2022年10月13日
初心者のためのマーケティング講座
マーケティングでビジネスを制す! 〜マーケティングが今、なぜ必要か〜
起業・経営に役立つ知識
この記事の概要
東証プライム 上場の、日用品メーカー(特定分野でアジアNo,1)に勤務。現役でマーケティング部門の管理を担当しているヒロヴィンチです。
この記事では、「マーケティングって本当に必要なの?」「なぜマーケティングが必要なの?」「モノは良いのに、なぜ売れないんだ!」そんなお悩みに応えていきたいと思います。
今、「心から欲しい!」と思えるものが、ありますか?
突然ですが、皆さんに試してみてほしいことがあります。非常に簡単な内容です。
- 紙とペン、タイマーを用意し、タイマーを2分にセットして準備してください。
- 心の底から「何が何でも欲しい!仕事を休んででも買いに行く!」と強く思えるものを10個。2分以内に書き出してみてください。
- それでは、よーい、スタート!
…10個書くことができましたか?私はこれをいろいろな人で試してみましたが、経験上、本当に心の底から「欲しい」と思えるものを2分で10個書きだせる人は、ほとんどいません。
120秒で10個ですから、1つあたり12秒あります。文字を書く時間が足りない、ということではないですね。
「欲しいものが無い」というのが、現代における消費者の実態なのです。
過去、日本は高度経済成長期に恵まれ、大きく躍進してきました。昭和生まれの方はおそらく知っている「新・三種の神器」の時代です。
「新・三種の神器」とは… 1950年代に冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビといった生活を大きく変える、画期的な家電製品を総称して「三種の神器」と表現した。
1960年代に高度経済成長期に入ると、カラーテレビ、クーラー、車が「新・三種の神器」としてもてはやされた。
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戦後~高度経済成長期にかけては、生活者の「お悩み・不満・欲求」がそこら中に転がり、その問題を解決するモノを作れば飛ぶように売れる、マーケティングとは無縁な時代でした。
(先程の実験も、この時代の生活者であれば、10個などあっという間に書き出せていたことでしょう。)
さて、時代は令和。皆さんは今の生活に満足していますか?ほとんどの方が「それなりに」とお答えになるでしょう。あなたが想定しているお客様も、同じく「それなりに満足」しています。
世の中にモノやサービスが溢れ返り、インターネットの発達とともに情報やモノは世の中に拡がり、満たされていない「欲求」や「不満」などは、ほとんど失われてしまいました。誕生日でさえ、「誕生日 欲しいもの」とネット検索する人がいるほどです。
最近の「ヒット商品番付」に、製品やサービスがランクインすることはほとんど無くなってしまいました。リベンジ消費、だったりリベンジ旅行、といったものがズラりと並びます。もうモノ・サービスは「質が良い。こだわりを詰め込んだ」だけでは売れません。
ほとんどの分野で市場が成熟化し、「これ欲しい!」というモノやサービスにほとんど出逢えることがなくなったのが今の日本の現状です。
人々の悩みや課題は、溢れかえる商品、サービス、情報でほとんどが満たされ、新たに商品やサービスを作っても、心から「欲しい!」と思ってもらえない、「なんとなく良いと思いますよ。(買わないですけど)」という時代が到来してしまいました。
そこで力を発揮するのが、マーケティング
「マーケティングとは何ですか?」これまで、数多の中小企業オーナー様、個人事業主のオーナー様から質問を受けてきました。
「マーケティングって、なんか格好良いですよね。響きが。」
これらの言葉に表されるように、日本において、マーケティングとは、言葉は有名だけれども、実は、あまり何なのか知られていない、なんだか抽象的な存在なのです。
先述したような、「なんとなく良いと思いますよ。(買わないですけど)」という時代において、マーケティングは力を発揮します。
マーケティングとは”知識”です。知っているか、知っていないか、それだけの違いでビジネスを大きく変革させる知識なのです。
個人商店でも、ハンドメイド商品を売りたい人も、中小企業でも、1人マーケティングを知っている人がいれば勝てる。売れる。儲かる。それがマーケティングの最大の価値です。
マーケティングというのは、ビジネスプロセスの多岐に渡りますが、皆さんにとって分かりやすい主なメリットとしては下記が挙げられます。
- 消費者が欲しいものが分かる
- 自分のつくったものを欲しがる人が分かる
- 全く売れなかった商品やサービスが、どうすれば売れるか分かる
- 相手が思わず興味を持ってしまう、宣伝やうたい文句(キャッチコピー)が作れる
- 相手の心に残るブランドが作れる
- 販売促進の作戦がたてられる
- コンテンツを上手に売ったり、お客様を集めたりできる
- 自分のビジネスのどこに課題があるのかが分かる
これらのメリットを享受できるマーケティング知識を知っているか、知らないかで、ビジネスでは大きな差がつくことは明白です。
これまで数多くのコンサルティングを経験してきましたが、最も多いのが「悩みが何か分からない」「販売が伸びないが、何が悪いのか分からない」このようなお悩みです。
これから起業される皆様も、近々こうした壁にぶち当たることがあると思いますが、その悩みは、マーケティングの知識を以ってすれば乗り越えることが可能です。
あなたも、マーケティングを学びたいと思いませんか?
