2023年01月10日

書評

【書評】人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法

起業・経営に役立つ知識

 

出版社:実業之日本社
著者:林 直人

 

『人間ぎらいのマーケティング』とは?

『人間ぎらいのマーケティング』とは、一言でいうと「人となるべく会わずに稼ぐ方法」が記された本です。

 

表紙を見ると、この本を読むべき人の特徴が書かれています。

  • 人と会うとどっと疲れる
  • 家から出たくない
  • 人と会わずにモノを売りたい
  • 人とのコミュニケーションを最小化したい

これらに共感する方は是非本書を手に取られることを強くお勧めします。

 

本書の構成は次のようになっています。

 

第1部:極力、家から出ないで商売するための思考法
第2部:「Youtube」「Amazon」「Google」「Google広告」を使いこなして稼ぐ
第3部:人間ぎらいのマーケティングで商売を立ち上げるための参考事例

 

これをかみ砕くと

 

  1. 人間ぎらいな人は、どういうビジネスに参入すればよいのか?
  2. 人脈もない中で、どのようにサービスを認知してもらって買ってくれるまでの導線をしけばよいか?(Youtube、Amazon、Google、書籍、これらをどう使い分ければよいか)

 

こういった論点について、実際に筆者がビジネスを立ち上げたプロセスに沿って解説されています。

 

 

どういうビジネスに参入すべきか?

『無名だし人脈もない人間は、どういうビジネスに参入すればよいのか?』
この問いについて、筆者は「始めにくい商売に参入せよ」とアドバイスします。

「始めにくい商売」の条件は3つ。

 

  1. 少数の売り手と買い手しかいない(独占、もしくは寡占業界にしやすい)
  2. 販売されている財・サービスが他とは違うものである
  3. 個々の需要者と供給者は、市場価格や財の性質について情報をあまり持っていない

『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』p38

 

経済学の理論に忠実な、実に本質的な条件だと思われます。
一方で「なんだか抽象的な表現だな」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが安心してください。筆者は、自身が立ち上げたビジネスを例に説明をしてくれています。

 

 

1.少数の売り手と買い手しかいない(独占、もしくは寡占業界にしやすい)

筆者は「早慶上智AO入試対策」「慶應SFC一般入試対策」に参入しています。
実はこの領域、他に広告を出している企業が3社くらいしかいない、供給者が少ないそうです。
なぜ供給者が少ないかというと、需要者(そのサービスを求めている人々)が限られているからです。
早慶上智の受験者は相当の人数に上ります。2022年度の慶應の受験者数は約3万6千人ほどです。一方、そのなかで「AO入試を受ける人」となると、10分の1くらいに絞られます。
「毎年数千人しか求めていないもの」なので、大きな企業は参入してこない。
こういう市場が狙い目だということです。

 

 

2.販売されている財・サービスが他とは違うものである

筆者のビジネスの競合は、いわゆる「塾」ですが、新規に参入するなら「他社と違うこと」をしなければなりません。そこで筆者は「毎日10分しか指導しないネット家庭教師」というユニークなコンセプトを打ち出しています。
他社がやっていない点も特徴的なのですが、それ以上に特徴的なのが「自分自身の性格とマッチしているビジネス」を行っている点です。
筆者は「人と直接会うと、どっと疲れる性格」なので、「人と直接会わなくて済むビジネス」に参入したわけです。
自分自身の個性が、そのままビジネスの個性に繋がっている。
だからこそ、余計なストレスなく、自分が強みを発揮できる領域に集中できるということのようです。

 

3.個々の需要者と供給者は、市場価格や財の性質について情報をあまり持っていない

例えば「医療」とか「法律」とか「不動産」などは、一般消費者の私たちからすると、専門的な部分が大きすぎて、よく理解できないものです。このような「供給者と需要者で、情報格差があるもの」はビジネスにつながります。
筆者が参入している「難関私大のAO入試」は、医療や法律までではないにしろ、高い専門知識が求められます。
一般家庭の親がAO入試の合格方法を簡単に入手できたら、そもそも塾なんて必要ない訳です。

 

その他「集客するために、YoutubeやSNS、Googleなどをどのように活用すればよいか」も、実際の事例を通して超具体的に解説してくれています。
「人間ぎらいで、自分で事業を起こしたい方」は必読の本です。

 

 

画像出典 BIZPERA(https://www.biz-knowledge.com/)