2023年08月28日
資金繰り
起業に必要な資金繰りのポイント|基本的な考え方や調達先についても解説
起業・経営に役立つ知識
どんなジャンルで起業する場合であっても、絶対に押さえておかなければならないポイントの一つが「資金繰り」です。
手元の資金を事業発展のため上手に回すことができれば、ビジネスチャンスを逃すことなく大きな利益につなげられますが、万一ショートすると黒字倒産という事態を招くおそれもあります。
起業当初は、特にお金が不足しがちなため、資金繰りについて正しい理解が必要です。
この記事では、資金繰りの基本的な考え方について、主な調達先に触れつつ解説します。
資金繰りについておさらい
企業経営において、資金繰りとは「自社の資金の流れを管理すること」をいいます。
また、資金繰りにおける“資金”とは、会社としてすぐに支払いに利用できるものを指し、具体的には現金・各種預金などが該当します。
売上によって得られるのは主に現金ですし、従業員に支払うお金も現金です。
製品を作ったり、材料を仕入れたりする場合も、先立つものとして現金がなければ成り立ちません。
現金を無視して経営を続けることは難しく、手元に現金はできるだけ多く残しておくことが大切です。
多額の売掛金がありながら、企業が黒字倒産してしまうのは、主に資金繰りに失敗していることが原因です。
一般的に資金繰りが悪化する理由
資金繰りが悪化する原因としては、大きく3つの理由が考えられます。
以下、それぞれの理由について解説します。
赤字が改善されない
資金繰りの悪化につながる最も大きな原因は、赤字が改善されないことにあります。
売上が減少すると、毎月出ていくランニングコスト(固定費)を賄えなくなり、貯蓄も少しずつ削られていきます。
売上<固定費の状況が続けば、やがては経費を支払うために十分な資金が確保できなくなり、事業をたたむことになるでしょう。
起業のタイミングでは、特に自己資金が限られていますから、固定費は極力削るのが基本です。
資金調達がうまくいかない
新規事業を立ち上げる際、多額のお金を準備しなければならない場合、多くの経営者は銀行・日本政策金融公庫等から資金調達を試みます。
無事、融資を受けることができれば、経営を安定させ倒産のリスクを減らすことができます。
しかし、運転資金がない状況で融資が受けられないと、資金繰りが悪化してしまい、倒産の危機に直面します。
資金繰りに悩まないためには、普段から融資担当者とのパイプをつないでおく・少額の融資で実績を積むなど、万が一に備えて資金調達先を確保することが大切です。
売上の大幅増にも注意
基本的に、売上が大幅に増えるのは喜ばしいことですが、入金・支払いのタイミング次第では、逆に資金繰りの悪化につながるおそれがあります。
これまで月額1,000万円ほどの売上だった企業が、ある月に突然億単位の発注を受けた場合、その分だけ仕入れ・外注費も膨らみます。
このとき、売上代金が入るタイミングが、各種費用を支払うタイミングよりも遅い場合、資金不足で倒産するおそれがあります。
こういった状況に陥るのを防ぐためには、売上代金の一部を着手金として支払ってもらう、一時的に銀行等を介して資金調達するなどの方法をとる必要があります。
起業時に知っておきたい資金繰りの方法
起業の段階から、資金繰りに意識を向けることで、堅実に事業を発展させることができます。
以下、自力でできる資金繰りの方法についてご紹介します。
「開業資金」と「運転資金」を分けて考える
これから起業するにあたっては、起業当初にかかる開業資金と、事業を継続するために必要な運転資金について、それぞれ分けて考えることが大切です。
開業資金とは、事業に必要なものを確保するためのお金のことで、店舗取得費や各種備品、販売促進用ホームページ開設などのために準備する資金です。
これに対して運転資金は、売上が0だったとしても、毎月発生するランニングコストのことです。
起業前に、これらの資金を分けて考えることで、起業前に自力で用意すべき資金・起業後に最低限必要な売上額などを算出することができます。
「資金繰り表」を作成する
資金繰りを行うには、月ごとの入出金を表形式で把握できる「資金繰り表」が便利です。
Web上には様々なテンプレートが存在しますが、基本的には以下のような項目ごとに収支を分類するイメージです。
前月繰越 | 前月末から繰り越された分の資金 | |
営業収支 |
営業収入 |
現金売上・売掛金回収など |
営業支出 | 買掛金・給与・地代家賃など | |
財務収支 |
財務収入 |
借入分の資金調達額など |
財務支出 | 借入金の返済分など | |
経常外収支 | 臨時的な入出金 税金支払い・設備投資などが該当 |
|
翌月繰越 | 翌月に繰り越す分の資金 |
資金繰り表は、事業における「現金の流れ」をまとめたものと考えれば、分かりやすいかもしれません。
あまりに項目が細かいと、かえって実態を把握するのが難しい場合がありますから、自分が管理しやすいフォーマットを選ぶのがよいでしょう。
複数の資金調達先を知っておく
起業にあたっては、創業関連の補助金を活用するとスムーズな起業を実現しやすいですが、競争率は決して低くありません。
そこで、起業資金の調達方法をできるだけ多く知っておくと、万一の場面で役立ちます。
創業資金の融資という観点からは、近場の銀行・信用金庫・日本政策金融公庫などの創業融資先を知っておくと役立ちます。
親族・知人の協力が得られる人は、頭を下げて出資をお願いする方法もあります。
プロジェクトが魅力的なものだという自負があるなら、クラウドファンディングで資金を集めるのも一手です。
まとめ
以上、起業に必要な資金繰りのポイントについて解説しました。
せっかく売上が増えても、その前に支払いが発生する状況を迎えてしまうと、売掛金を抱えたまま倒産するおそれがあります。
起業にあたって、資金は多いに越したことはありませんから、手元に現金を残すことは常に意識するようにしましょう。