2024年10月03日
IPO
Cross Eホールディングスが上場!IPOのメリット・デメリットとは?
起業・経営に役立つ知識
佐世保市に拠点を置く「Cross Eホールディングス」が、福岡証券取引所Qボードに上場しました。長崎県としては実に5年ぶりに誕生した、県内に本社機能を置く上場企業となります。
このニュースは地域経済にとって大きな意味を持ち、特に県内経営者や起業家には、IPO(新規株式公開)がどのようなメリットやデメリットをもたらすのか、改めて考えるきっかけとなり得る出来事です。実際に、IPOは企業の成長を加速させる一方で、経営に新たな課題をもたらす可能性もあります。
この記事では、企業が市場に株式を公開する「IPO」のメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
長崎県で5年ぶりの上場企業が誕生!
2024年8月29日、長崎県から久々に新たな上場企業が誕生しました。佐世保市に本社を構えるCross Eホールディングス(以下クロスE)が、福岡証券取引所のQボードに上場したのです。
これは、長崎県で5年ぶりの快挙となり、地域経済にとって大きな刺激となりました。
クロスEは、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社で、ハウステンボスの設備工事や施設管理、自治体施設の管理事業などを手がけるハウステンボス・技術センターと廃棄物処理施設の機械器具設置工事などを手がける西日本エンジニアリングの純粋持株会社として上場しました。この上場によって、さらなる成長と地元のビジネスや雇用にも好影響をもたらすと期待されています。
では、今回クロスEが実行した「IPO」とは、一体どんなものなのでしょうか?
IPOとは?
IPO(Initial Public Offering)とは、未上場企業が初めて株式を一般の投資家に公開して、証券取引所に上場するプロセスのことです。
IPOを通じて株式を市場に公開すれば、企業は不特定多数の投資家から新たに資金を調達できるため、成長の加速や経営基盤の強化が図れます。そのため、特に中小企業やスタートアップにとって、IPOは新しい成長ステージへの扉を開く一大イベントとなるのです。
ただし、IPOには多くのメリットがある一方で、慎重に考慮すべきデメリットも存在します。
IPOのメリット
では最初に、IPOのメリットについて具体的に見ていきましょう。
資金調達力が強化できる
IPO最大のメリットは、資金調達能力が強化できることです。
株式を上場することで、企業は一般投資家から新たに資金を集められるため、新規事業の展開や設備投資、そして人材確保などをスピーディに実行できます。
例えば、クロスEはIPOを通じて得た資金について、新しい資産の取得をはじめ、経営課題である人材獲得、そしてDX推進によるシステムへの投資などに充てる予定だと公表しています。また、当面の運転資金としても活用されるようです。
IPOによる資金調達は、銀行借入とは異なり返済の必要がないため、企業にとって財務負担が少ないというメリットもあります。
知名度や信頼度が向上する
IPOによって上場することで、企業の知名度や信頼度を飛躍的に高められます。
企業がIPOを実行するには、厳しい監査や規制をクリアする必要があるため、社会的な信頼が得られやすくなります。
これによって取引先や顧客からの信用も高まり、新規のビジネスチャンスを得ることができるでしょう。知名度が向上すると、優秀な人材が確保しやすくもなります。
特に地方企業にとって、全国的な認知度の向上は大きなメリットです。
創業者が利益を得られる
創業者はIPOによって、創業時のリスクに対する大きなリターンを得られます。IPOの際、創業者や初期投資家は、保有する株式を売却することが可能となるからです。
彼らは多くの株式を保有していますが、その立場上、市場での売買は制限されています。一方で、IPOの時に限ってはその制限がありませんので、実態としては創業者利益を現金で得られる唯一のチャンスとなるのです。
IPOによる利益は、創業者や投資家にとって経済的なインセンティブになるとともに、新規事業の立ち上げなどへの再投資にもつながります。
IPOのデメリット
次に、IPOのデメリットについても見ていきましょう。
社会的な責任が増す
IPOには多くのメリットがある一方で、社会的な責任が増大するというデメリットも存在します。
上場企業は株主や投資家に対して、定期的な報告やタイムリーな情報開示を行う義務があり、経営自体に透明性が求められるからです。
また、株主からも厳しい目線で監視されるため、より高い倫理基準に基づく経営が必要となります。IPO以前と比べて、経営内容に対するプレッシャーも強くなるでしょう。
これらの要因から、企業の自由な経営判断が制約される可能性もあります。
株主が経営に関与する
不特定多数の株主が増えることによって、経営への関与が強まるのもデメリットの1つです。
上場企業の所有者は株主ですので、彼らの意見や要望に応えていく必要が生じます。
特に「物言う株主」がいる場合、経営に対して強い影響力を持ちます。場合によっては、短期的な利益を重視する株主と、企業の長期的なビジョンが対立することもあるでしょう。
このような株主の意見に応じていく必要があるため、創業者や経営者の自由な意思決定が妨げられるリスクもあります。
コストがかかる
IPOを実施するには、多額のコストがかかる点も大きなデメリットです。
上場の準備には一般的に3年以上かかりますので、プロジェクトに関わる人件費はかさみます。
また、監査や申請費用、公開後の報告義務に伴う維持費なども発生します。
さらに、上場後の株式市場の動向によっては、株価が低迷することもあるでしょう。これらは経営者にとって、新たなリスクとなる可能性があります。
まとめ
今回は、企業が市場に株式を公開する「IPO」のメリットとデメリットについて解説しました。
経営者にとってIPOは、コストの増大や株主への責任が増えるといったデメリットを伴いますが、一方で企業の成長を加速し、資金調達や知名度向上に大きな効果をもたらします。
この度、クロスEがIPOを通じて上場を果たしたことは、地元経済に大きな希望を与えました。あなたの事業もIPOを視野に入れることで、長期的なビジョンを持った運営が可能となり、ビジネスを新たなステージへと進められるでしょう。
ぜひ、クロスEに続いてIPOを目指し、ビジネスを成功へと導いてください!