2023年11月06日

知財/商標登録

商標登録の超キホン|押さえておきたいメリット・リスクも解説

起業・経営に役立つ知識

 

 

起業にあたって商標登録をどうするかは、業種を問わず重大な問題の一つです。
しかし、商標登録とは具体的に何のことを指すのか、よく分からない人も多いのではないでしょうか。

商標登録と聞くと、何となく手間・労力・コストがかかるイメージを持つ人が多いかもしれませんが、登録を済ませるメリットもあります。
この記事では、商標登録の基本的な意味合いについて説明しつつ、実際に商標登録を行うかどうか判断する上で知っておきたいメリット・商標登録をしないリスクについて解説します。

 


 

 

商標と商標登録

商標登録について知る場合、まずはそもそも「商標」とは何なのかを理解する必要があります。
商標とは、いわゆるブランドマークのことを指し、具体的には次の2点を満たすものを指します。

 

  • 事業者が使用するマーク
  • 自己の商品・サービスと、他人の商品・サービスを区別するために使用するマーク

 

消費者が自社の製品を手に取った際に、ブランドマークを見て安心する場合、ブランドマークと品質への安心感がセットになっているものと考えられます。
ブランドマークは、商品のイメージ構築と、すでにある商品イメージの保護につながるものなのです。

そして、そんな「自社だけのブランドマーク」につき、商標権を取ることを商標登録といいます。

 

商標権を取得したブランドマークは、自社の商標として使用できるだけでなく、同じ商標もしくは類似する商標を使っている個人・企業に、ブランドマークを使わないよう訴えることができます。

なお、商標登録できるものとしては、以下のようなものがあげられます。

 

  • 文字
  • 図形
  • 記号
  • 立体的形状
  • 色彩
  • 動き
  • ホログラム
  • 位置

 

 

商標登録を行うメリット

商標登録を行った場合、事業者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下、主なものをご紹介します。

 

商標を独占できる

商標登録を行うと、企業は指定した商品・または指定した役務(サービス)につき、登録した商標の使用が独占的にできる権利を得られます。
例えば、自社で製造・販売しているビデオゲーム機を「Broccoli」と商標登録した場合、他社が制作しているビデオゲーム機には「Broccoli」という商標を使えないことになります。

 

商標権を侵害する存在を排除できる

商標権を持つと、その権利を侵害する他者に対して、侵害行為を差し止められるほか、損害賠償等を請求することもできます。
自社で警告状を送付したり、民事訴訟を起こしたりできるだけでなく、場合によっては警察の捜査によって侵害者が逮捕されることもあります。

 

ブランディングにつながる

商標の独占と排除によって、安定して自社の製品を市場に供給できるようになると、自社の看板商品が出来上がります。
商標登録によって、ブランディングがスムーズになれば、事業展開においても良い作用が期待できるでしょう。

 

 

商標登録を行わないリスク

自社製品を積極的に売り出していくにあたり、商標登録を行わなかった場合、どのような事態が生じるおそれがあるのでしょうか。
以下、商標登録を行わなかった場合のリスクについて解説します。

 

相乗りされるリスク

商標登録をしないまま自社の商品を販売していた場合、似たような商品名・まったく同じ商品名で、他社が商品を売る可能性があります。
商品名に思い入れがある場合、勝手に誰かがその商品名を使用することになり、悔しい思いをするかもしれません。

 

他者に商標を登録されるリスク

自社で使っている商品名に類似した名称の商品につき、すでに他者が商標登録を済ませていた場合、その後は同じ商品名を使用し続けることができなくなります。
状況によっては、パッケージから何から全て新しいものに取り換える必要性が生じてくるため、将来のビジネスプランそのものを見直すことになりかねません。

 

 

 

商標登録すべきかどうか判断する方法

商標登録は、自社の商品・ブランドを守ることにつながりますが、逆に「商業登録の必要がない場合」には、どのようなケースが当てはまるのでしょうか。
今後の商品展開等を鑑み、商標登録すべきかどうか判断する際は、次の2点に注目するとよいでしょう。

 

テスト販売の結果が芳しくない

新製品につきテスト販売を試みたものの、思ったような売上につながらなかった場合、今後も同じ商品を売り続けるべきかどうか判断する必要があります。
場合によっては、ネーミングに問題があるケースも考えられるため、このような場合は商標登録のメリットも薄いでしょう。

 

1回限りの販売になるかもしれない

イベント等で出品した商品など、1回限りの販売になってしまうおそれのある商品に関しては、今後自社の主力商品とするかどうか相談した上で商標登録を判断すべきです。
目安としては、1年以上継続して自社の商品ラインナップに含められるかどうか、様子を見てから決めた方がよいでしょう。

 

 

まとめ

商標登録は、出願料だけで最低12,000円かかり、登録料や弁護士等への依頼料なども発生します。
しかし、それだけのコストを十分ペイできる売上・人気が見込めるなら、起業間もない段階でも商標登録を検討する価値は十分あります。
いざ出願しようと考えた場合は、他者に商標を取られないよう、迅速に登録手続きを進めましょう。