2022年11月13日
初心者のためのマーケティング講座
マーケティング実務8つのステップ〜 マーケティング実践に向けた基礎知識〜
起業・経営に役立つ知識
この記事の概要
東証プライム 上場の、日用品メーカー(特定分野でアジアNo,1)に勤務。現役でマーケティング部門の管理を担当しているヒロヴィンチです。
この記事では、「これからマーケティングをやってみる」というあなたに、実践に入る前に必ず理解しておいて頂きたい基礎知識【マーケティング実務8つのステップ】をご説明します。
さて、マーケティング!…何からやればいい?
おそらくマーケティングというものに興味を持った皆さんの、ほぼ100%の方が抱く最初の疑問はこれです。
マーケティングを始めよう!…何からやればいいの?
第1回目の記事で、マーケティングを実践するには下記が重要であるとお話させて頂きました。ここで改めておさらいしておきましょう。
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これらをお伝えしたように、マーケティングの実践には「マーケティングの流れ」を知ることが大切です。どんなプロマーケッターであっても、この流れを逸脱してプロセスを進めると、ほとんどの確率で失敗します。
それほど大切なのがマーケティングプロセスであり、1つ1つの工程・順番にそれぞれ意味があります。
この記事では「マーケティング実務8つのステップ」として、皆さんにマーケティング全体の流れを理解し、覚えて頂くことが目標となります。
マーケティング実務8つのステップ
さて、今回の記事の本題であるマーケティング8つのステップを以下に示します。
Step1~Step8までの工程があります。これらの工程は、1つでも飛ばしたり、サボったりしてはいけません。どれか1つの工程をないがしろにすると、必ずと言っていいほど後で不具合が出てきます。
そして、それぞれのStepはお互いに影響し合うのが特徴です。1つのStepで軌道修正があると、他のStepも連動して軌道修正が必要です。
それではここから、簡単にそれぞれの内容を説明していきます。
今後の記事で、それぞれのStepについて詳しくご紹介していく予定をしていますので、この記事では流れを知る、という頭で読んで頂きたいと思います。
STEP.1:3C分析―まずは世の中のトレンドを押さえる―
まずStep.1は、聴いたことのある方も多いと思います。かの有名な「3C分析」です。
「3C分析って、いつどんな時に使うんだろう?」という疑問が聞こえてきそうですが、マーケティングプロセスのスタートを切る重要な役割が3C分析である、というのが正しい使い方です。
3C分析は「環境分析」と呼ばれるもので、あなたやあなたのビジネスを取り巻く環境を上手に整理するための分析手法・考え方のことです。
- 顧客(Customer)
- 競合(Competitor)
- 自社(Company)
これらの頭文字を取ったのが3C分析です。ここまではご存じの方も多いかもしれません。
では、3C分析を用いて、環境を分析する「目的」を考えてみましょう。
- 顧客の理解を深めること?
- 競合の動きに詳しくなること?
- 自社の状況を整理すること?
