2023年09月28日

SDGs起業

社会課題を解決するSDGs起業とは|新たなビジネスチャンスをつかむためのポイント

起業・経営に役立つ知識

 

SDGs(持続可能な開発目標)の観点から、様々な企業が新しい取り組みを進めたり、これまでの仕事のやり方を見直したりしています。
社会的な課題の解決を目指すソーシャル・ビジネスに取り組む起業家も増えてきており、これからの起業においてSDGsを無視することは難しくなってきています。

とはいえ、これからおこす事業のなかで、どのようにしてSDGsに貢献するのか、具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、今後ますます注目されるSDGs起業についてご紹介しつつ、新たなビジネスチャンスをつかむためのポイントについても解説します。

 


 

 
 

SDGs起業とは

SDGs起業とは、持続可能な開発目標という観点から、主に社会課題の解決を優先するビジネスの成功を志した起業のことを指します。
一般的なビジネスが「利益の最大化」に注力するのに対して、SDGs起業では、これまでのビジネス的発想・手法を、社会的な課題の解決につなげることが主な目的になります。

 

SDGsにおける「17の目標」

SDGsには、例えば「貧困をなくそう」や「ジェンダー平等を実現しよう」といった、合計17の目標があります。
SDGs起業をスタートさせるにあたっては、これらの目標を頭に置きながら、自分がこれから手掛けようとしている事業が「どの目標達成に貢献できるか」について考える必要があります。

 

SDGsとボランティアの違い

SDGs起業は、ボランティアと混同されるケースもありますが、基本的には「ビジネス」であることが優先します。
基本的には、寄付金などの外部リソースに頼ることなく、利益を出しつつ社会貢献するという条件を満たしていなければなりません。

主な目的そのものは「社会問題の解決」ですが、あくまでもそれがビジネスとして成功していなければ、SDGs起業とは言えません。
社会的に課題とされてきたことを、事業で解決することが、SDGs起業に課せられるミッションなのです。

 

 

 

SDGs起業の具体的な取り組み

SDGs起業では、0から1を生み出そうと考えるのではなく、これまで不要とされてきたものを再利用したり、現在の事業活動を改善したりする視点が重要になってきます。
限りある資源をできる限り大切に使い、新たな雇用を生み、社会をより良いものにしていく発想が求められます。

 

実際にSDGsの実践につながる事業活動を行っている企業は、日本にも数多く存在しており、例えば以下のような取り組みが知られています。

 

  • 不要となった家庭用ミシン等を寄付してもらい、メンテナンス後に中古ミシンとして販売

    ※売上の一部は社会貢献活動の支援に

  • 再生ゴムを使ったランチベルト開発
  • 廃棄されていた魚の皮で「フィッシュレザー」作り

 

佐世保市で起業するにあたり、参考にしたい事例の一つとしては、造船の高所作業に必要な足場板を家具に再生する事業などがあげられます。
これまで不要なものとして廃棄される予定だったものに、新たな命を吹き込むことは、限りある地球の自然環境を守ることにつながります。

 

 

SDGs起業を軌道に乗せるためのポイント

SDGs起業は、比較的新しい概念ということもあって、既存のビジネスモデルを参考にするだけではアイデアが思い浮かばないかもしれません。
以下、SDGs起業を軌道に乗せるための、主なポイントをいくつかご紹介します。

 

入念な情報収集

SDGsという言葉を前面に押し出すだけでは、起業しても具体的な活動につながらず、かえって顧客からの評価を下げるおそれがあります。
自分がこれからおこそうと考えている事業内容との親和性も考えながら、どんな取り組みができそうか、入念に情報収集することが大切です。

 

その際、Web検索で自分の気になることだけをチェックせず、新聞・雑誌などの紙媒体にも目を通すことをおすすめします。
紙媒体の場合、自分がこれまで気にしてこなかった情報も目に飛び込んでくるため、新たなビジネスチャンスを探すのに役立ちます。

 

顧客は何を考えているのか読み取る

現代では、ブログ・SNSなどが発達し、顧客が自分の意見を発信する機会が多くなりました。
特定の商品・サービスのレビューを目にすることも多く、ブログ等の意見を参考にして商品を購入する人も増えてきています。

 

事業をスタートさせるにあたり、こういった顧客の意見を吸い上げることは重要ですが、何もかもが参考にすべき意見とは限らず、非常に偏ったものも少なくありません。
情報収集の際は、互いに真逆の意見を比較しつつ、総合的に評価する癖をつけることが大切です。

 

ずっと続けられる取り組みかどうか確認する

SDGsの達成目標年度は2030年で、達成後も持続可能な取り組みでなければなりません。
達成できても効果が一時的な目標や、非現実的な目標を掲げるのではなく、現在の事業を維持しながらゆるやかに取り組めるものからスタートするのがよいでしょう。

例えば、これまでテイクアウト・デリバリーサービスに従事してきた飲食店なら、包装容器をプラスチックから紙に切り替えて環境負荷を減らすだけでも、SDGsに配慮した取り組みと言えます。
食材から全面的に見直すとなれば、販路から損益分岐点まで見直さざるを得ませんが、容器切り替えだけなら継続のハードルは低くなるでしょう。

 

 

さまざまな社会課題に事業のヒントが隠されています

 
 

まとめ

SDGs起業は、世界的に注目されており、これから新規事業を立ち上げる上では避けて通れないテーマの一つです。
収益性を無視して起業するのではなく、あくまでもビジネスとして成立していることが条件のため、社会課題と解決策を講じるだけではビジネスモデルとして不十分です。

ポイントは、無から有を生み出そうとするのではなく、今あるものを活かしたビジネスに着目することです。
まずは、タダ同然で眠っているものが近場にないか探すことが、SDGs起業への第一歩かもしれません。