2023年12月18日

生成AI活用

生成AIの製造業での活用方法

起業・経営に役立つ知識

 

 

製造業は今変革の波に直面しています。そして、せっかく高い技術を持っているのに思ったほど利益が出ない企業がたくさんあります。一方、近年ChatGPTに代表される生成AIが登場し、生産性の向上に役に立つのではないかと期待されています。

 

ここでは、製造業の生産性を向上させるためにChatGPTをどのように利用すればいいのかを考察するとともに、ChatGPTを使用した製造業のコンテンツマーケティングについて考えてみたいと思います。

 

 

製造業の問題点

近年、製造業の置かれている環境は大きく変化しています。そして、人手不足や採算の悪化などで苦しんでいる企業は多くあります。

また、製造業はとかく「現場の製造技術」だけがクローズアップされることが多いです。なぜ現場重視の企業が多いかというと、特に中小企業では「職人肌」の社長さんが多く、現場を非常に大切にするからです。また、取引先も「技術」を頼りにするため、やはり現場を重視する傾向があります。

 

そのため、営業、広告、メンテナンスや、ユーザーサポート、生産管理などは軽視される傾向があります。

しかし、これらの間接業務は「経営」という観点では大変重要です。また、煩雑な業務が多いです。しかも、これらの業務は近年複雑化しており、単純なIT化だけでは業務効率の改善が難しくなっています。

 

 

ChatGPTとは

一方、近年ChatGPTに代表される生成AIと呼ばれる技術が登場してきました。生成AIは質問を入力すると自然な文章で回答を返してくれるAI(人工知能)で、文章を「生成」することから「生成AI」と呼ばれます。

 

また、独自のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を持ち、その企業それぞれの独自のシステムからのアクセスが可能です。そのため、自社のシステムにChatGPTの機能を組み込んで活用するということが可能になり、生成AIを比較的容易に活用することができます。

このため、様々な分野での活用が見込まれており、特に日本では文書処理の多い行政機関の活用が進んでいます。

 

デメリットとしては、今のところ個人情報の流出の問題や、セキュリティーの問題、著作権の問題などが挙げられます。また、技術の発展が未知数で、誤った回答を出力してしまう場合があるという問題もあります。さらに、基礎となる情報の出所が不明確で、回答の確証が取れないといった問題もあります。

 

したがって、ChatGPTに対する質問(プロンプト)を正確に入力するとともに、回答が正確かどうかを「人間」が見極める必要があります。このため、正確なプロンプトを入力でき、回答の見極めができる、ある程度の専門性を持った人がChatGPTを使用するのが、現状ではもっとも適切な使い方と考えられます。

つまり、ChatGPTといえども「なんでもできる」わけではなく、節度をもって使用することが求められています。

 

 

 

 

製造業とChatGPT

それでは、このようなメリットのあるChatGPTの製造業での活用について考えてみましょう。製造業でのChatGPTの活用は今のところ製造現場の生産設備や製造装置への適用というよりも、間接部門での活用が中心になると考えられます。

 

例えば、製品マニュアル・製造手順書・製造仕様書の作成の効率化や、ユーザーからの質問への回答の自動化、ホームページやブログでのコンテンツの作成の効率化などが考えられます。これらの業務に共通する特徴は「文書処理能力」であり「コミュニケーション能力」です。

 

また、ChatGPTはデータの集計能力もあることから簡単な統計処理なども可能です。このため、製造規模の大きさにもよりますが、ある程度の品質管理も可能であると考えられます。さらに、文章からプログラムを作成することも可能です。そのため現場で使えそうな簡単なITツールなども作成可能と考えられます。

 

一方、研究、開発、設計などの上流工程や製造工程に要求される「職人技」や「創造力」、あるいは「工夫力」といった「人間特有の能力」は現状ではとってかわることができないと考えられます。

 

つまり、これらの業務をやりかた次第で「支援」をすることは可能ですが、完全に置き換えることはできません。また、置き換えるべきではないと考えられます。これらの業務は製造業の「核心的・本質的」業務であり、その企業の独自性や競争力が、この部分で発揮されるからです。

 

また、上述したような「間接業務」でも必ず人間の「編集」「チェック」「確認」が必要です。つまり、ChatGPTは人間の仕事を奪ってしまうものではなく、あくまで「支援」するものと考えることが、製造業において生成AIをうまく使っていく基本的な考え方といえるでしょう。

 

そのためにも、ChatGPTの性質を良く知ることが重要です。情報収集をするとともに、「どのようなものか」を知るためにも、まずは使ってみるということが大切なのではないでしょうか。ChatGPTには無料版もあり、比較的容易に使用体験をすることができます。

 

 

製造業のコンテンツマーケティングとChatGPT

最後にChatGPTを使用した、製造業のコンテンツマーケティングについて簡単にお話しします。

コンテンツマーケティングは、アピールしたい商品やサービスに関連する有用なコンテンツを作成し、共有するマーケティング戦略です。つまり、顧客に対して役立つ情報を提供することで、関心を集める手法です。そしてコンテンツマーケティングは近年注目されており、製造業での導入も進んでいます。

 

コンテンツマーケティングでは良質なコンテンツ(記事や動画など)を作成する必要があり、特に製造業ではコンテンツの正確性が要求されます。このため、コンテンツの書き手には専門性が要求されますが、一方で、効率よくコンテンツを作成することも同時に要求されます。

 

そして、この「効率よくコンテンツを作成する」ことにChatGPTを活用することができます。ChatGPTをうまく使用すると、コンテンツライティングに伴うリサーチやライティングそのもののスピードを上げることが可能です。

 

ただし、必ず製造分野の専門性の高い人間が「編集」「チェック」「確認」を行い、正確性を担保する必要があります。また、ChatGPTは文書の生成段階に必要なプロンプトによって回答が変わります。したがって、適切な回答を得るためには適切なプロンプトが必要です。そのため、プロンプトの作成段階でも専門性が要求されます。この点は注意が必要です。

 

その点に注意すれば、ChatGPTは製造業のコンテンツマーケティングに大変有用なツールとなるでしょう。いずれしても、「実際に使ってみて」どのような文書が生成されるかをつかんでおくのが早道です。

 

 

ChatGPTを研究していきましょう

以上、製造業におけるChatGPTの活用について簡単に考えてみました。ChatGPTに代表される生成AIは登場したばかりの技術で、これからの発展が未知数です。しかし、実際に活用している企業や団体もあり、そのような企業は多くの場合、生産性の向上に貢献しています。

 

そして、現在のところ製造業におけるChatGPTの活用は製造現場の業務改善というよりも、間接部門での改善が中心になります。しかし、知見を重ねることで製造現場での生産性向上に応用できる可能性もあります。

 

そのため、まずは情報収集を開始し、無料版や廉価版のChatGPTを使ってみて、生成AIが、どのようなものかを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。