どれも間違ってはいません。環境を整理するフレームワークを埋めていく上では正しいです。
ですが、3C分析の真の目的は、「ビジネスの機会を見出すこと」にあります。
よくあるダメなケースとしては、3C分析に沿って環境をそれぞれ整理して…完成!と、時間をかけて整理したはいいが、そのまま何に活用されるでもなく、パソコンの奥深くへ入っていく3C分析です。…もったいない。
3C分析の本質は、3つの要素から環境を鑑みた時に、わが社(または商品・サービス)にとってのビジネス機会(市場機会)はどこにあるのか?に気付くことです。
もう少し平たく言うと、勝てそうな市場、伸び行く市場を見出すことだということを忘れないようにしてください。
3C分析についての詳細ややり方は次回の記事で扱う予定です。
STEP.2:セグメンテーション―市場を分ける―
Step.2は、セグメンテーションです。
これも比較的有名な言葉です。セグメンテーションは「市場の細分化」とよく表現されます。
私はセグメンテーションを分かりやすく表現するために、マーケティング初心者の方には以下のようにお伝えしています。
「同じ価値観、同じニーズを持つ人を束ねて、それぞれの塊を1つの”市場”として定義しなおすこと。」
セグメント(セグメンテーション)とは「束ねる」という意味です。
ビジネスにおいて、「似た者同士」をいくつかのグループに分ける作業のことを「セグメンテーション」と呼びます。(その出来上がった1つ1つの塊のことを「セグメント」と呼びます。)
ここでは、Step.1で見つけた「機会」を考えた時に、市場として切り口が無いか?という事を意識することがポイントです。例えば新規事象であったり、新たな行動・習慣だったりが市場として束ねることができないか?などといった着眼点です。
大きな市場をわざわざ分けて小さくしてしまうの!?と、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、現代においては、大きな市場をまるごと取りに行こうとすると、成功確率は限りなく0に近くなってしまいます。
なぜならば、大きな市場の中には多種多様なニーズや価値観を持った人が混在している状態です。その市場に散らばる100個の願いに1個の製品・サービスではとても応えることはできません。
だからこそ、まずは価値観、ニーズなどによって市場を分け、その1つ、ないしは類似するいくつかの市場の塊を主戦場として選択してビジネスを展開していくことが重要です。
まずは刻んだ市場の中で圧倒的な地位を築いていくことを意識しましょう。
セグメンテーションの詳細や、市場の分け方には“コツ”がありますので、連載の中で取り扱っていく予定です。
STEP.3:ターゲティング―狙う顧客を定める―
Step.3は、ターゲティングです。
先程セグメンテーションで市場をとある切り口に沿って分ける作業を行いましたので、次に市場を「選択」します。その市場の選択こそが「ターゲティング」です。
ただ、市場の選択をするのみならず、ターゲティングでは選択した市場に束ねられた人々が、一体どのようなニーズ・価値観を持っているかを規定していきます。
メインで狙いたい市場に属する人々(B to Bの場合は企業)の思いや願い、悩みを明文化し、人物像をはっきりさせることが大切です。
STEP.4:ポジショニング―狙う立ち位置を決める―
Step.4は、ポジショニングです。
ポジショニングとは、「立ち位置」という訳になりますよね。
これは言葉の通り、顧客に対してどのような価値を提供するか、立ち位置を決めていく作業になります。
ここでもSTEP.3で考えたことをしっかりと意識することが重要です。
STEP.3の「ターゲティング」で定めた顧客の想いに対して、あなたの製品・サービスがどのようなポジショニングを取っていくかを考えていく工程です。
ここで価値提供(ベネフィット)でなく、「ポジショニング」という言葉が使われるには意味があります。それは、市場にはあなた以外にも競争相手がいるためです。
いくら成長性のある良い市場を選択できたとしても、その中で勝ちきれなければ意味がありません。加えて、成長性ある市場にはライバルがどんどん参入してきます。
あなたが見つけることができた市場、ということは、高い確率でライバルも見つけている市場だということを忘れてはいけませんね。
このポジショニングの工程では、そうした競争相手から勝ち抜くために、「その顧客にとって唯一無二」だったり、「その顧客にとって初めて」だったり、「その顧客にとって最も優れた(またはベスト)」といった観点で立ち位置を考えることが必要です。
- その顧客にとって、唯一無二の●●●という価値を提供していく
- その顧客にとって、初めてとなる●●●という価値を提供していく
