2024年06月26日

ヴィーガン対応

日本でも無視できない?飲食店のヴィーガン対応について解説

起業・経営に役立つ知識

 

近年、海外を中心に広まる「ヴィーガン」という思想は、日本の飲食業界でも無視できない状況となっています。
日本を訪れる外国人が増えたこともあり、ヴィーガン対応の有無が売上に影響することは疑いなく、どのような形態のお店であっても何らかの対応を検討すべきでしょう。

この記事では、そもそもヴィーガンとはどのような人々を指す言葉なのかを確認した上で、飲食店が取れるヴィーガンへの対応について解説します。

 

 

ヴィーガンとは

ヴィーガンとは、いわゆる「ベジタリアン」の一種であり、ピュア・ベジタリアンと呼ばれることもあります。
日本語に訳すと完全菜食主義者となり、あらゆる動物性の食品を摂取しない人々を指します。

ヴィーガンの人たちがそのような生き方を選んだ背景には、宗教や環境保護・動物愛護といったポリシーがあり、多くの人は自炊・外食を問わずヴィーガンであることを徹底します。
具体的には、肉・魚・卵・乳製品・はちみつといった食材を用いた料理を、あらゆる場所で摂取しないよう心がけているのです。

より動物の命を尊重する「エシカル・ヴィーガン」の人々は、動物の骨や皮を原料とするゼラチンや、魚が原料に含まれている魚醤を摂取することさえ避けます。
ヴィーガンほど厳格でないベジタリアンの人であっても、やはり肉や魚は食べられない人が多いことから、様々なバックボーンを持つ海外観光客にお店を利用してもらうためには、何らかの対応が求められるでしょう。

 

 

 

 

飲食店でヴィーガン対応を進める前に

これから飲食店でヴィーガン対応を進めていくためには、ヴィーガンの人が食べられるものや、ヴィーガン向けメニューの例について勉強することが大切です。
以下、ヴィーガン対応を進める前に知っておきたいことをいくつかご紹介します。

 

ヴィーガンが食べられる食材の種類

ヴィーガンの人々が口に入れられる食材としては、次のようなものがあげられます。

 

野菜・果物
  • 基本的に、野菜・果物は種類を問わず食べられる
  • 仏教思想を背景にヴィーガンとなった人の場合は、にんにく・にら・らっきょう・ねぎ・あさつきといった匂いの強い野菜は食べられない
穀物
  • 穀物は例外なく食べられるため、白米・玄米・うどん・そば・パスタなどは食べても問題ない
  • パンに関しては、一部乳製品が含まれるものがあるため注意
大豆製品・豆類
  • 大豆製品や豆類は、ヴィーガンの貴重なたんぱく源となる
  • 日本では豆腐・納豆など大豆製品が豊富に存在するため、可能な限りメニューに組み込みたい
ナッツ類
  • 栄養価が高く、こちらもメニューに組み込める食材
  • たくさん食べるとカロリー過多になるおそれがあるため注意
調味料・甘味料
  • 調味料に関しては、日本食で用いられる大豆由来の調味料や塩など問題なく摂取できる
  • 甘味料の場合は、未精製の砂糖やココナッツシュガーなど、完全植物由来のものを採用する

 

ヴィーガン向けメニューを作る際は、基本的に上記のラインナップの中から食材を選ぶことになるでしょう。

 

代替食品についても知っておこう

原則としてヴィーガンは動物性食品を食べられませんが、そのような食品を植物由来の食材で代替した食品も数多く存在しています。
代表的な食品としては、次のようなものがあげられます。

 

代替肉

(プラントベースミート)

  • 大豆ミート・グルテンミートなど、豆や小麦たんぱくなど植物を原料として肉の質感を再現した肉のこと
  • 海外ではえんどう豆を使用したものが主流
代替乳

(プラントベースミルク)

  • アーモンドミルク・豆乳など、植物由来の原料のみを使用した飲料を指す
  • 牛乳とは違った栄養素を摂取できるメリットがあり、種類も豊富なため、色々な味のものを選べる
スイーツ向け食材
  • ココナッツミルクパウダー・豆乳を使用した「植物性カスタードクリーム」や、ポテトプロテインなどを原材料とした「植物性卵白パウダー」など
  • 植物性スイーツの物足りなさをカバーする食材として活用される

 

ヴィーガン向けメニューを周知するには

ヴィーガン向けメニューで使用できる食材を理解し、実際にメニューを準備したとしても、それだけでは海外観光客などが自分たちのお店を選んでくれるとは限りません。
次にご紹介するような方法で、ヴィーガン向けメニューがあることを周知することによって、ヴィーガンがお店に足を運ぶきっかけを作ることが大切です。

 

店内メニューの整備

ヴィーガンの人々は、メニューにヴィーガン対応が可能と表記するだけでは不十分で、どのような食材が使用されているのかを明記しなければなりません。
また、口頭で聞かれた際に説明できることも重要であり、これらの点を準備することが最初のハードルになるでしょう。

 

認証マークの取得

ベジタリアン・ヴィーガンの各種協会から認証マークを取得すると、そのマークを店頭に表示することができます。
認証機関を利用せず、Vマークと呼ばれる独自のマークを用意して、肉・魚・卵・乳製品などの不使用食材を可視化する方法もあります。

 

店舗の情報発信

自分たちのお店がヴィーガン対応していることは、店頭だけでなくオンラインでもアピールすることが可能です。
各種SNSへの投稿や、GoogleMapsへの店舗情報掲載などを行うことで、不特定多数の人に店舗の存在やメニューについて知ってもらう機会を増やしましょう。

 

 

まとめ

ヴィーガンの人々への対応が可能な飲食店は、そうでない飲食店に比べて来客数が増えることが期待できます。
海外からやってくる観光客の中には、ヴィーガン対応が可能なお店以外を利用しない人もいるため、自分たちのお店でメニューを考案できるのであれば、できる限りの対応を検討したいところです。