2024年06月17日
生成AI
生成AIとは?ビジネス効率化のための新たなツール
起業・経営に役立つ知識
昨今、AI(人工知能)技術の進歩は目覚ましく、私たちの生活のさまざまな場面で活用されています。
その中でも特に注目されているのが「生成AI」です。生成AIは、文章や画像、音楽など、さまざまなコンテンツを生成することができます。そのため、適切に活用することでビジネスに利益をもたらす可能性を秘めています。
本記事では、生成AIの概要や種類、活用方法を紹介するとともに、生成AIがビジネスにもたらす可能性、注意点などについて解説します。
生成AIとは?
生成AIは英語ではGenerative AIと呼び、学習した情報を元に、さまざまなデジタルコンテンツを生成できる人工知能のことをいいます。
テキストコンテンツはもちろん、画像、音楽、動画、プログラミングコードなど多岐にわたり作ることが可能です。
従来のAIは、過去のデータに基づいて予測や分析を行うだけでした。一方、生成AIは、蓄積されたインターネット上のビッグデータに基づいて自らが学習し、新しいコンテンツを創造することができます。
生成AIの種類
生成AIには主に次のようなものがあります。
- 文章生成AI
- 画像生成AI
- 音楽生成AI
- 動画生成AI
- 音声生成AI
テキスト生成AI
作成したい内容についてチャットで指示することで、新たな文章を生成します。
ブログやニュース記事の構成から執筆、ユーザーの質問に対する回答生成などに利用されます。長文のテキストの要約や、音声ファイルの文字起こし、キャッチコピーのアイデア出しなども可能です。また、Excelのマクロ、プログラミングのコードも作成できます。
有名なサービス:Chat-GPT、Claude、Gemini、Copilotなど
画像生成AI
表現したいイラストや画像をテキストで指示をすることで、新たな画像を生成します。アート作品の生成や、デザインやロゴの提案などに利用されます。
有名なサービス:Stable Diffusion、DALLE-3、Midjuourny、Canvaなど
音楽生成AI
イメージする音楽をテキストで指示することで、新たな音楽を生成します。作曲の補助や、BGMの自動生成などに利用されます。
有名なサービス:SunoAI、Soundraw、Canva、Stable Audio 2.0など
動画生成AI
使用したいイメージの映像をテキストで指示することで動画を生成します。画像データをアニメーションにするなども可能です。
有名なサービス:Runway Gen-2、MagicAnimate、Stable Video Diffusion、DomoAIなど
音声生成AI
音声やテキストを入力することで新たな音声を生成します。人間に読み上げてもらうことなく、ナレーションやアバター、キャラクターなどの声を作れます。
有名なサービス:VALL-E、VOICEPEAK、Text-to-Speech AI、ReadSpeakerなど
生成AIの活用方法
ここでは生成AIのビジネスでの活用方法について紹介します。
コンテンツ制作
記事、広告、コピーライティングなど、テキストコンテンツの制作はもちろんのこと、デザイン、バナー画像、商品画像などのビジュアルコンテンツの提案もできます。
すでにあるコンテンツの補助機能だけでなくゼロからコンテンツを作ることも可能です。
最近では、手塚治虫の『ブラックジャック』の新作を生成AIで作るプロジェクトがありました。プロットや新しいキャラクターの作成などを生成AIに提案してもらい、それを元にクリエイターが漫画を制作。読者にも「手塚治虫らしい作品」と評価をもらう結果となり、生成AIとアニメ文化の融合の一例となりました。
マーケティング支援
顧客分析、ターゲティング、広告配信など、マーケティング活動をする時も役に立ちます。
市場調査や、自社の強みの発掘、商品の開発や改善のためのアイデア出しなども可能です。
マーケティング調査は国内外問わず、言語の壁を越えられるのもAIの強みです。海外市場を狙った戦略も生成AIを活用することで可能になります。
業務の自動化
面倒な定型業務をAIに任せることで効率化を図れます。
たとえば、文字起こしや会議の議事録、要約などは数秒でできあがります。また、自社データをAIに学習させることで分析や整理、照会にも役立てることが可能です。
社内業務だけでなく、チャットボット、FAQ、顧客対応などを自動化してカスタマーサポートの効率化が実現できます。
生成AIがもたらすもの
生成AIの活用によってビジネスにもたらすものについて考えていきましょう。
まず一つあげられるのが、時間とコストの節約による業務の効率化です。タスク業務や定型業務を自動化することにより、事業者は他の重要な業務に集中できます。
次に、クリエイティブの補助や創出が挙げられます。デザイン案の提案、新商品のアイデア出し、マーケティング戦略の策定など、自社内のリソースだけではなかなか生み出されないアイデアや情報分析も生成AIなら可能です。そのため、事業者は新たな視点を得ることができます。
最後に、ビジネスの拡大が可能になる点です。たとえば、トレンド分析AIはインターネット上のデータを分析し、新たなビジネスチャンスを見つけ出します。また、顧客の購入データや行動データを分析することで、その嗜好を理解し、それに合わせた製品開発や改善提案を行うことが可能です。
AIは言語の障害もなんなく飛び越えてしまうので、海外の市場も視野に入れられるようになり、商圏の拡大も可能です。
このように、生成AIは自社内の人間だけでは不可能だったことを補完し、時には新たな企業価値を生み出すことができるのです。
生成AIを利用する上での注意点
その一方で、生成AIを利用する上で注意しなければならないことがいくつかあります。ここでは代表的なものを3つ注意点として上げます。
ハルシネーション
現在のところ、生成AIは「たまに嘘をつく優秀な助手」のような存在です。というのも、時々もっともらしい誤った情報を提示することがあるからです。これをハルシネーション(幻覚)ともいいますが、AIが提示した情報は必ず真偽を確かめる必要があります。
参照元に行ったり、自分で再度リサーチをして、誤った情報かどうか精査しましょう。
著作権の問題
生成されたコンテンツの権利関係について留意が必要です。
画像の著作権や肖像権など、第三者の権利を侵害する可能性があるためです。 生成AIはまったく新しいものを作ることはできず、すでにあるデータに基づいてコンテンツを生成します。そのため、すでに存在している著作権物を参照するため、似通った作品になる可能性があり、著作権違反に抵触しかねません。
生成AIが出力したコンテンツは、必ず内容を確認し、必要に応じて修正を行う必要があります。
適切なプロンプトが重要
生成AIを利用する際に、重要になるのが指示文です。これをプロンプトといいます。プロンプトには適切な入力方法があり、指示が明瞭でない場合、希望した通りの生成AIが作成できません。
エンジニア業界でいう「ガベージイン、ガベージアウト(ゴミのようなデータを入れたらごみのような結果しか出ない)」の理屈と同じく、生成AIを活用するためには、適切なプロンプトが重要です。
実際ノウハウがわからないままプロンプトを作ってもなかなか思った通りの結果が出ないことがあります。そのため、プロンプトエンジニアという新しい仕事がうまれており、有料無料でプロンプトが販売されています。
まとめ
生成AIはまだ発展途上の技術で、さまざまな課題が残されていますが、今後さらに進化していくことが予想されます。
生成AIは不足する人手を補うだけでなく、大量のデータを数秒で分析する能力など、人間では不可能だったことを可能にします。また新たな視点を提供し、ビジネスの成長をサポートします。
これらの理由から、今後、生成AIの導入は必須となってくるでしょう。とくに人材不足で悩む中小企業は、効率化のためにも生成AIの導入を早急に検討する必要があります。
生成AIを正しく理解し、活用することでよりよいビジネスを構築できます。あなたも生成AIを活用してビジネスチャンスを広げていきましょう。