2024年09月25日
働き方
フリーランス・個人事業主・自営業は何が違う?単語の意味やメリットについて解説
起業・経営に役立つ知識
企業の副業解禁、マッチングプラットフォームの増加などにともない、個人が自分のスキルを活かして働くケースが増えてきています。
日本ではまだまだ会社員という働き方を選ぶ人が多い状況ではあるものの、フリーランス人口は増加傾向にあり、個人事業主・自営業という選択肢を選ぶ人も珍しい時代ではなくなりました。
ところで、フリーランス・個人事業主・自営業という3つの単語、それぞれ意味合いが微妙に異なるのですが、読者の皆さんは分かりますか?
この記事では、フリーランス・個人事業主・自営業それぞれの意味や、それぞれの働き方を選ぶメリットについて解説します。
フリーランス・個人事業主・自営業の意味
フリーランス・個人事業主・自営業は、個人事業主を除き、その定義にあいまいな部分が見られます。そのため、それぞれが意味する働き方を理解した上で、必要に応じて使い分ける必要があります。
フリーランスとは
厚生労働省では、フリーランスを「実店舗はなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者(農林水産従事者は除く)」と定義しています。
一般的に認識されているフリーランスの意味合いも、厚生労働省の定義と似たような部分があり、概ね「特定の会社・組織に属さず自身のスキルを活かして働いている人」と認識されているケースが多いようです。
また、フリーランスを「スキルを活かした自由な働き方の一つ」として認識している人も少なくなく、例えば飲食店などの店舗を経営している人は、フリーランスには該当しないものと考えられています。
その一方で、自分の会社を立ち上げているフリーランスもいることから、多くの人は、一人で仕事を請け負っている人の中でも、より自由度の高い働き方をしている人をフリーランスと呼んでいるものと推察されます。
個人事業主とは
個人事業主とは「継続して事業を行う個人」のことであり、税法上の区分でもあります。税務署に対して「開業届」という書類を提出することで、個人事業主になることができます。
個人事業主になると、経費や給与支払いの面で有利になる「青色申告」が利用できるようになり、最大で65万円の税控除が可能になるなどのメリットがあります。
あくまでも税法上の区分の一つであることから、フリーランスを名乗る個人事業主もいれば、自営業を名乗る個人事業主もいます。
自営業とは
自営業とは、自ら事業を営んでいる人を指し、業種・形態を問わず事業を営んでいれば自営業を名乗ることができます。
小売店や美容院、農家のほか、デザイナー・エンジニア・カウンセラーといった職種も、自ら事業を営んでいるなら自営業に分類されるでしょう。
注意点として、多くの手続きにおいて職業を記入する欄には「自営業」という選択肢が見受けられますが、他に「会社経営」などの選択肢もあります。
このことから、社員を束ねる法人の経営者は、自営業の対象外になるケースが考えられます。
フリーランス・個人事業主・自営業の働き方を選ぶメリット
働き方のイメージが異なるフリーランス・個人事業主・自営業ですが、それぞれの働き方を選ぶメリットもまた、微妙な違いがあります。以下、具体的なメリットや注意点などを解説します。
フリーランスを選ぶメリット・注意点
フリーランスという働き方を選び、自ら名乗ることで、会社員時代には得られなかった人脈の構築につながる可能性があります。
特に、法人のキーパーソンとつながりが生まれると、そこから継続的に新しい仕事をもらえるようになるチャンスが得られ、好循環の波に乗ることも十分期待できます。
働き方も自由になり、日中・夜間を問わず、納期までに納品物を提供すれば問題ありません。
その一方で、フリーランスを名乗ると「組織に属さず働く立場」という情報をアピールすることになり、仕事や実績が安定するまで、世間からの信用が一時的に落ち込むリスクがあります。
個人事業主を選ぶメリット・注意点
一定の収入がある個人の場合、遅かれ早かれ個人事業主になるため開業届を出すことになるでしょう。
個人事業主になり青色申告をするようになると、青色申告特別控除(最大65万円)だけでなく、生計をともにする配偶者や親族などに支払う給与につき、一定額まで経費として換算する(事業専従者控除)ことができます。
また、何らかの事情で赤字を出してしまった場合、最大3年間は繰り越しが可能になるため、売上が安定しない時期は頼りになるでしょう。
しかし、青色申告をするためには複式簿記の知識が必要になり、会計ソフトの導入なども必要になってくるため、直接売上につながらない作業に時間を避けるかどうか、慎重に検討が必要です。
自営業を選ぶメリット・注意点
自営業者を名乗る場合、フリーランスと比較すると「何らかの事業をしている」という印象を他者に与えられるため、開業届を提出している場合は融資等で有利になる場合があります。
フリーランスは案件ごとに契約を結びますが、自営業者の場合は自ら事業を営んでいるため、中長期的な視点での事業計画も立てやすく、金融機関に提出する書類作成も進めやすいでしょう。
また、定年退職という概念がない自営業者は、努力次第で生涯現役・青天井の収入を目指せます。
その一方で、さらに上を目指すのであれば法人化が必須となるため、法人化にともなう諸手続きや準備を実現できるかどうかが、将来にわたり信用を獲得する上での課題となるでしょう。
まとめ
フリーランス・個人事業主・自営業は、一見似たような働き方に見えますが、世間一般でイメージする働き方には若干の違いが見られます。
例えば、税法上の区分の一つとして「個人事業主」を名乗る機会があったとしても、その働き方はフリーランス・自営業のどちらかに偏っている場合があります。
結局のところ、働き方に応じてそれぞれの名称を名乗る分には自由ですが、どれを選ぶのかによって取引先や世間の印象も変わってきます。
最終的には、自分が納得のいく働き方・呼称を選ぶことが、仕事や事業の発展につながるものと考えてよいでしょう。