2024年06月21日

eコマース

越境EC │ 低コストで世界に挑戦できるビジネスモデル

起業・経営に役立つ知識

 

インターネットショッピングの市場が世界的に拡大する中、注目を集めているのが「越境EC」です。プラットフォームと物流が発達したことで、個人でも比較的手軽に世界へ商品を販売できるようになりました。さらに最近の円安効果で、越境ECの売上は増加傾向にあります。本記事では、越境ECの魅力や始め方について簡単に解説します。

 

 

越境ECとは?

越境ECとは、インターネットを通じて海外の顧客に商品やサービスを販売するビジネスモデルのことを言います。越境ECでは特定のプラットフォームを経由することで、少額の商品でも容易に世界各地の顧客に販売できるのが特徴です。越境ECは海外市場へのビジネス拡大のチャンスとして大きな可能性を秘めています。

 

 

越境ECのメリット

越境ECには次のようなメリットがあります。

 

  1. 現地の実店舗を持たず販売ができる
    現地に物理的な実店舗を設ける必要がなく、開業費用の削減など運営のコストが抑えられます。インターネット上で自国にいながら世界中の消費者に商品を販売することが可能です。
  2. 市場を拡大できる
    国内市場の限界を超え、成長性のある世界の市場に直接アクセスできます。それにより新規顧客獲得のチャンスの幅が広がります。
  3. メイドインジャパンのブランド力を使い、集客できる
    メイドインジャパンの製品は海外でも高い評価を得ています。メイドインジャパンのブランド力を活用しつつ、各国の消費者ニーズに合った商品選定をすることで海外で勝負ができます。とくに注目すべき点は、インバウンドの旅行後の購買行動です。旅行で日本に訪れた外国人が自国に戻って日本の製品を求めることがあります。とくに、大きな市場である中国は日本に訪れる観光客も多く、地理的メリットもあるため、販売しやすい環境にあります。
  4. 国をあげて越境ECを支援している
    最近では越境ECのためのプラットフォームが整いつつあり、国もJETROなどの機関が越境ECの支援を行っています。DX事業や、中小企業支援などさまざまな国や行政の支援を使いながら越境ECサイトの設立も可能です。

 

 

越境ECのデメリット

次に、越境ECのデメリットについても見ていきましょう。

 

  1. 輸送コストがかかる
    海外への配送料は国内の配送料より高いためコストがかかります。また輸送の距離が長くなるため、商品の品質保持や破損、遅延、紛失といったリスクもあります。輸送コストを削減するためには一括出荷や適切な物流パートナーの選定が必要です。
  2. 国や地域によって法規制と税金の対応が必要
    各国の法規制や税金に対応する必要があり、複雑な手続きが求められることもあります。関税の対象となるものはHSコード(国際統一商品分類)で確認をする必要がありますし、法律で輸出入が禁止されているものもあります。
  3. 言語と文化の違いがある
    海外の顧客とのコミュニケーションは、言語や文化の違いを考慮する必要があります。自動翻訳では十分なコミュニケーションができず、認識の齟齬を生み、トラブルになりかねません。言語や文化の違いはローカライズの専門家や多言語サポートサービスの利用により対応するとよいでしょう。
  4. 為替変動リスクがある
    海外との取引では外貨での決済を行うため、外貨で値段設定をした場合は為替変動のリスクがあります。例えば円高傾向にある場合は円換算にした場合、売上額が減少し、円安傾向にあれば売上額が上昇します。

 

 

 

越境ECの始め方

  1. 市場調査を行う
    最初にターゲット国を選定し、市場調査を行うことが大切です。市場調査を怠ると思ったように売れず、失敗をする恐れがあるからです。
    売ろうとしている商品の市場規模だけでなく、文化的要素、法律や規制などを把握する必要があります。合わせて、消費者のニーズや市場のトレンドをリサーチします。競合他社の特徴や市場シェアを調査し、差別化ポイントを見つけることも大切です。ターゲットの顧客層を絞ったら適切なアプローチや戦略をたてましょう。
  2. ECプラットフォームを選定する
    自分の販売したい商品やサービスに適したプラットフォームを選定します。セキュリティ、決済オプション、国際配送、言語対応などをチェックしましょう。
    プラットフォームは主に以下の2つのタイプにわかれます。

    モール型

    モール型は、インターネット上のショッピングモールに出店する方法です。有名どころは、中国の「天猫」や米国の「Amazon.com」などです。
    モール型は集客力が高い点がメリットですが、出店費用や販売手数料がかかる点とサイト内を自由にカスタマイズできないデメリットがあります。

    自社型

    自社型は、独自ドメインを取得して独自のネットショップを開設する方法です。代表的なプラットフォームとしてはShopify、Wix、Adobe Commerceなどがあります。自社型は、モール型と比べて初期費用や販売手数料が低く、カスタマイズしやすいと言えるでしょう。ただし独自ドメインはユーザーの流入が弱いため、SEOや広告など集客対策を行う必要があります。

  3. 商品登録と翻訳を行う
    プラットフォームが決まったら 商品情報を登録します。商品の写真、説明、仕様、価格など、ターゲット国の言語と文化に合わせて情報を翻訳・適応させましょう。
  4. 国際配送と物流システムの準備をする
    信頼できる国際物流パートナーを選定します。 適切な在庫管理と追跡システムを導入することで効率的に配送します。
  5. プロモーションする
    SNSやオンライン広告などを活用して認知度を高めるためのマーケティング施策を行います。
  6. カスタマーサポートを準備する
    ターゲットとする市場の言語や文化に適したカスタマーサポートの準備をします。 迅速な対応や返品・返金ポリシー、問い合わせへの対応体制を構築しましょう。

 

 

まとめ

越境ECには売上の増大やブランドの認知度向上、ビジネスの多様化など、さまざまなビジネスチャンスを広げる可能性があります。

特に最近は歴史的な円安により、海外の人にとっては割安感があり購入機会が増加傾向にあります。円安の今、大企業のみならず中小企業の事業者も、世界に挑戦するまたとないチャンスがやってきています。

その一方で、越境ECで成功するためには、デメリットに対するリスクヘッジをしながら適切な準備をしていく必要があります。可能性を秘めたビジネスモデルですので、あなたも国内市場だけでなく世界に向けてトライしてみませんか。