2023年05月01日

デザイン

起業時こそ、デザインが必要

起業・経営に役立つ知識


 

今という時代を認識

 
今の時代は、フリマアプリやECツールの登場、副業の推進、ツールの豊富さなどにより、誰もが今から、この記事を読みながらでも事業者になれます。しかし、その海は競合がひしめき、とても赤く染まっています。生き抜くには、経営・マーケティング戦略はもちろん、ブランディング戦略も重要でデザインも一役買っています。

私たちが商品を購入する決定理由は実に様々です。そのため、デザインもその一つとし、何に対してもぬかり無く備えて臨みたいですよね?

 

さて、私たちの世の中は本当に便利です。欲しい商品は、スマホやスピーカーにしゃべるだけで見つかり、閲覧したサイトの履歴から興味のある商品の情報が表示されます。そして、SNSも含めた無数の情報は指一本で流し読みされ…いや流されてしまいます。
どんなに有益なコンテンツも素晴らしい商品も目に留まらなければ、存在すら知られずスクロールされ消えていきます。現代は情報に溢れる時代というより、情報が流れ去る時代とも言えます。

 

 

デザインという闘いは、みな平等。

私が伝えたいのは、小さな事業者な方ほど、新しく参入した事業者の方ほど「デザインが必要」であること。先ほどの目に留まる要素として2つあります。
一つは、文字で構成される見出し「訴求のフレーズ」。もう一つがデザイン、写真、イラストなどの「ビジュアル」です。

新規事業者は商品やサービスの特徴、本質が優れていても、競合と比べて

 

    • 知名度
    • 信用性
    • 実績
    • 創業からの年数、伝統

 

など、超えられない、超え難い要素があります。

これを競合に武器としてキャッチーな訴求フレーズにされては太刀打ちできません。小さな事業者、新規参入者の実に弱いところです。

 

一方、ビジュアルは違います。
今日、産声を上げた商品にも老舗の商品にも、平等にデザインで闘う力があります。デザインには、溢れ流れ出る無数の情報の中で、自社商品をユーザーの目に留めるチャンスもあります。
しかし、残念ながら事業者の皆さんが真っ先に削減する経費や、一番後回しにしてしまうことが「デザイン」。今は、スマホ一つでデザインもできてしまう時代です。「いちいち外部にお金を払いデザインを依頼する必要性がない」と思われる気持ちも分からなくもありません。
しかし、それで本当に、消費者の目に留まることはできるのでしょうか?競合と対等に戦えるデザインという戦場を軽視せず、商品やサービスの本質を開発してきたように、そのビジュアルも商品開発の一環として取り組みませんか?

 

 

100年以上の歴史がある会社も、デザインで生まれ変わった

私が携わった一つのデザイン事例をこ紹介します。岐阜県にある100年以上続く牛乳屋の棚橋牧場さん。
昔ながらの製法は今も続いており、とても甘くて美味しい牛乳です。売上の主な内容は学校給食でしたが、想像すると分かるように子供の数や学校の数はどんどん減り、そのままでは衰退する一方でした。
そこで、デザインの力でブランドを確立し、新たなファンや顧客を獲得し、見事に生まれ変わったのです。

 

 

写真はロゴマークとパッケージデザインです。
ボテっとしたゆるいシルエットの瓶に牛柄をあしらったデザインは、牛乳を入れれば「牛」になるデザインです。
この牛乳ははじめ、雑貨屋さんやそのマルシェで販売しました。瓶は飲む前も充分に可愛らしくて楽しいのですが、もう半分の楽しみは飲んだあとにあります。

 

 

これを「雑貨の瓶」として使うのです。花を刺す人、消臭ビーズを入れて芳香剤にする人、インテリア雑貨を作る人など実に様々。これがまたSNSで広がりました。

 

デザインの力で牛乳つきの雑貨瓶の販売、つまり食玩のような存在にしたのです。牛乳は捨てられてもいい、瓶ほしさに「まず見てもらおう」「買ってもらおう」という戦略でした。本来は返却するものから、欲しい牛乳瓶へと常識を逆転しました。牛乳屋さんの先代や先輩方にとって、味で真っ向勝負しないことはとても屈辱的だったと思います。
しかし、空瓶をほしさに牛乳を一口飲んでいただければ、牛乳のおいしさは伝わるはずとも確信していました。常識を逆転、キャッチーで愛らしいデザインにプライドを隠した商品は、瞬く間にビジュアルでSNSで広まり、メディアや雑誌からも注目されるブランドヘと成長しました。
また、このデザインは東京ビッグサイトのフードイベントや、アジアのパッケージデザイン賞において、デザインのアワードも獲得したのです。
100年も続く企業でも新しい市場でブランドを作る必要があり、0からのスタートでしたが「デザインの力」で成功したのです。今から新しく闘う皆さんにも同じことが言えます。

 

 

今こそデザインが必要です

この記事をここまで読んでいただいたあなたこそ、デザインがデザインが必要です。必要性を感じている今こそ、すぐプロに相談してみましょう。VSIDEでも相談に乗ってもらえます。

 

さて、ここまでお話してきたように、情報が溢れ流れ出る赤々とした海の中で、あなたの商品がユーザーの目に留まるには「デザインも重要」です。デザインには新規事業者でも老舗事業者でも、対等に闘うチャンスがあります。

 

さあ、これから競合ひしめく航海に向けて、あなたはどんな選択をしますか?
戦わない選択だけは決しておすすめしません。
 


 

著者

サイトスグ ばん英明

主に、個人事業主の開業、ブランディングをデザインとWeb、補助金活用などで支援するグラフィックデザイナー。
業界に携わり20年以上で、携わったブランディングデザインは国内外のデザイン受賞歴やデザイン書籍に掲載歴有。
作るだけでなく、地方の商工会や商工会議所で開催される創業塾などでブランディングやマーケティングの講師も務める。2018〜2020年頃には大手テレビ通販番組で1日で1億円以上の売上を達成したメーカーの販促にも携わる。
しかし、本当に自分が支援したいのは小さなビジネスの事業者であることを思い出す。2022年からは初心に戻り、小さな事業者さんの開業支援をするための屋号を作り「ココナラ」でも活動開始。10ヶ月で、すでに120を超える開業・ブランディング支援をしている。