2024年07月02日

BX

明日からできるBX!DXとの違いについても解説

起業・経営に役立つ知識

 

業務効率化や競争力向上などを目的として、自社のDX化を進めようと考えている方は多いかもしれません。
しかし、ビジネスの発展・改善に重きを置いた企業の間では、近年「BX(ビジネストランスフォーメーション)」にも注目が集まっています。

この記事では、BXとの概要やDXとの違いについて触れつつ、明日からBXに取り組むためのステップについても解説します。

 

BX(ビジネストランスフォーメーション)とは

BXとは、企業のIT戦略の観点から、既存のシステム刷新・アップデートを実施して業務改善につなげる取り組みのことをいいます。
具体的な目的としては、事業の成長やコスト削減などがあげられます。

BXの実施は、人事など一部の部門に限った話ではなく、自社全体での業務を改革するために行われます。
そのため、システム等を大規模に変革しようとするケースも珍しくありません。

 

BX化の一例

実際に自社でBX化を進める場合、次のような取り組みを検討することができます。

 

ERPの導入 バックオフィス部門の壁を取り払い、経営の基幹情報を一ヶ所で管理
CRMの導入 顧客情報を一元化し、営業部門のチームプレーを促進する
SCMの導入 サプライチェーンを管理することにより、コスト削減・スピーディな生産を実現する

 

以下、それぞれがどのようなものかを見ていきましょう。

 

ERP

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、日本では多くの場合、次の5つのシステムを統合したものを指します。

 

  • 販売管理システム
  • 会計管理システム
  • 在庫購買管理システム
  • 生産管理システム
  • 人事給与管理システム

 

これまで、販売・会計等の情報は個々のシステムで管理されるのが一般的でしたが、部門間でのデータのやり取りに余計な負担がかかるのがデメリットでした、
しかし、ERPを導入することで個別に行われていた処理が統合されるため、業務上必要なデータ取得や処理・加工等に発生する時間の大幅な短縮が期待できます。

 

CRM

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、導入を想定したシステムとしては「顧客管理システム(ツール)」があります。
顧客属性・名刺・購買履歴などを一元管理する「顧客情報管理」や、複数の指標で顧客をグループ化する「データ分析」機能など、営業面での効率化を実現する機能が搭載されています。

 

SCM

SCMとは「Supply Chain Management」の略で、商品・材料の仕入れから顧客に製品を届けるまでの、一連のプロセスを最適化できるよう管理することをいいます。
SCMのためのシステムも開発されており、システムの多くは次の3つの機能で構成されています。

 

  • 需要予測、生産計画など「予定や計画に関する」機能
  • 受注や在庫など「実行や実施に関する」機能
  • レポートなど「分析に関する」機能

 

自社で導入することにより、市場の変化をとらえた対応ができるようになるだけでなく、無駄な在庫を抱える心配が少なくなります。
スタッフの数が限られている状況において、適切な人員配置を実現しやすくなることもメリットの一つです。

 

BXとDXの違いとは

BXでは、主にビジネス面での改善・改革を想定して施策を講じるため、その影響は企業に限定されます。
これに対してDXの本来の意味は、社会全体にデジタル技術を浸透させることで、人々の生活を便利にすることです。

よって、企業のDX化といわれている施策の中には、実はBXであるケースが潜んでいる可能性があります。
あえてそれぞれのニュアンスを再定義すると、以下のように解釈できるでしょう。

 

BX:自社に限ったレベルでの利益向上・業務改善につながるシステム等の刷新・アップデート

DX:社会全体で共有されている(共有されるべき)デジタル技術の導入

 

例えば、ERPやCRMは、自社の事情に即したシステムを導入することで効果を発揮するため、BXに分類されるでしょう。
しかし、オンライン会議システムや広報目的の動画配信サービスを選ぶ場合、すべての人が使い方に難儀しないようなシステム・サービス等の導入が必要になるため、DXに分類されるものと考えられます。

 

 

明日からBXに取り組むためのステップ

これから自社で“明日から”BXへの取り組みをスタートさせるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
単純にシステムを導入するだけでなく、そのシステムをどのように運用し、業務改善等の目標につなげていくのか詳細を詰めなければなりません。

以下、BX推進のステップをまとめました。

 

見直すべきポイントを決める
  • 既存の業務の中で、何に時間がかかっているか、担当者の負担が大きいかなどを把握する
  • 現在の業務改革だけでなく、数年後にも応用できる仕組みの構築を目指す
BXに役立つ技術について学ぶ
  • BXを実現するにあたり、どのような技術が存在するのか、導入担当者だけでなく社員が勉強する機会を設ける
  • 解決にあたり、現場の声も聞きながら、もっとも効果が大きいと思われるシステムを選ぶ
「次」を見据えて動く
  • システム導入から運用までがスムーズに完了しても、時代の変化とともに新しいニーズが生まれる
  • 拡張機能の活用など、次に生じる問題やニーズを想定しながら新しい動きをかける

 

可能であれば、これらのステップをサイクル化し、継続して改善できるようにしたいところです。

 

 

まとめ

BXを進めるにあたって重要なことは、自社の課題を正確に把握した上で、解決に向けてどのような技術を導入すればよいのか検討することです。
BXの最適解は企業により異なるため、問題と答えは「自社の環境にある」ことを意識しましょう。