- その顧客にとって、最も優れた(ベストな)●●●という価値を提供していく
ポジショニングは、このように考えていきましょう。
このStep.4で決めたポジショニングに応じて、製品やサービスのコンセプトを考えたり、修正したりしていきます。
STEP.5:目的・目標を決める―GOAL設定―
Step.5以降は、いよいよ「考える工程」から、「実行していく工程」へと進めていきます。
ここまでで、3C分析で見つけた市場機会を前提として、セグメンテーション(市場の細分化)、ターゲティング(顧客の選定)、ポジショニング(立ち位置)を規定してきました。
上記のように、Step.4までは、「製品・サービスを設計する」ということが目的でした。
では、この製品・サービスを以って、今回のマーケティングアクションで何を行いたいのか?どういう状態に持っていきたいのか?という、アクションのGOALを決めていきます。
- 製品・サービスを認知したい
- 製品・サービスのトライアルをしてほしい
- 製品・サービスを他社から乗り換えてほしい
- 製品・サービスのリピート購入を促したい
- 店舗に来店させたい
- SNSでフォローしてほしい
- LINEでおともだち登録してほしい
- 離反してしまった顧客に再購入を促したい
このように、上記は一例ですがマーケティング活動には様々な目的があります。
目的が曖昧なまま実行フェーズを進めていくと投資効率が非常に悪くなります。事前に定めておきましょう。
そしてここで肝心なのは、GOALとなる目標を「定量的」(数字で測定可能なもの)に設定することです。
例えば、製品・サービスのトライアルであれば、自社サイトのCVR(コンバージョンレート:訪問数に対してどのくらいの割合で成約するか)だったり、購入人数、新規顧客の販売数などが該当します。
STEP.6:4P戦略―GOALに向かって最適な打ち手を―
Step.7は、4P戦略です。
4P戦略とは、いわば「販売の設計書」のようなものです。
- 製品・サービス(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- 販売促進(Promotion)
これらの4つの要素の頭文字を取ったのが、4P戦略です。
これまでのStepで定めてきた市場、顧客、立ち位置、目標を考慮した時に、どのように販売していくべきかを検討するフレームワークです。
「顧客が望む製品はどんなものか」、「顧客が求める価格感はどのくらいか」、「顧客と接点を持つべき場所はどこなのか」、「購入の背中を押すための促進策は何がマッチするか」を考え作戦を立てます。
これらのフレームを埋めていくように販売戦略を検討することができれば、迷いなく実行していけます。
STEP.7、8:実行、チェック―やりっぱなしは一番ダメ!―
さて、マーケティングアクションを実行したら最後のステップです。
マーケティングはこの最後の「実行・チェック」がサボりがちになる事が非常に多いです。マーケティングアクションを実行すること自体が目的化してしまい、効果がどうだったのかを検証できていないケースが多くあります。
そんなおサボりに陥らないように、Step.5で目標を定めましたよね。この目標に対して、検証をしていきます。
マーケティングアクションは、多くの事柄に影響しますので、変化する数字が多くなります。
例えば、トライアルキャンペーンのようなSNS広告を打った場合、広告を見ると商品やサービスの認知率が向上します。HPへの流入人数や、滞在時間などにも変化があるでしょう。もしかしたら会員登録人数やtwitterのフォロワー数も増えるかもしれません。
ここで忘れてはならないのは、「当初目的は何だったのか?達成されたのか?」という検証の考え方です。
マーケティングアクションは検証「できる」数字がたくさんありますが、検証「しなければいけない」数字と混同してはいけません。
正しい目標設定と、正しい検証が安定的な事業収益と、次なる打ち手の効果向上につながります。
ぜひ、決めた目標がどうだったのか、を把握することに努めてください。
今回の記事はここまでとなります。
マーケティング実務8つのステップに沿って、あなたもマーケティングにチャレンジしてみてくださいね。
著者
ヒロヴィンチ
東京都在住。東証プライム上場企業で、マーケティング部門の管理職として従事。 国内外アジアシェアNo,1のブランドを多数担当。
個人事業主、中小企業を中心にコンサルティングも手掛けており、副業サイトで販売額・お気に入り登録数ランキングともにNo,1獲得。(967サービス中)これまでに大手クレジット会社から英会話教室、アーティスト、地元密着の焼き芋店まで幅広い実績。 基本的なマーケティング戦略はもちろんのこと、インサイト開発、広告開発、webマーケティングも手掛ける。