マーケティングを使える知識として身に着けるには
私の想定するこの記事の読者は「マーケティングとは」「マーケティング やり方」このような検索をしたことがある方。あるいは「3C分析」「4P戦略」といったような、それらしいマーケティング入門書のような書籍を手に取ったことがある方です。
もし、あてはまる!という方がいたら、「実際に自分のビジネスとして実践できた!」という実感を持っている方はどのくらいいるでしょうか。
マーケティングに関する知識は有象無象に存在します。少し書き出してみましょうか。
(4Pミックス、3C分析、STPC、イノベーター理論、ターゲット論、クラスター分析、マーケティングリサーチ、デモグラフィックとサイコグラフィック、ペルソナ分析、CXR、ニューロ、クープマンモデル、マズローの欲求五段階、弱者の戦略、ゲームチェンジ、BASIS、メリコの法則、AISAS購買モデル、ブランディング、SWOT分析、PEST分析、プルチック感情論、インサイト、SNSマーケティング…)
パッと思いつくだけで、これだけたくさんのマーケティング理論が出てきます。
マーケティングの知識は遥か昔から研究に研究が重ねられ、今や数えきれないほどの知識が開発されてきました。それぞれに対して、更に解釈を加えたたくさんの情報、書籍が毎日のように出版されています。
これらを全て習得するには、マーケティングのプロとして毎日のようにマーケティングに触れていなければ不可能です。365日、グローバルのトップマーケター達と切磋琢磨している筆者でも、すべての理論を網羅することはできていません。ましてや、起業を目指す皆さんにはそんな時間はありませんよね。
そこで、マーケティングを学びたい、と感じたあなたに大切なことは、「マーケティングの基本となる“全体の流れ”を知り、最低限必要な知識を効率的に習得する。」という事です。
大切なのは繰り返しになりますが、「マーケティングの“全体の流れ“」です。この全体像を把握しないまま、部分的に知識を習得しようとしても、「使えない」のです。
その理由は、「いつ、どうやって使ったらいいか分からない」のです。最もメジャーな理論のひとつに4P戦略 がありますよね。
あなたは、いつどうやって使いますか?4P戦略は、何を目的として使うのですか?答えられない人も多いのではないでしょうか。全体の流れが分かっていれば、必ず使えるようになります。
また、「最低限必要な知識」としたのは、まず全体の流れを知り、マーケティングプロセスに沿って事業を動かすことが出来るようになれば、課題が自覚できるようになります。
この、「マーケティングの全体の流れの中で、どこに課題があるのか?」を自分で気づけることが非常に重要です。課題が分かれば、今は無い知識であってもネットなり書籍なりで調べに行くことが出来ます。
多くの中小企業、個人事業主はこの「課題を自覚する」ということが「非常に苦手」です。スタートアップ企業においても、良いスタートダッシュが切れたとして、その後必ず販売の停滞が訪れます。その時もきっと課題を自覚する、ということは難しいでしょう。
結果、先ほど述べたように「悩みが何か分からない」「販売が伸びないが、何が悪いのか分からない」という状況に陥ります。
そうした所謂(いわゆる) “迷子“の状況を避け、課題を自覚し、手を打てる状態を常に継続することが事業発展のカギとなります。
売り方だけを考えていては、売れません。
事業をスタートしたての事業主様から、「この商品を売る為に、SNSマーケティングはどうしたらいいの?」「集客はどうしたらいいの?」というご相談を数多くいただきます。
そんな皆様に、確認の意味を込めてお伺いしていることがあります。
「売り方を考える前に、そもそもその商品(サービス)が、本当に欲しいのは誰ですか?」
「人が集まったら売れるんでしょうか?」
「誰に、何を売りたいんでしょうか?」
マーケティングとは、販売促進だけを指すものと勘違いされている方が多いです。それは誤りです。
マーケティングは、まず「売れる商品」「誰に何を売るか」が先に規定されるべきです。それを適切な相手に、適切な伝え方で届けるために販売促進があるのです。
これが逆転しているケースがよくあります。「たまたま買ってくれた人が私のターゲットだ」「集客できたけど、集まった人が私の商品に興味が無いみたい」では駄目なのです。欲しくも無い人を大量に集めたって意味がありません。誰に、何を売るか、を決め、そのために販売戦略があるべきです。
もしも、スタートアップ事業を考えられている方は、その商品・サービスを売りたい相手を紙に書き出してみてください。
ここで、たくさん書き出せてしまう方は特に注意が必要です。
小さな市場、特定の人が頭を下げてでも「売ってください」と言っていただける商品・サービスにならなければ、それより広い市場を見た時に、欲しいと思っていただけるはずがありません。
まずは、売り方ばかり考える前に、しっかり売れる商品・サービスを開発、もう製品が出来上がっている方は、チューンナップを行ってまいりましょう。
次回は、マーケティングの全体像をつかんでいただくことをテーマにした記事を執筆させて頂きます。
著者
ヒロヴィンチ
東京都在住。東証プライム上場企業で、マーケティング部門の管理職として従事。 国内外アジアシェアNo,1のブランドを多数担当。
個人事業主、中小企業を中心にコンサルティングも手掛けており、副業サイトで販売額・お気に入り登録数ランキングともにNo,1獲得。(967サービス中)これまでに大手クレジット会社から英会話教室、アーティスト、地元密着の焼き芋店まで幅広い実績。 基本的なマーケティング戦略はもちろんのこと、インサイト開発、広告開発、webマーケティングも手掛ける。