2024年05月01日

パーパス

これからの起業に必要な「Purpose(パーパス)」とは|注目される理由も解説

起業・経営に役立つ知識

 

現代に生きる人類は、世界的に様々な課題に直面しており、経営においてもそれらの問題の解決が期待されるようになりました。近年になり、新しく提唱・注目されるようになった「Purpose(パーパス)」という概念も、そのような背景から生まれたものと考えられています。

パーパスという単語について聞きなれない人も、これから起業を志すのであれば、パーパスとは何なのかを理解した上でビジネスモデルを考えたいところです。

 

この記事では、パーパスの概要や注目される理由、自社でパーパスを決める際のポイントなどについて解説します。

 

 

Purpose(パーパス)とは

Purpose(パーパス)を直訳すると、目的・意図などの日本語になりますが、ビジネスシーンにおけるパーパスのニュアンスは少し異なります。具体的には、企業の「存在意義」に近い意味合いで用いられ、極端な話「自分の会社は何のためにあるのか」という問いに対する答えがパーパスとなります。

 

単純な自社・自社製品の強みだけでなく、顧客・社会に与えるインパクトや共感の強さも含め、パーパスは構成されます。自社が社会にとって何を成せるのか、なぜ存在価値があるのかを明確にしたパーパスは、企業の戦略やビジョンにも大きな影響をもたらす概念なのです。

 

ミッション・ビジョンとの違いについて

パーパスと似たような概念に、行動指針であるミッションや、企業のあるべき姿であるビジョンがあげられます。これらはいずれもパーパスを根底に置いて成り立つものであり、ミッションはパーパス実現のための戦略を、ビジョンはパーパスの実践を継続してたどり着く最終地点(素晴らしい未来)を指します。

 

パーパスは、一貫性のある経営を実現するにあたって不可欠なものであり、多様な人材を一つの組織にまとめるための役割も担います。
なお、パーパスを指針とする経営は「パーパス経営」と呼ばれ、企業の継続的な発展を実現する上で重要とされます。

 

 

Purpose(パーパス)が注目される背景

パーパスは、消費者が自社を選んでくれる動機になるなど、今後の事業成長性をはかるポイントにもなっています。
以下、パーパスが注目される背景について解説します。

 

SDGs

SDGsとは日本語で「持続可能な開発目標」の意味で、貧困・紛争・地球温暖化といった世界規模の問題を、世界が協力して解決しようという目標のことを指します。
起業においては、自社のパーパスがSDGsにつながっているかどうかが注目され、パーパス次第でビジネスの将来にも変化が生じる可能性があります。

 

例えば、「街で暮らすすべての人に朝ごはんを食べてもらう」というパーパスから、1食300円で朝ごはんが食べられる食堂の経営をスタートさせたとします。原価を抑えつつ経営を軌道に乗せるには、一つの方法として“おつとめ品”を主体として献立を構成するなどの工夫が必要になり、結果的に目標1「貧困をなくそう」や目標12「つくる責任つかう責任」の達成につながるかもしれません。SDGsを考慮した経営が国際社会で高く評価されると、投資などを受ける際にも有利に働きます。
無軌道な経営ではなく、自分たちの社会改善に対する「想い」を反映させることが、これからの経営においては重視されるものと推察されます。

 

価値観の変化

消費者の価値観は時代とともに変わるため、普段購入する商品・サービスを選ぶ際に注目するポイントも、世代によって異なります。特に、価値観が多様化する現代においては、世の中や人々の生活に“良い影響をもたらしているかどうか”を軸にメーカー・ブランドなどを選ぶ人が増えてきています。

 

もちろん、パーパスに共感して商品・サービスを購入する層も一定数存在しているため、自社としてパーパスを明確にすることは、消費者に対しての効果的なアピールにつながります。
付け焼刃で考えたパーパスはかえって逆効果ですが、事業や社会の将来を考えた上でのパーパスであれば、多くの人に受け入れられるでしょう。

 

ブランディング

「自社が社会に対して何をするのか」をパーパスによって明らかにすることは、そのまま自社のブランディングにつながっていきます。
ビジネスとしてやる・やらないの軸を明確にすることで、顧客や取引先に存在感を示しつつ、必要とする人々に自社を選んでもらうきっかけにすることができます。従業員の意識にも良い変化を起こし、立場や考え方は違えど一つの目的に向けて進む心理的基盤ができるため、多様性が進む社会の中で自社への求心力を強化するため、パーパスに注目する企業も少なくありません。

 

また、DXのような大きな変革を実現するにあたり、自社のコアとなる企業価値を再確認する意味でも、パーパスの存在は重要です。

 

 

 

自社のパーパスを決める際のポイント

パーパスは、経営者の理想だけを突き詰めるのでは意味がなく、従業員も含む周囲からの共感が得られるものを考えることが大切です。
以下、自社のパーパスを決める際に注目したいポイントについて解説します。

 

現実味のある貢献を意識する

企業の存在理由は単純明快に定義できるものではなく、自社のビジネスが貢献できる分野は限られています。
夢だけを膨らませるのではなく、自社がこの世界において「何を実現するために存在しているのか」について、現実味のあるレベルにまで落とし込むことを意識しましょう

 

自分の言葉でまとめる

パーパスにおいて重要な要素の一つが「言語化」で、できる限りシンプルで分かりやすい言葉にすることが、パーパスを浸透させることにつながります。
その上で可能であれば、他社が使用していない言葉または言葉遣いを意識して、オリジナリティを感じさせるものにすることが大切です。

 

ターゲットを決め込むのはNG

パーパスを考える上で注意したいのが、パーパスは「キャッチコピーではない」という点です。
ターゲットからの好感を意識することは、経営における骨子を失うことにつながりかねないため、時代を経ても自社が提供・貢献できるものを意識して考えましょう。

 

 

まとめ

ビジネスシーンにおけるパーパスとは、自社の根本的な存在意義を示すものであ

り、会社全体にわたっていきわたるべき指針でもあります。
世の中が「あの企業はこんなことをしているんだ」と明快にイメージでき、かつそのイメージが強固なものであれば、繁栄も末永く続くことでしょう。