2023年10月13日

輸入ビジネス

個人でもできる?輸入ビジネスの始め方と注意点

起業・経営に役立つ知識

 

インターネットが世界中をつないだことによって、これまで一定規模の法人でなければ実現できなかった事業に、個人でもチャレンジできるようになりました。
この記事では、そんな事業の一つ・個人での輸入ビジネスの始め方と、起業にあたり押さえておきたい点について解説します。

 

 


 
 

輸入ビジネスとは

 

輸入ビジネスとは、海外で商品を仕入れてから、それを日本で販売して利益を得るビジネスのことをいいます。
貿易業に該当するビジネスですが、事業として中古品の売買が必須ではないため、基本的には古物商許可やその他の許認可を必要としません。

 

具体的なビジネスのイメージですが、一昔前までは直接海外まで足を運び、買い付ける形で商品を仕入れるのが主流でした。
しかし現代では、越境ECといわれる海外の販売サイトから商品を仕入れ、国内のネットショップ・店頭販売・オークションといった手段で商品を販売する方法が主流になってきています。

 

輸入ビジネスの利益は、売上から仕入額と各種経費を引いて算出します。
仕入額は品物の価値によって左右されますし、各種経費は利用する越境ECや運送業者などによっても変動するため、かかった経費等を回収できるような売上額の設定が必要です。
 
 

輸入ビジネスにおける利益の出し方

輸入ビジネスによって利益を出すためには、大きく2つの戦略が考えられます。
1つは「薄利多売(はくりたばい)」の戦略で、商品1つの利益を少なくして販売量を増やすという、ある意味では多くの日本人消費者に好まれる考え方です。

もう1つの戦略は「厚利少売(こうりしょうばい)」で、商品1つの利益を大きくして少ない販売量を補う考え方です。

 

個人で輸入ビジネスを始める場合、規模が小さい分だけ薄利多売戦略は不利になりますから、日本で高く売れそうな商品に絞ってビジネスを始めることが肝心です。
 
 

 
 

輸入ビジネスをスタートさせる際の流れ

輸入ビジネスの流れを大まかにまとめると、売りたい商品を決めて品物を発注し、税関で輸入通関手続きをしてから販売準備を進め、開業となります。
この記事では、個人でインターネットを利用する場合の基本セオリーをご紹介します。
 

商品選定

個人で輸入ビジネスをスタートする場合、規模の拡大には限界があります。
将来、もっと大きな事業に育てたいと考えている人も、最初は希少価値の高い品物を探すことから始めましょう。

商品を選定する際は、現地まで足を運び見本市・展示会などで選ぶ選択肢もありますが、旅費も時間もかかりますし、言語の問題もあります。
そのため、信頼できる売り手をECサイトで探し、その中から商品を探す方法も検討したいところです。

 

日本でニーズのある品物を探す際は、次のような点に注目してリサーチしてみましょう。

  • 大手通販サイトのランキング情報
  • 人気フリマアプリで売れ筋の品物
  • 日本で販売されていない、もしくは日本から撤退したブランド
  • メディアで紹介されている品物
  • 有名人・芸能人が愛用している品物

 

商品発注

取り扱う商品を決めたら、仕入先を決めて商品発注へと進みます。
発注段階では、金額や最低注文数を確認することも大切ですが、特に注意したい点は、その商品を「日本に輸出できるかどうか」です。

 

最低限押さえておきたいのは、関税法で定められた輸入禁止科目です。
麻薬や薬物・拳銃などはもちろんのこと、火薬や貨幣・一部書籍なども対象となりますから、発注前に一通り確認しておくことをおすすめします。

 

万が一に備えるのであれば、生産物賠償責任保険(PL保険)に加入して、消費者が受けた損害賠償責任を保障できるようにしておくと、商品が不良品だった場合に輸入者の責任を軽減することにつながります。

 

輸入通関手続き

海外から輸入した商品を受け取る際は、税関で輸入通関手続きが必要です。
課税総額が20万円以下の場合は、運送業者に代行してもらえますが、20万円を超える場合は自分で関税を支払うことになります。

 

関税は【商品の課税価格×関税率】の公式で計算でき、価格が高い・関税率が高い商品ほど、納めなければならない関税の額が大きくなります。

 

自分が売り出そうとしている商品につき、1個あたりの関税がいくらかかるのかについては、事前に把握しておいた方がよいでしょう。

 

 

販売に向けた準備

一通り商品が揃ったら、商品を販売できるよう準備を進めていきます。
個人で輸入ビジネスを始める場合、多くの人はインターネットからやり取りをスタートすることになるでしょう。

 

名前を知られているECモールに出店するのか、それとも自分のサイトを持つのか、選択肢は様々です。
ただし、自力でサイトの制作・運営に携わるのは、相応の時間と労力を要しますから、まずはECモールで感覚をつかむのがよいでしょう。
 
 

中国最大のBtoCショッピングモール天猫国際


 
 

開業手続き

個人で輸入ビジネスを始めるなら、まずは個人事業主として開業することになります。
予算面で十分な資金がある場合は、社会的な信用を得る意味で、法人を立ち上げる選択肢もあります。

個人として開業する場合、基本的には管轄の税務署に「開業届」を提出するだけでOKです。
その後は、確定申告の手続きも必要になりますから、早い段階で税理士などの専門家に相談しておくことをおすすめします。
 
 

まとめ

個人で輸入ビジネスを始める場合は、薄利多売戦略では限界が生じるため、なるべく価値の高いものを仕入れて売るのが基本戦略となります。
また、手続きの順序や輸入が認められない品物について、正しい知識が必要です。

 

良い品物が見つかったと思ったら、すぐに売り出すことを検討するのではなく、最初に「この品物は輸入してよいのかどうか」確認するクセをつけることが大切です。
関税に関する知識も頭の中に入れながら、確実に利益を出すことを意識して準備しましょう。