでしょう。
公共交通機関の路線拡充が進めば、これまではなかなか足を運ぶ人がいなかった地域にも、長期滞在者が増える可能性があります。
そして、長期滞在者が自分たちの経営するゲストハウスに足を運んでくれて、その居心地の良さを実感してくれれば、リピーターとして訪れてくれることが期待できます。
長期滞在者の人数がある程度予測できるようになると、収入も安定し、経営はより盤石になります。
このように、ワーケーションを意識したゲストハウスづくりに取り組むだけで、非常に多くのメリットを享受できる可能性があります。
これからゲストハウス経営をスタートさせるのであれば、いかなるコンセプトで経営するにせよ、ワーケーション対応は必須と考えるべきでしょう。
実際にゲストハウスを開業・経営するために
安定した集客を実現できるゲストハウスを開業・経営するためには、基本的な開業手順を踏まえつつ、差別化を図るポイントを考えることが大切です。
以下、一般的な開業の流れと、差別化を図るポイントの考え方について解説します。
ゲストハウスの開業手順
ゲストハウスの一般的な開業手順と、それぞれの手順において留意すべき事項としては、概ね以下の通りです。
手順 | 留意すべき事項 |
1.コンセプトを決める |
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2.資金の確保 |
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3.物件を探す |
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4.許認可申請を行う |
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5.集客方法を検討する |
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まずは、上記の流れを押さえ、開業までの動きをイメージしましょう。
差別化を図るポイントはどう考える?
ゲストハウスを経営する上で、他のゲストハウス・他の地域と差別化を図るには、次の点にフォーカスするとよいでしょう。
- 地域の魅力を“地元民を巻き込んで”発信すること
- 宿泊客にとって居心地の良い環境を構築すること
- ターゲット層を具体化すること
ゲストハウスの経営における理想は、自分たちのゲストハウスに「宿泊すること自体が旅行客の目的になる」ことです。
しかし、人脈やリピーター客、協力者がいない中、いきなりそれを実現しようとするのは難しいでしょう。
そこで、他ゲストハウスも含め、地元でサービス・商品を提供する業者を巻き込みながら情報発信していくことが、継続的な成長には不可欠です。
自分たちのゲストハウスでお店やアクティビティを紹介し、紹介先を通して自分たちのゲストハウスに宿泊してくれる人が増える好循環ができれば、地域全体が潤います。
ゲストハウス内部については、宿泊客にとって居心地の良い空間を提供できるよう工夫しましょう。
ワーケーション利用者を想定するのであれば、仕事がしやすい環境をつくるだけでなく、徒歩圏内に買い物ができる施設・バス等の停留所があるかどうかも重要なポイントになります。
シニア層やカップルなど、ターゲットの属性によって必要な設備も変わってきます。
地域をよく訪れる旅行客をターゲットにするのか、新たなターゲットに訴求するのか、差別化の方向性を明確にすることも大切です。
まとめ
ゲストハウスは、ホテル等に比べて格安で宿泊できる施設のため、旅行客から人気のある施設の一つです。
ポストコロナ時代においては、新しい働き方に順応した長期滞在者が訪れる機会が増えるものと予想され、どのようなコンセプトにおいてもワーケーションへの対応は充実させる必要がありそうです。
経営を軌道に乗せるためには、ゲストハウスだけで頑張るのではなく、地域の魅力を発信できるような協力体制を構築することが大切です。
旅行客がゲストハウスに望んでいることを反映しつつ、同時に「自分たちのゲストハウスでしか体験できない」オリジナリティを追求することが、多くの人に愛されるゲストハウス経営のコツと言えるでしょう。