2024年09月13日

書評

【書評】ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATION

起業・経営に役立つ知識

 

出版社:日経BP
著者:

 

 

『ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATION』って?

 

この本に興味を持ったきっかけは、著者の前作『直感と論理をつなぐ思考法』です。

その年読んだ本の中で、3本の指に入る本でした。

ロジカル思考やデザイン思考とは別の思考法「ビジョン思考」を知った時は、思わず声が出てしまうほど興奮しました。
一方、本書では、自分が達成したいビジョンを実行に移していくための知慧が述べられています。

 

  • ビジョンを絞り出す方法は『直感と論理をつなぐ思考法』
  • 絞り出したビジョンに沿って、新しいものを創り、社会を変革する方法は『ひとりの妄想で未来は変わる』

このような読み分けをしていくと、わかりやすいかと思います。
本書の学びを、18ページの見事な1枚絵を参考に書いてみました。

 

 


 

  • “前例のない取り組みを、ひとつの妄想を起点に実装していく、創造と革新のための現場の智慧”がある。

 

まず「創造」のエッセンスについて

    • 第一に「人」である。人は、仲間の存在により大きな存在になっていく。
    • 第二に「場」である。外に開かれた多様な人が出入りする場が、創造には不可欠である。
    • 第三に「意志」である。個人の妄想や組織の文化から未来に向けて発信される意志が、己を駆り立てるエンジンとなる。
    • 第四に「創造」である。突然変異を起こすための揺らぎが仕込まれた創造サイクルを設計する必要がある。

 

次に「革新」のコツについて

    • 【0→1】
      辺境でのアングラ活動ステージは、「妄想から仲間を作り、新規プロジェクトを生み出すフェーズ」である。ここでは「内製の壁」が存在する。この壁を乗り越えるためには、組織を超えた仲間づくりが必要になる。
    • 【1→10】
      部門横断の公式活動化ステージは、「既存の組織内に点在する仲間を巻き込んで場をつくるフェーズ」である。ここでは「サイロの壁」「事業部長の壁」が存在する。この壁を打破するためには、部門横断のコミュニティづくりや、予算獲得による公式活動化が必要になる。
    • 【10→100】
      変革の運動体をつくるステージは、「生み出した新たなモデルを組織のリソースを活用しながら、社内外に共感者を増やして、運動体に変えていくフェーズ」である。ここでは「理念の形骸化」「ミドルの岩盤」といった壁が存在する。乗り越えるためには、共感を呼ぶ空気づくりや、正当性を高める戦略組織化が求められる。
    • 【100→∞】
      変革のスケールアウトステージは、「新たなモデルを社会に実装し、インパクトを最大化するために育てていきつつ、既存の組織における新たなモデルを生み出す変化の引き金となるフェーズ」である。ここでは、社内に閉じることなく、初期の成功をスピーディーにリスクを取って展開することが求められる。事業成長の仕組みづくりや意義の伝道を進めていく必要がある。

 


 

いかがでしたでしょうか。
『直感と論理をつなぐ思考法』で捻り出したビジョンを「絵にかいた餅」のまま終わらせてはならない。社会に実装し切ってほしい。

…そんな筆者の強い想いをひしひしと感じた書籍でした。

 

 

学び

「創造を担う人材」と「変革を担う人材」

「どんなビジネスにおいても絶対に必要な人材は?」と聞かれると、この2つの人材が答えになります。
「創造を担う人材」は、0→1で生み出したものを、10くらいまで軌道に乗せて、ビジネスとして成立させることができる人材を意味します。
「変革を担う人材」は、100が停滞・衰退しかけているところを救って、∞まで拡大させることができる人材を意味します。

どんなビジネスも、「0から1を生み出す」タイミングと、「100が停滞・衰退しかけているところを∞にする」タイミングが発生します。(もちろん、前者に失敗した場合、後者は発生しませんが)本書を読んでいて、改めて「創造を担う人材」と「変革を担う人材」の重要性を認識できました。
この2つの人材は、どれだけAIが発展しようと、きっと求められ続ける人材なのでしょう。
創造と変革、どっちもビックリするくらい苦しそうですけどね…。その分、人生の充実度にも大きく影響するファクターなのでしょう。

重要なファクターだからこそ、「自分が、創造を担いたいのか、変革を担いたいのか、それともどちらとも担いたいのか?」をじっくり見極めていきたいと思います。

人生のワクワク感が湧いてくる本なので、是非オススメしたい一冊です。

 

画像出典 BIZPERA(https://www.biz-knowledge.com)